腹パン勇者の英雄譚

たぬ吉

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ヤンキー異世界にいく

しおりを挟む
俺の名は原山克巳17歳いわゆるヤンキーだ
そして現在絶賛からまれ中だ

「おい原山ぁ!今日こそは決着つけてやる」
「こないだ腹パン一発でラーメンぶちまけといてよく言うぜ」
「うるせー!おいお前等は手を出すなよこいつは俺一人でやってやる」
「はい、浦部さん」

こいつは浦部トオル、タイマンで勝負してくる分
他のやつらよりはマシなヤンキーだ
俺よりははるかに弱いけど

「行くぜぇ原山ぁ!」
「おーし来いやぁ!」

ズボムッ!

「かっ・・・はっ・・・!」
「浦部さーん!」
「はい、俺の勝ちー」

うしっ今日も一発KOだ

「う゛ぉぇえええええ!」
「汚ぇなあ・・・またかよ」
「う、うるせぇ!勝負はこれからだ!」
「悪ぃけどまた今度な、ニシンのパイを届けにいかないと」
「それ魔女宅だろ!ぐっ・・・う゛ぉえええええ!!」
「浦部さん!無理につっこんじゃダメっすよ!」

さぁ~ってなにすっかなぁ・・・ゲーセンでも行こうかな

     [見事な腹パンだ]

ん?なんか声がしたけど・・・

「おいケンカ売りてえやつでもいんのか?」

   [原山克巳その力、貸してもらおう]

「なんだ?ツラならいくらでも貸してやるよ」

     [感謝する]

―――
――

ん?なんか急に景色が変わった・・・というか外にいたのに
建物内にいる?なんだこりゃ

「おお、そなたが新たな腹パン勇者じゃな!」
「あ?なんだじじい?」
「貴様!陛下に対して無礼であるぞ!」

なんだこいつら・・・兵士みたいな格好で
映画の撮影か?

「よい、この者は異世界から来てくれたのじゃ、まずは状況説明を」
「はっ!畏まりました!」

―――
――

「要約すると俺はこの世界に呼ばれて勇者になって魔王的なものと戦うってことだな?」
「そうです、あなたは二代目腹パン勇者に選ばれました」
「一つ聞くけどなんで腹パン?こういうのって剣で戦うよね?」
「それは古文書に記されてるからです」
「出たよ、古文書に記されてたらなんでも正しいのか?古文書に人類滅亡ってかかれたら従うのか?」
「これから今の腹パン勇者をお連れします」
「無視すんなコラ!殺すぞ!」

しばらくして4人の男が部屋に入ってきた

「お前か、二代目腹パンってのは」
「どうやらそうらしい、そういうあんたは今の腹パン勇者ってわけか?」
「ああ、そうだ初代腹パン勇者カイトと、3人の仲間たち」
「ああ・・・そう・・・念のため聞くけど他の3人も剣とか使わねぇの?」
「さすが二代目よく気付いたな」
「戦い方は自由だけどさ、文句は言わないけどさ、それにしたって素手で魔物と戦う必要ってなに?」
「それは古文書に・・・」
「それさっき聞いた!なんなのその古文書への信頼感!?古文書のなにがお前等の心を突き動かすの!?」
「では仲間を紹介しよう」
「無視すんなコラ!殺すぞ!」

そうしてキレてるところに一人の大男が前に出てきた・・・
でけぇ・・・190はあるな

「よう二代目、俺は裏拳勇者ラムウだ」
「お前も勇者なの!?そして裏拳ってあの裏拳?」
「そう、お前の思ってるやつだ、魔物が後ろから肩をポンってやってきたら裏拳でバチコーン!って倒すプロだ」
「ねえよそんなレアケース!」
「いや、けっこうあるぞ?」
「あるんだ!?魔物が、歩いてる人間を見つけて、『おいそこの人間待てや』っていって肩にポンってやることあるんだ!?それどんな魔物!?」
「さて次の仲間を紹介しよう」
「無視すんな!そしてその『やれやれキレやすい子だなぁ』みたいな目で見んな!殺すぞ!」

