悪魔のキスは愛が死んでいる 〜怪我した悪魔を助けたら、腹黒ドSと発覚。加虐ぶりと溺愛執着ぶりがおかしいです〜

夢伽 莉斗

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第Ⅳ章 歪度70%・甘イチャ70%

brocen 43 やめてって言ったのに ♥

 部屋に着き、ディアンシャは魔法を解いて翼を戻してくれた。浄化魔法で全身を洗ってメイクを落とし、天界で着ていた白い布を纏う。

 彼の膝に乗せられ、落ちこんだわたしの目元を摩る。

「なにされたの? 詳しく教えて」

 見上げる彼の瞳に、記憶が蘇り緊張が走った。

「思い出したくないよ……。言いたくない」
「ちゃんと言って」

 前にも薬を飲まされて触られたことがあったけど、あのときは薬のせいもあって不快感はそれほど残らなかった。だけど今回はお酒に酔っていたわけでもないせいで、ただただ嫌悪感だけが残っている。

「最初の人は……キスされた。舌、入れて。胸触られた」

 ぐすぐすと鼻を啜る。

「そのあと落ちこんで座ってたら、別の男の人が話しかけてきて。ただ口説いていただけだと思うけど……肩に手回したり、膝を触られて……。手つきが、気持ち悪くて」

 思い出すだけで気分が悪くなってくる。

「最後のあの……人は、キスされるのが嫌で顔を背けたの」

 流れてくる髪に何度も手を通す。

「そしたら……耳を舐められて。胸も……それで……。手で隠してたら、下もちょっと、触られた」

 ディアンシャはわたしを自分の側に倒して優しく抱きしめた。

「ディアンシャのせいじゃん……。ひとりにしないでよ」
「ごめんね」
「嫌だよ、ディアンシャだけがいいって言ったのに」
「人間じゃなくて俺に抱かれるほうがいいの?」
「ディアンシャのことが好きなんだから……当たり前じゃん」

 背中に腕を回す。
 ディアンシャの声が好きだ。体も、ぜんぶディアンシャのほうが好きだ。

「人間と練習しなくていいのか? 俺とは最後までできねえだろ」
「いいの、今はいいの! もう少ししたら……考える。今はディアンシャしか考えられないし、ディアンシャとできないのに、他の人とするなんて絶対やだ」

 ストレートの髪につぅっと彼の指が滑っていく。耳元に唇を寄せた。

「かわいい。辛かったね」
「ディアンシャのばか。ばか。嫌なのに。気持ち悪いよ」
「だよな」

 くつくつと笑い、溢れていく涙を拭う。
 妖しい光を孕む瞳を見ていると何かが引っかかった。目を泳がせたあと、怖々と潤んだ声で尋ねた。

「もしかして……知ってて、ひとりにしたの?」
「なにを?」
「触られる、とか。いろいろ」

 悪戯っぽく微笑み、頬をするするとなぞった。冷たい声音が口ずさむように言う。

「そりゃあ」

 目を瞬いた。
 他人を使って……わたしが泣くのを見て喜んでるの? なんで……そんな酷いことができるの?

 くしゃくしゃに顔を顰め彼の膝から降りようとした。ディアンシャはがっちりと腰を掴み話しかける。

「離れたら二度と優しくしないよ」

 唇を噛んだ。わたしからの好意をディアンシャは事も無げにもてあそび、ほしいままにするための餌に使っている。
 ずるい。酷い。意地悪。ディアンシャは最低だ。

「どうして……嫌なことするの。ディアンシャ以外に触られたくないのに。気持ち悪いよ、嫌だ。ディアンシャは嫌に思わないの?」
「お前が他の男に触られたって?」
「そう」

 流れていく涙を舐めて、目尻にキスを落とす。眼を合わせると、頭を少し抑えて顔を下に向けさせた。押しつけるように口唇を合わせ、軽いキスを優しく繰りかえす。
 そのうち深く口づけて舌が入りこみ、怯えたわたしのそれと絡ませた。
 ディアンシャの唾液は味がなくて、さらさらで水みたいだった。たぶんほとんどわたしと同じだ。それが好きだし、そうじゃない人間の粘液は気持ち悪かった。

「ん。やぁッ、あ……や」

 くちゅりと水音がたち、舌の表面を撫でながら咥内にも這わせていく。歯茎の裏側や頬の裏をフェザータッチで触れていき、柔く食んだり弾かれたり、焦がれるような甘い陶酔を送る。

「……は、ぁ……。ん、っ、あ……」

 キスは嬉しい、ディアンシャとのキスは大好きだ。だけど……今はだめ。意地悪ばっかりしてきて、今回他の人に触られたのも全部ディアンシャのせいなのに。
 ぎゅうと胸板を押して離れようとする。
 唇が離れると、きっと涙目で睨んだ。

「やだ。意地悪するディアンシャなんて嫌だ!」
「知らねー」

 ぺろと小さく舌を見せ、もう一度キスをする。抵抗する腕を抑え、喰らうように唇を合わせ舌を絡みあわせる。

「ん、ぁ……や、ッ」

 頭に回る手が耳をくすぐって、首筋の熱を辿るように撫でる。細く滑らかな指先が体のラインを通り、悦を伴ってぞくぞくと鳥肌が立っていく。
 顔を離すと、耳の下に優しく唇を当てた。スタンプのようなキスが皮膚の上で踊り、耳朶を食まれる。

「俺のセラエル。かわいい」
「……し、したくない。ディアンシャのせいだったなら、したく。ない」
「お前の許可なんていらねえわ」
「でも本気でわたしが抵抗したら……」

