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初LIVE
初LIVE6
しおりを挟むキングダムと一悶着がありようやく会場の席に着いたエバ達。
「頭に来るわね! なんなのよあいつら」
「まぁまぁ落ち着いて下さい」
「落ち着けないわよ」
「腹立つ気持ちも分かるけど、そろそろ集中した方が良いよ」
「あいつら口だけじゃねーぞ」
(ちょっとアメリ! エバ達何かあったの?)
(キングダムのメンバーと少し話してましたよ? それから2人ともすごい集中してるんですよ)
(エバ達のあんな顔初めて見るわね。 私達もそろそろ切り替えるわよ)
(エレナがそれを言うんですか……)
ようやくアメリ達も気持ちを切り替えた。それを見計らったかの様に校長から開会の挨拶が始まる。
「只今よりサラマンダー恒例の新1年生による初めての大会を始める。 その名も【ルーキーフェス】 まだ結成して3ヶ月という短い期間だが、全員グランプリ目指して全力で挑むように!」
「校長先生ありがとうございました。 続きまして、このルーキーフェスを実況して頂く方からのご挨拶です。お願いしま……」
「ヨーォォウ! 俺が今回のルーキーフェスを実況する2年の【ガイヤ】だ! お前ら緊張してんのか? そんなんじゃこれから先サラマンダーでやってけないぜ? サラマンダーに入って初めてのライブだろ? もっと楽しめよ! 叫べよ!心の底から音楽を楽しめよ!ルーキーフェスで活躍したバンドは先のサラマンダー生活でかなり有利になるぜ? 野郎どもに1つ言っておく……」
「なんか熱苦しい先輩だな」
「せっかく集中してたのに」
所々で生徒達の話し声が聞こえて来た。
「グランプリ取ったら女子からかなりモテるぜ?」
ガイヤの一言で、一斉に目を見開く男子達。
「これ聞いてもまだ黙ってんのか? 女子にモテたくないのか? そんな野郎はサラマンダーに要らねえ! さあ野郎ども! 心の底から声出してみろよ!」
「「「うおおおおおお!!!」」」
「良いじゃねえか! 声出せるんじゃねーか! ルーキーフェス盛り上がっていこうぜ!」
「「「ガイヤさーん!!!」」」
「ほんと男子ってバカ」
「こらこらローズ……でも、今回は私もそう思う」
ガイヤの演説でサラマンダーの校舎が揺れる程の歓声が上がった。主に盛り上がっているのは男子だけだが。
「ルーキーフェス開催の前に大まかなルールと今回の審査員の紹介だ! 先ずルールだが、あらかじめ申請してあったバンドでの演奏のみとする。これはみんは大丈夫だな? それと、演奏順だが完全ランダム制だ電光掲示板に映し出されたバンドは逐一準備してくれ!次は審査員の紹介だが、審査員は1年生の各担任と校長先生だ! 自分のクラスへのひいきはやめてくれよー? そして、最後に審査委員長の登場だ! 審査委員長のアポロ様の登場だ」
ガイヤの一言で会場の照明が一斉に消える。【バンッ】という効果音と共にステージに1つだけ出来た照明の道筋の先に居たのはこの世界の神アポロであった。
「やあ! みんな高校生活には慣れてきたかい? 毎年私が審査委員長を勤めてるんだよ? 皆さんが私にアピール出来るチャンスですよ! 思う存分アピールして下さい」
「「「はい!!!」」」
「良い返事だなルーキ達! それじゃあ始めるぜー? ルーキーフェス開催だ!」
アポロの登場により会場のボルテージは最高潮に達した。 興奮冷めやらぬまま1組目のバンドが映し出された。
「ランダム制って緊張しますね」
「1組目じゃなくて良かったー」
「何弱気になってるのよ」
「そう言うエレナもホッとしてるじゃねえか」
「わ、悪かったわね」
「皆さん1組目のライブ始まりますよ」
こうして始まったルーキーフェス。生徒達は緊張しながらもライブを楽しんでいるようだった。それぞれバンドの持ち味を活かしているところもあれば、まだ形になりきれていないバンドも数多くいた。そして……
「続いてライブを披露するバンドは……【TDIM】です。準備を始めてください。」
無機質な女性のアナウンスで告げられた初ライブの舞台。
「いよいよね……」
「エレナ緊張しすぎ! リラックスだよ」
「エバはなんでそんなリラックス出来るのよ」
「初めは緊張してたけど、みんなのライブ観てたら早く俺達もライブしたいなって思っちゃって」
「エバは意外と肝が座ってんだな」
「ですね」
「普段はちょっと頼りないのよね」
「こんな時にやめてよ」
一通りエバをいじって程よく緊張が解けたTDIM。 4人ともとても良い笑顔になっていた。
「よーし!いくわよー!」
「「「おーう!」」」
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