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5 狂気的?何でも的つけりゃいいってもんじゃない

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 最近目にする「狂気的」という言い方。
 はい、間違いです。

 おそらく「猟奇的」という言葉と音が似ているからの誤用でしょうが、他にも変な「的」の使い方を見ることがあるので、ただただ間違ってるだけかもしれません。

 猟奇的というのは、簡単に言うと、異常であることを好むこと。
 ですが、単に異常なという意味で使われることが多い気がするので、ちょっと考えられないくらい異常というニュアンスで覚えておけば、大間違いではないかなと。
 よく使われるのは、残酷な殺し方をした殺人事件に対して、猟奇的な事件なんて言い方でしょうか。

 さてでは、狂気的の説明に戻ります。
 なぜ狂気に的をつけないのか?
 まず「的」は、名詞について〇〇のようなという意味にする言葉です。
 では、「的」がつく名詞とつかない名詞、どこが違うのか?
 実は、私も正しく説明できません。

 大体のイメージとして、ハッキリ物を示す言葉(犬、リンゴなど)には付きにくく、状態や概念を示すような物の形のない言葉(猟奇、優先)に付くという感じで捉えています。

 ところが、「狂気的」はまさに形のない名詞なんですよね。
 なのに付かない。
 なんで?と思いますよね。
 何かしら基準があるのかもしれませんが、全てに通じる説明はなさそうなので、結局、沢山本読んで、そういうものだと覚えるしかないのかも。


 では、「狂気的」が間違いなら、どう言えばいいの?
 正しく表現するならば「狂ったような有様で」のほか、「狂気に染まった」とか「狂気に満ちた」「狂気にとらわれた」「狂気に支配された」などなど「狂気に〇〇された」という言い回しがおすすめです。

 昨今、はっきり物を言いたくない、責任取りたくない、ぼやっと言い逃げしたいような時に、何でも「的」を付ける風潮がある気がします。
「私的には」などですね。
 ハッキリ私はこう思うと言いたくない言い方。
 意図的に(これは正しい。よく見かける「故意的」は間違い。「故意に」でよい)曖昧な言い方をする頭悪いキャラのセリフとして使うならいいけれど、きちんと教育されたお嬢様のセリフとして「的」を多用するのはやめた方がいいでしょう。
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