 下から見上げる眼が爛々と光り、虹彩に映るわたしの影を歪めていく。

「したら? いいよ。本気で嫌なら魔法でもなんでも使えばいい」

 使ったら……出ていって、二度と、戻ってきてくれないんでしょ。
 瞼が膨らみ大粒の涙が湧き水のように溢れていく。
 ディアンシャはさらに唇をくいと持ちあげ、喉の奥で嗤った。

「人間より俺がいいんだろ?」
「……や、ちが。違う」

 後頭部を掴まれ抱きしめられる。

「うそつき」

 掠れた低い声色がそっと鼓膜を揺すり、滑らかに脳内へ染みいった。冷たい舌がぺろと耳を舐めて、ちゅんちゅんとその先を硬くしながらあちこちを刺激していく。

「ぁ、は……あ。や……、やぁ、だ。や……」

 片手がわたしを優しく撫でてくれ、気持ちとは裏腹に温かい安心感が広がっていく。
 さっきの知らない人にされたのとディアンシャにされるのは大違いだった。気持ちよくて全身がくらくらしてくる。必死に体に縋りつき、敏感になった体を縮こめる。

 頭から頬を撫でて、脇を滑りお腹に手を沿わせた。柔らかな手つきがゆっくりと上っていく。そのまま胸の膨らみに手をかけた。やわやわと周りに指を滑らせ、大事なところは避けるように摩っている。

「だめ……だ、め。ね……やぁ、だ」

 キスが落ちて、喉の手前までざらりと舌が舐める。わたしの舌を弄び、粘膜をちろちろとたどる。ディアンシャの唾液が送られこくんと飲みこむと喉の奥まで悦楽に震えた。

「は、ぁ……あ……。や。やめ……だめ」

 逆上せた顔で彼を捉える。青眼が綺麗に細まった。
 横抱きにしてベッドに連れていく。腰の紐をするすると外し、シルクの長い布を捲った。

「ん。や、やだ……。もう……! しないで!」

 布を懸命に引っ張って手で隠そうとすると、彼はくつりと笑いわたしの腰に体を落とした。肩をベッドに押しつけ甘いキスを繰り返す。

「んぁ……。ね、や……」

 弱々しい力で肩を押した。
 嫌だって言ってるのに。あんなことされて、それがぜんぶディアンシャのせいだったのに。
 唇が離れると、涙声を堪えできるだけ強い口調で言った。

「これ、以上は。ダメ。嫌なの。酷いことされたのに、今日はしたくない!」

 ディアンシャは体に手を滑らせ、ショーツに触れた。

「こんな悦んでるくせに?」

 ひやっと濡れたショーツが秘部を擽る。顔が熱くなった。

「ちが……違う。それは……違うの」

 ふるふると頭を振ってディアンシャの腕を抑える。

「謝って……謝ってよ。酷いこといっぱいしたのに」
「ごめんね。酷いことして」

 甘く笑う顔はちっとも反省している風じゃない。

「~ッ!」

 顔を振った。

「違う。何も悪いって、思ってないでしょ? ほんとにッ……気持ち悪かったんだよ? ディアンシャだけ……が、よかったのに。いじわる、さいてい、あくま!」
「ほんとに止める気あんの? かわい」

 上半身を倒すとまた口唇を押しつけた。啄むように冷たく柔らかな唇が触れ、夢心地な舌遣いが歯列をこじ開けてしまう。淫らな官能に蕩かして、逃げる舌先を悪戯になぶる。
 だめって言ってるのに。嫌だって言ってるのに。
 でもどんなに泣いても体の疼きは収まらないし、漏れだす嬌声も堪えられなかった。

「ゃ……ん……あ」

 耳を弄りながらキスをする。咥内で響く甘い水音が閉じこめられ、脳の中までキスでいっぱいになる。
 ディアンシャにされて……嫌なわけがない。大好きなのに。
 気持ちいいし、見つめる彼の瞳が、笑う唇が、囁く声が、ぜんぶ好きだった。

 仕返しとばかりに彼の舌に噛みつくと、ディアンシャは自ら舌を切った。舌の先を飲みこみ、流れてくる悪魔の血をそのままわたしの口へ流しこむ。咥内が血でいっぱいになり苦しくて息ができない。腕を叩いても口を離さず、甘くとろけていく血をだらだらと喉の奥へ送りこんだ。

「ぁ……は、は……んっ……」

 彼の血が喉を這いくすぐり、甘美な味わいにさらに熱っぽく惚けていく。

「ゃ……は。ぁ……」

 布のあいだから手が差しこまれ、素肌をなぞった。柔らかく肌を揉まれ、愛撫する角張った指が膨らみに沈み、指先が掻くようにわずかに動く。力を抜いた指爪が双丘を薄くなぞり、焦らすように周りを掻き撫でる。ついに媚芯を捉えてちゅん、とつついた。

「んッ……あっ、!」

 緩く弾くように指が弄って、転がされ、摘んで甘い肉欲を埋めこんでいく。唇からキスを外すと、鎖骨に口づけ、胸に落ち、乳肉の周りにキスの雨を降らせる。長い舌が周りを舐めてもどかしい快美を募らせ、悶えるように腰をひねると、彼はつんと尖り立った右の蕾を食んだ。舌の腹がやんわりと撫で、押して、たまに引っ掻くように愛撫される。甘噛みしてから咥内で弄んで、捏ねまわされる。左の尖りは指でこりこりと弾き遊ばれる。

 これ以上はダメだ。もう抵抗できなくなっちゃう。
 気持ちいい。
 やだ、やめてって言ったのに。
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