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<表>銀色のお姫様は愛する王子様を幸せにする
サクラ 2
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それからも私はサラフィーアさんと一緒にたびたびトラオムに会いに来た。
トラオムはいつも私にうっとりと笑いかけてくれて、その目には私と同じ熱がこもるようになった。私たち2人は彼の好きな日本のお喋りで盛り上がって、私が作った和菓子を一緒に食べて。視線と言葉でお互いの想いを通わせあった。
私は今この世界に来て一番幸せだ。
――でも、その気持ちは最後にはいつもトラオムにこっちまで怖くなるぐらい冷たい声で拒否されてるのに、婚約者だからと無理やり付いてくるサラフィーアさんのせいで台無しにされてしまう。
私はだんだんと彼女がうっとおしくなってきた。トラオムは私とお喋りしたいんだから。離宮に入るためにいるだけのサラフィーアさんは気を遣って別の部屋にでもいてくれればいいのに……。
婚約者だからっていちいち付いてきて見張ってるなんて嫌な人、だからトラオムに嫌われてるんだよ。
そんな不満を抱えながらも保護者の彼女に対して不満を口にすることもできず、鈍感で意地悪なサラフィーアさんへのもやもやが溜まってきた時。
サラフィーアさんに「トラオムと2人で話がある」と部屋を追い出され、ふてくされて離宮を歩いていた私はきれいな女性と出会った。
私と同じ年ぐらいで日本人だという彼女はトラオムの家族のサクヤさんと名乗った。何でもおっかない王妃に疎まれているため、姪のサラフィーアさんにも会わないようにひっそりと離宮に住んでいるらしい。
何となく懐かしさを感じるサクヤさんは自室に招いてお茶に誘ってくれ、親身になって私の愚痴を聞いてくれた。そして私がトラオムが好きだと知ると、彼女は私の恋を応援すると約束してくれた。
「彼は産まれた時に女神様が決めた恋人だなんてくだらない迷信を信じる傲慢なあの女のわがままで幼い頃に無理やり婚約させられてしまったの。でも、彼は日本の話を気に入っていて。ささいなことで貶めてくるこの世界の人間たちと違って優しい君と一緒にいると心が休まるっていつも言っていたわ。
私と同じく女神様に呼ばれた日本人のサクラさんなら彼もきっと心を開いてくれるわ。どうかあの女に捕らわれた彼を助けてあげて」
「わかりました!! 任せてください。私がトラオムを助けてあげます」
憎々し気に語るサクヤさんの言葉はところどころ思い込み? みたいなところがあるけれど。
それ以上にかわいそうな目に合わされてきたトラオムにすっかり同情した私は、私と愛しあうトラオムを権力で無理やり従わせるサラフィーアさんから助けると約束した。気分はまるでドアマットヒロインを助けるヒーローだった。
それからは、私はトラオムに好きだと堂々とアピールするようにした
サラフィーアさんは嫉妬した辺境の女たちみたいに私に鋭い視線を向けてくるけれど、トラオムには知られたくないのか表向きは何も言ってこない。でも、離宮の使用人さんたちとかサラフィーアさんの家の人たちはトゲトゲしい視線を向けてくる。
まったく自分がかまってもらえないからってひがむなんて醜いよ。辺境にいた時もちょっと男の人と仲良くしただけで、ブスな女たちにやっかまれて意地悪されて本当に大変だった。ツバキもかばってくれないし。
サラフィーアさんが手出ししてこないことにほっとした私は、2人きりになった時に思い切ってトラオムに「サラフィーアさんに無理強いされて結んだ婚約を解消して、あなたに会うために女神様に呼ばれた私を選んで」と勇気を出して告白した。
うっとりとした笑みを浮かべたトラオムも「君とずっと一緒にいたい」と言ってくれたけれど、サラフィーアさんとの婚約解消の話になるとどこかぼんやりとした顔ではぐらかされてしまった。
それからもトラオムは私に会うたびにきれいな笑みを浮かべて優しくしてくれるけれど。サラフィーアさんとの婚約解消にはうなずいてくれない。
……もしかしたら、この世界で王子様として生きてきた彼は、権力を持つサラフィーアさんとその家に捨てられるのが怖いのかもしれない。
