獣の国~獣人だらけの世界で僕はモフモフする~

雅乃

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遭遇

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僕の速度に合わせ大地を駆け抜ける事約二日。
戌族の警邏所が見えてきた。

日も暮れた中で聞いたその言葉に、野宿しないで済む安堵を感じた。
ルーシーさんが夜の警護を寝ずにしていた後ろめたさからも解放される。
遠慮するなと言われ、睡魔に負けた自分が情けない。
少しでも早く辿り着こうと、足に力を入れた瞬間。

「あれが戌族の警邏所だ、今日はあそこで休む予定だ。」

振り向きながらそう言ったルーシーさんの。
瞳から殺気を感じた。

「横に跳べ!」

殺気から逃れるように横に飛ぶ。
直後、背後から死を感じるほどの禍々しい音が聴こえた。
その音はどんどん激しくなり。
先程まで僕がいた場所を燃やし尽くした。

「ルーシーさん、大丈夫ですか!」
「大丈夫だ、こっちは気にせず早く逃げろ!」

ルーシーさんを隠すように、炎の壁が燃え盛る。
燃えるものが無くなっても勢いは衰えない。

恐怖に負けじと振り返ると、遠くに赤い獣が見えた。
犬種は解らないが、犬のような姿をしている。

「有色と適合体の間の魔物だ、マナを使うから注意しろ!」
「魔物もマナを使うんですか!?」

驚きながらも耳に意識を集中する。
魔物の動きは捉えた、でも何時もより音が少ない。

疑問に思っていると、魔物が上を向いた。
実際に見た事はないが、たぶん間違ってはいないだろう。
足に力を込めて、タイミングを計る。
そして、予想通りに飛んできた炎を、横に飛んで躱す。

ゲーム知識も意外に役立つと心の中で笑った。
少しでも明るく考えなければ恐怖に潰れてしまいそうで。

炎は弧を描き、網のように僕を囲った。
炎を避ける余地はあるが、逃げ出す事はもう出来ない。

「警邏隊には連絡を送った、駆けつけてくるまで耐えてくれよ!」

ルーシーさんはそう叫ぶと、マナを使い魔物に突撃していった。

目で追えない速度で魔物の周囲を駆け、攻撃を繰り返している。
音を捉えても、移動直前と行動後の音しか拾えない。

魔物が僕を意識した瞬間に逸らすことを優先しているのが伝わる。
それでも僕は、足を引っ張らない方法を考える事しかできなかった。

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