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バンド結成
バンド結成4
しおりを挟むそう言って勢い良くキッドは立ち上がった。
「みんなよろしくな! 俺はドラゴニュートの【ガゼル=キッド】だ。」
「--ガゼ、ル?」
突っ伏していたエバは勢い良く起き上がり絶句した。いや、生徒全員の時が止まった。
「やっぱりこの名前言ったらこうなるよな……なんで俺が最後なんだよ」
「まさかお前」
ガロンでさえこの言葉を出すのがやっとだった。
「ああ……【ガゼル=スターク】は俺のアニキだ」
キッドの放った一言は、教室の止まった時を戻すのには充分過ぎる言葉だった。
「スタークが兄ちゃんってやばいだろ!」
「羨ましい! スターク様と毎日会えるなんて!」
今日1番教室が騒がしくなった瞬間であった。
「キッドのお兄さんがあのスターク?」
「信じられないです……」
「黙ってて悪かったなエバ! アメリ! アニキと顔似てねえだろ? 俺は父さん似で、アニキは母さん似なんだよ」
「なるほど……」
「確かにあまり似てはいませんね……」
「驚くのは分かるがそろそろキッドの自己紹介に戻るぞ……」
ガロンの一言で生徒達の視線は再びキッドに集まった。
「なんか、やりづれーな。まぁ、いいか……俺が演奏するのはもちろんギター。ギター意外やる気はない。ただ、みんなが思っているような理由でギターをやる訳じゃ無ぇ……」
そう言ってキッドは拳を強く握りしめた。
「俺はアニキに憧れてギターを始めたんじゃなく、アニキを超えるためにギターを始めたんだ。その為にサラマンダーに来た。 以上!」
キッドはそう言って、もう終わりだと言わんばかりの勢いで席に着いた。
「よーし、自己紹介も終わった事だし明日からの連絡事項を言うから忘れんなよー」
ガロンから連絡事項が伝えられて今日は下校となった。
「待ちなさいキッド! あなた本当にスタークの弟なの?」
「誰だよこいつ……」
「あんなに目立ってたのに私の事を覚えてないなんて意外と良い男ね!」
「は、はぁー」
「もう一度自己紹介してあげるわ! ドワーフのワルフ=エレナよ! 覚えておきなさい!」
エレナはキッドに指をさしながら叫んでいた。
「ところで、本当にスタークの弟なのね?」
「そうだよ」
キッドは少し嫌そうな顔をしながら言葉を吐き捨てた。
「だったらギター弾いてみなさいよ!」
「今からかよ……めんどくせーどうせその内弾くんだから今は良いだろ。行こうぜ?」
そう言ってキッドは教室から出て行ってしまった。
「ちょっと待ちなさいよ!」
その後をエレナが走って追いかけて行った。
「俺達も行こうか……」
「そ、そうですね……」
少し遅れてエバ達もキッドの後を追う。
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