私だってサラフィーアさんに見捨てられたら困るし、トラオムの難しい立場もわかるけれど。それでも両想いの彼が私だけを愛してくれないことに私はすごく傷ついた。
トラオムはいつも私にうっとりと笑いかけてくれて、その目には私と同じ熱がこもるようになった。私たち2人は彼の好きな日本のお喋りで盛り上がって、私が作った和菓子を一緒に食べて。視線と言葉でお互いの想いを通わせあった。
私は今この世界に来て一番幸せだ。
――でも、その気持ちは最後にはいつもトラオムにこっちまで怖くなるぐらい冷たい声で拒否されてるのに、婚約者だからと無理やり付いてくるサラフィーアさんのせいで台無しにされてしまう。
私はだんだんと彼女がうっとおしくなってきた。トラオムは私とお喋りしたいんだから。離宮に入るためにいるだけのサラフィーアさんは気を遣って別の部屋にでもいてくれればいいのに……。
婚約者だからっていちいち付いてきて見張ってるなんて嫌な人、だからトラオムに嫌われてるんだよ。
そんな不満を抱えながらも保護者の彼女に対して不満を口にすることもできず、鈍感で意地悪なサラフィーアさんへのもやもやが溜まってきた時。
サラフィーアさんに「トラオムと2人で話がある」と部屋を追い出され、ふてくされて離宮を歩いていた私はきれいな女性と出会った。
私と同じ年ぐらいで日本人だという彼女はトラオムの家族のサクヤさんと名乗った。何でもおっかない王妃に疎まれているため、姪のサラフィーアさんにも会わないようにひっそりと離宮に住んでいるらしい。
何となく懐かしさを感じるサクヤさんは自室に招いてお茶に誘ってくれ、親身になって私の愚痴を聞いてくれた。そして私がトラオムが好きだと知ると、彼女は私の恋を応援すると約束してくれた。
「彼は産まれた時に女神様が決めた恋人だなんてくだらない迷信を信じる傲慢なあの女のわがままで幼い頃に無理やり婚約させられてしまったの。でも、彼は日本の話を気に入っていて。ささいなことで貶めてくるこの世界の人間たちと違って優しい君と一緒にいると心が休まるっていつも言っていたわ。
私と同じく女神様に呼ばれた日本人のサクラさんなら彼もきっと心を開いてくれるわ。どうかあの女に捕らわれた彼を助けてあげて」
「わかりました!! 任せてください。私がトラオムを助けてあげます」
憎々し気に語るサクヤさんの言葉はところどころ思い込み? みたいなところがあるけれど。
それ以上にかわいそうな目に合わされてきたトラオムにすっかり同情した私は、私と愛しあうトラオムを権力で無理やり従わせるサラフィーアさんから助けると約束した。気分はまるでドアマットヒロインを助けるヒーローだった。
それからは、私はトラオムに好きだと堂々とアピールするようにした
サラフィーアさんは嫉妬した辺境の女たちみたいに私に鋭い視線を向けてくるけれど、トラオムには知られたくないのか表向きは何も言ってこない。でも、離宮の使用人さんたちとかサラフィーアさんの家の人たちはトゲトゲしい視線を向けてくる。
まったく自分がかまってもらえないからってひがむなんて醜いよ。辺境にいた時もちょっと男の人と仲良くしただけで、ブスな女たちにやっかまれて意地悪されて本当に大変だった。ツバキもかばってくれないし。
サラフィーアさんが手出ししてこないことにほっとした私は、2人きりになった時に思い切ってトラオムに「サラフィーアさんに無理強いされて結んだ婚約を解消して、あなたに会うために女神様に呼ばれた私を選んで」と勇気を出して告白した。
うっとりとした笑みを浮かべたトラオムも「君とずっと一緒にいたい」と言ってくれたけれど、サラフィーアさんとの婚約解消の話になるとどこかぼんやりとした顔ではぐらかされてしまった。
それからもトラオムは私に会うたびにきれいな笑みを浮かべて優しくしてくれるけれど。サラフィーアさんとの婚約解消にはうなずいてくれない。
……もしかしたら、この世界で王子様として生きてきた彼は、権力を持つサラフィーアさんとその家に捨てられるのが怖いのかもしれない。
私だってサラフィーアさんに見捨てられたら困るし、トラオムの難しい立場もわかるけれど。それでも両想いの彼が私だけを愛してくれないことに私はすごく傷ついた。
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