クリエイトオンライン

第１章 仮想世界

7話 NPC

光が治まるとそこには4人の人が立っていた。
ガーネットは長い赤髪でメイド服姿の女性だ。シルビアは白髪、クルビアは黒髪でそれ以外がほとんど瓜二つの双子の姉妹。シュタールは筋骨隆々の男性で左右の腰に大剣を収めている。

「お呼びでしょうかマスター」
ガーネットは背筋を正して淡々とそれだけを言う。

「ナイトドラゴンの爪を３つ欲しい。手分けして集めてくれ」

「承知しました。」
やはり淡々と言い深くお辞儀をする。

「りょーかーい」
シルビアは棒読みのような返事をする。

「はーい！」
対してクルビアは手を挙げ元気一杯に返事をする。

「任せとけ」
シュタールは何故か力こぶを作りマッチョポーズで答える。
4人の独特な返事が終わるとナイトドラゴンを倒すため四方に散って行く。

「えっと、リュウ君さっきの人達は？」
スズは4人が散った所を見届けると俺に疑問を呈する。

「あいつらは俺のスキル≪召喚≫で呼ばれたNPCだ」

「NPC？」
スズはまだ理解出来ていないようで首をかしげる。

「『ノンプレイヤーキャラクター』つまりはコンピューターって事」
コハクが見かねて説明を付け足す。

「コンピューター！」

「ああ。しかもあいつらにはAIが搭載されていて殆ど人間と変わらないしな」

「へ、へぇー」
その返事は分かってないだろうな。


◆ ◆ ◆


約一時間後、4人は揃って無事に戻って来た。
ガーネットは鱗を4つ、爪を2つ持ち帰ってきた。シルビア、クルビアは２人合わせて鱗を3つ、爪を1つ持ち帰り、シュタールは鱗を5つ、爪を1つ持ち帰って来た。

これで爪は合計で4つ集まったのでクエストは達成出来る。

「よし、じゃあさっさと納品して帰るか」

「そうね」

「え！これでいいの？」
スズの言いたい事は何となく分かる。自分達は何もせずにガーネット達に爪を集めさせ、それでクエストを達成する。

「いいじゃない、別にゲームなんだから。それともあなたはゲームの楽しみを潰す気」

「そう言う訳では」
コハクが言うようにガーネット達NPCを使って素材やお金を集めるやり方もゲーム要素の一つだ。だけど、スズは仮想世界にフルダイブするようになってまだ一ヶ月も経ってない。だから普通の人間と余り変わらないNPCはスズに取ってコンピューターだと思えないのだろう。

「り、リュウ君」
スズはコハクに対して反論が思いつかないのか俺に涙目で助けを乞う。

「まぁまぁ。明日は早いんだしこの続きはまた今度にしないか」

「うん」

「仕方ないわね。」

何とか２人の争いは静まり俺たちは爪の納品を行いクエストを終えた。


そして、翌日の2045年8月13日都市防衛のイベントクエストが始まる。