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ゆーとぴあ
三三
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マルは、外の光で目を覚ました。とても明るく、火の光とは全く違う輝きがあった。
「おはようございます。」
彼女はすでに起きていた。隣で敷いてあったものも、彼女の分だけなくなっていた。
「あ、うん。」
あくびをしながら、身体を起こした。生まれて一番寝起きが良かった、そんな朝だった。
「朝ごはんありますよ。食べます?」
「どんなやつ?」
マルは気になった。どんな成分がある食べ物なのか。
しかし、思っていた物とは違った。丸い物の上に、白くてモヤモヤと湯気がたつもの。平べったい物の上に、黄色いもの。他にもいろいろあった。水っぽい飲み物もあった。
「昔の料理です。私の母やあなたの父母に教えてもらいました。」
彼女の言い方は、元に戻っていた。だが、自分のやりやすい方でやらせようと思った。昨日言ったことは、図々しく恥ずかしく思えたからだ。
「まあいい。たべる。安全なんだろうな?」
「もちろんです。この家の後ろで、採れたものですから。」
そういえば昨日から、ガサガサとした音が聞こえる。マルは特に気にしてはいなかった。
「さぁ、温かいうちに。どうぞ。」
「先に食え。」
マルは、怖そうな顔で言った。
彼女は、キョトンとした顔でしばらくいたが、信じてもらう為に一口二本の棒を使って器用に食べた。
「おお。上手いな、それ。」
マルは、とても関心していた。すると、自分もそれを使ってみたくなった。
「ちょっと見せて。」
マルは彼女の右手を掴み取り、じっくり眺めた。そして、同じように右手で棒を握って見せた。
「こうするのですよ。」
二つの棒の先を動かし、物を掴んだ。マルは、器用に真似した。短い間で、ほぼコツをつかんだ。
「できた。」
嬉しそうなマルに、彼女は両手を叩いて褒めた。
「上手です。」
よし、と嬉しそうに食べ物をつまんでいくマル。それを見守る彼女。その光景は、この世界にない微笑ましいものだった。
「ごちそうさまでした。」
彼女はそう言って立ち上がり、机の上に残った平べったい物を片付けにどこかへ行ってしまった。
マルは、家の後から聞こえる鳴き声を一人で黙って聴いていた。はぁと一つため息。
すると何を思ったのか、突然立ち上がり、机の上の物を全て持ち彼女の後を追った。
「はいよ。」
彼女が水でそれを洗っている途中だった。そこにマルは、横から机の上の物を彼女に渡した。
「ありがとうございます。」
目線は上げず、夢中で洗っていた。
「じゃあ、僕は下に降りる。」
そう言って、背中をお互い向け合った。
「待ってください。これから、どこに行くのですか?」
そう強い口調でそう聞かれた。
「どこって、下だよ。」
「いや、これからの事です。ずっとここにいる訳にはいかないでしょう。」
「だってさ、もうここはラインに囲まれた島だ。世界は広いのは分かったけど、この先行くすべもない。ここから出られない。」
マルはそう反発した。
「いや、あります。」
「?」
どうやって行くのだろう。そう思った。
「ここには、大陸に行く道もあるのです。あの二人が帰ってきやすい様に作られました。
ドームの一番西にある所です。」
「どこにある?」
彼女は洗い物を置き、水を止めた。そして、彼女に連れられ外へ出た。日は既に高く上っており、ドーム内をほとんど照らしていた。
「あの石の後ろです。ちょうど、二人が寝ていらっしゃる場所。」
寝ている場所、というのは死んで墓になっているという事だろう。マルは、父母の石を眺め、その後ろにあるドアを見つけた。
「よし。あいつにも話さなきゃ。すぐ、出るぞ。」
「あいつとは、一緒にいた…」
「あぁ。あの爺さんだ。」
そう言ってかと思うと、はしごを使い下に降りていった。
「おはようございます。」
彼女はすでに起きていた。隣で敷いてあったものも、彼女の分だけなくなっていた。
「あ、うん。」
あくびをしながら、身体を起こした。生まれて一番寝起きが良かった、そんな朝だった。
「朝ごはんありますよ。食べます?」
「どんなやつ?」
マルは気になった。どんな成分がある食べ物なのか。
しかし、思っていた物とは違った。丸い物の上に、白くてモヤモヤと湯気がたつもの。平べったい物の上に、黄色いもの。他にもいろいろあった。水っぽい飲み物もあった。
「昔の料理です。私の母やあなたの父母に教えてもらいました。」
彼女の言い方は、元に戻っていた。だが、自分のやりやすい方でやらせようと思った。昨日言ったことは、図々しく恥ずかしく思えたからだ。
「まあいい。たべる。安全なんだろうな?」
「もちろんです。この家の後ろで、採れたものですから。」
そういえば昨日から、ガサガサとした音が聞こえる。マルは特に気にしてはいなかった。
「さぁ、温かいうちに。どうぞ。」
「先に食え。」
マルは、怖そうな顔で言った。
彼女は、キョトンとした顔でしばらくいたが、信じてもらう為に一口二本の棒を使って器用に食べた。
「おお。上手いな、それ。」
マルは、とても関心していた。すると、自分もそれを使ってみたくなった。
「ちょっと見せて。」
マルは彼女の右手を掴み取り、じっくり眺めた。そして、同じように右手で棒を握って見せた。
「こうするのですよ。」
二つの棒の先を動かし、物を掴んだ。マルは、器用に真似した。短い間で、ほぼコツをつかんだ。
「できた。」
嬉しそうなマルに、彼女は両手を叩いて褒めた。
「上手です。」
よし、と嬉しそうに食べ物をつまんでいくマル。それを見守る彼女。その光景は、この世界にない微笑ましいものだった。
「ごちそうさまでした。」
彼女はそう言って立ち上がり、机の上に残った平べったい物を片付けにどこかへ行ってしまった。
マルは、家の後から聞こえる鳴き声を一人で黙って聴いていた。はぁと一つため息。
すると何を思ったのか、突然立ち上がり、机の上の物を全て持ち彼女の後を追った。
「はいよ。」
彼女が水でそれを洗っている途中だった。そこにマルは、横から机の上の物を彼女に渡した。
「ありがとうございます。」
目線は上げず、夢中で洗っていた。
「じゃあ、僕は下に降りる。」
そう言って、背中をお互い向け合った。
「待ってください。これから、どこに行くのですか?」
そう強い口調でそう聞かれた。
「どこって、下だよ。」
「いや、これからの事です。ずっとここにいる訳にはいかないでしょう。」
「だってさ、もうここはラインに囲まれた島だ。世界は広いのは分かったけど、この先行くすべもない。ここから出られない。」
マルはそう反発した。
「いや、あります。」
「?」
どうやって行くのだろう。そう思った。
「ここには、大陸に行く道もあるのです。あの二人が帰ってきやすい様に作られました。
ドームの一番西にある所です。」
「どこにある?」
彼女は洗い物を置き、水を止めた。そして、彼女に連れられ外へ出た。日は既に高く上っており、ドーム内をほとんど照らしていた。
「あの石の後ろです。ちょうど、二人が寝ていらっしゃる場所。」
寝ている場所、というのは死んで墓になっているという事だろう。マルは、父母の石を眺め、その後ろにあるドアを見つけた。
「よし。あいつにも話さなきゃ。すぐ、出るぞ。」
「あいつとは、一緒にいた…」
「あぁ。あの爺さんだ。」
そう言ってかと思うと、はしごを使い下に降りていった。
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