獣の国~獣人だらけの世界で僕はモフモフする~

雅乃

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望みと希望

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手を傷つけられ、血が滴る。それでもナイフを振り続けた。ナイフを下げればカイトは遠慮なく攻撃して来るだろう。

ふと横を見ると、鳩の獣人達は全員古屋の下に逃げ込んでいた。怪我の治癒や、怯えるように震えている。その様子を見て、1つの疑問が解決した。そうだ、彼らは武器を持っていない。模糊さんも武器は持っていなかった。

戦えないとは思わないが、不安になる。向こうの方が大変なのは、想像に難しくない。死にたい訳でも楽観視している訳でも無いが、頭によぎるのは想いは2つ。

「助けたい。モフモフしたい。だから・・・僕はお前達負けはしない!」

叫んだ。恐怖も覚悟も全てを込めて、力一杯叫んだ。

世界が変わった。

雑音が消え、カイトによって生み出される音しか聞こえない。何処でどう動くかが、手に取るように解る。

不規則に揺らめく靄のような灰色が、目で追えるようほど遅くなった。手を傷つけるリスクなく、ナイフを振るえる。

気が付けば、カイトの群れは消え。世界が音を取り戻す頃には、周囲は歓声に包まれていた。

「ありがとう少年、お陰で助かった」
「助かったぜ!」
「お兄ちゃんありがとう!」

感謝の言葉が響き渡り、達成感が生まれた。しかし、違和感もある。まず聞こえる音が変わっていた。声は普通に聞こえるのに、雑音は小さい。それなのに森からは、聞こえなかった暴風のような羽ばたきが聞こえる。

「音が選べる?」

どうやらいらない音だけ聞こえにくく出来るようだ。急な変化に疑問がわくが、いい事なので問題はない。問題はもう一つ。お尻がむず痒いような、くすぐったいような、窮屈な変な感触がする。

「まさか成長期だとは思わず、頼ってしまう事になって申し訳なかった。だがお陰で我々は誰も死ぬ事はなかった本当にありがとう。」

成長期?その言葉で思い当たるのは1つしかない。でも楽しむ余裕はなかった。

「すみません、僕は行かないと行けません」
「・・・君のような少年に、それも他種族を危険に晒す事は出来ない。我々よりも強く勇敢なのは痛い程伝わった。だから、怪我の治療をしてゆっくり休んでくれ。」
「ですが。」
「大丈夫、向こうには間に合った。」

獣人達は上を見つめ始めた。僕には空しか見えないが、耳を澄ますと羽ばたきが聞こえる。

「見えないとは思うが、それ程高く飛べるのは彼らだけだ。」
「彼ら?」
「我が種族の先鋭部隊『烈火隊れっかたい』だ!」
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