「次は俺だな、チョーパン勇者フロウだよろしくな」
「チョーパン、頭突きか・・・ていうかなぜ攻撃方法がヤンキー?そういうくくりで行くんだ?」
「なんだヤンキーとは?」
「ヤンキーていうのは・・・なんていうか不良でケンカする人たちで」
「!?」
「それ!その!?ってやつ出すやつ!」
「なにを言ってるかよくらからないがお前そんなことじゃ“不運ハードラック”と“ダンス”っちまうぜ」
「うん、まさにそれ!ていうか知ってるんだ!?この世界ってそういうやつなんだ?」
「まあいい次で最後だ」
「また無視なんだ、なんで人の質問に答えないのこの人たち」

「ボクが最後ですね、ミンチの勇者シルフィです、よろしくお願いします」
「うん、くくりは理解できる、ミンチにしてやんよとかヤンキーよく言うよね、それってどんな技なの?そして丁寧な言葉で怖いこと言うよね」
「以上で全員の紹介は終わりだ、さてまずは二代目に実際魔物と戦って経験を詰んでもらう」
「いや最後の奴が一番聞きたいのに!」
――


「さて、テキトーに次に目が合ったモンスターと戦ってもらおう」
「いいけどその発想ヤンキーだよね?なんでそのくくりを頑なに守るの?」
「なに心配いらないこの変はシャバ憎モンスターしかいない」
「言葉古いよ、今日びシャバ憎とか誰も使ってないから・・・というか俺要る?初代まだ元気じゃんか」
「ああ、腹パン勇者はアガリを迎えるのが早いのだ」
「そっか、加護みたいなものが消えるとか?」
「腹パンだけではなくほかの者も同じだ、いずれ裏拳もチョーパンもミンチも二代目に継承されていく」
「話がかみ合わないのにはもう慣れた、さっさと魔物と戦ってみたいぜ」

それから数分歩いた・・・魔物の影らしきものが見える

「お、いたいたあいつと戦えばいいんだな?」
「いや、あれはダメだ・・・」
「なんでだよ?」
「お前では敵わない」
「はぁ?ナメんな!やってやるよ!」
「ばっ・・・!待て!」

ケンカ無敗のこの俺ならモンスターだって簡単にやっつけられるってとこ見せてやるぜ

「ちょ!カイト、あれベアトードじゃないですか!?」
「ああ、熊のパワーにカエルの柔軟性を持った厄介なやつだ」
「止めないと死にますよ?」
「かもな・・・でも・・・」
「もしかしたら勝てると?そんなわけ・・・」
「いいんじゃねえか?やらせてみようぜ」
「ラムウまで・・・無茶させすぎですよ」

「グルルルルルル・・・」
「へっ・・・でけえ図体しやがって・・・いくぞオラァ!」

ズボムッ!

「よっしゃあ入ったぁ!どうだ!?」
「グルルルル・・・」
(くそっ!全然効いてねぇ・・・だったら!)

「うぉぉおおおお!!オラオラオラオラ!」

ズボボボボボボッ!
腹めがけてパンチを連打した

「お、おお・・・すごいパンチ力だ」
「あまりの威力と連打にベアトードの体が浮いている・・・!?」

「オラァ!内臓破裂しろや!」

ズバァッ!!!
という音と共にベアトードの腹が破れた

「ぐえ・・・血が汚ぇ・・・」
「す、すごい!」
「おーいどうだぁこれが俺の力だ!」
「なんてやつだ・・・いきなりベアトードに勝っちまいやがった・・・」
「彼ならば・・・いや彼の世代ならばやれるかもしれない・・・大魔王を倒すことが」

(ククク・・・大魔王を倒すだと?)

突如空間が割れて空から何者かが現れた・・・

「何者!?」
「フハハハハ!貴様らは今から死ぬのだ」
「お前は・・・魔王軍幹部ザイル!」
「原山逃げろ!」
「あ?なんでだよ?あんなやつぶっとばしちまえばいいだろ」
「そういうレベルじゃない敵だ!」
「幹部だかなんだか知らねえけど俺が相手だ、かかってこい」
「バカが自ら死にに来るとは」

ザイルは腕をブンっと振るった

「う、うぉぉおおおおお!!」

身体は空に持ち上げられなにが起こっているかわからないうち、地面に落下する

「ぐあっ!」
「トドメだ死ね!」

ザイルの腕が光りエネルギーの珠が徐々に大きくなってゆく
(やべえ身体が全然動かねぇ・・・マジか・・・これ俺死ぬのか・・・)

エネルギー弾が投げられた、これ当たるわ・・・くそっ!

「させるか!」

弾が当たる直前、目の前ににそれは現れた

「ぐわぁああああああ!」
「カイト!」

お、おい・・・まさか俺をかばって・・・

「ぐっ・・・原山・・・」
「て、てめえなんで・・・?」
「聞け、いまから俺の力をすべてお前に授ける・・・そうすりゃあ」
「なに言ってる!おい!」
「うるせぇ・・・俺の腹パン力・・・受け取れぇ!」

カッ!
辺りが閃光に包まれた

「こ、この光は・・・?」
「継承の儀だ・・・カイトの腹パン力が原山君へと受け継がれたのです・・・」

「ククク・・・なにをやっているかと思えば、力を授ける?貴様らザコがいくらあがいてもムダ!ムダムダムダァ!」

「おい・・・誰がザコだって?」

「っ!?貴様!いつの間に」

「戦いの最中によそ見してんじゃねえぇ!」

バキッ!

「ぐぁっ!」
「当たった・・・腹山のパンチが顔面ヒットだ!」
「よくも・・・ザコの分際で・・・こうなれば・・・」

ゴゴゴゴゴ・・・

「ヤバい!凄まじいエネルギー量だ!おい原山避けろ!」
「いいや、突っ込む!」
「!?」
「敵が、繰り出すより先に・・・腹パンを叩き込むっ!!」

ドゴォッ!

「かっ・・・はっ・・・!」
「やった!?」
「まだだ・・・もう一発!」
「ぐはっ!」
「てめえのっ!」
ドゴッ!
「臓物を!」
ドゴッ!
「ぶちまけるまで!」
ドゴッ!
「何度でも腹パンをぶち込むっ!」
ドゴゴゴゴッ!

「ま、待て・・・や、やめて・・・」
「これでトドメだぁあああああ!!」
「あの技は!?」

「ひぃぃぃっさつ!コーク・・・スクリュウ・・・腹ぱぁぁぁあん!!」

ドバァアアアアアア!!!!

血しぶきを上げザイルの腹に大きな風穴が開く!

「ま・・・まさか・・・このオレが・・・」

「あのヤロウ・・・伝説のコークスクリュー腹パンを・・・」
「カイトですら修得できなかったのに・・・」
――


「すまねえ、オレのせいでカイトが・・・」
「気にするな、こういうのは役割ってもんがあるんだ」
「力を受け継いだ原山くんには死んだカイトの分までがんばってもらいます」
「そっか、やるしかねえな」
「おーい、オレギリ生きてるから・・・」
「カイト!無事だったのか!」
「無事とは言い切れないがギリだ見たらわかるだろこれ」
「そうか、そうだな・・・うんごめん」
「ま、オレの力はもう全部原山に渡した、あとは頼んだぜ」
「頼んだぜ腹パン」
「これからもよろしくお願いしますよ腹パン」
「期待しているぞ腹パン」
「せめて勇者つけてくれない?腹パンだけだとフジテレビのアナウンサーとか七曲署の刑事みたいになるだろ?」
「さて、帰るか」
「おい無視すんな!殺すぞ!」

腹パン勇者の英雄譚はここからはじまった・・・
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...