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ミサリー視点

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私は子供の頃からイネスと仲良しだ。

初恋もイネスだと思う。

近くにいすぎて、淡い恋心のようなものも、友達のような兄妹のようなものもイネスにはある。

イネスに彼女ができても、私が彼氏を作ってもお互いになんとも思わない。


私が好きになったジョンに裏切られ、子供までお腹にいるのに、いつの間にかいなくなってしまった。

そう逃げられたんだ

どうしても産みたい私は母親に相談した。

母が、イネスの家に結婚を頼んでくれた。

その時は私だって1年のつもり、子供が産まれたら、イネスと離縁して迷惑かけたことを詫びようと思ってた。

でも、結婚式で頬にキスをされたときに、ドキッ胸が苦しくなった。

あぁ、私はイネスが、イネスを好きなんだ。

整った精悍な顔立ち。
スッとした体格。

どれをとっても私の好みだったんだ。

わかってしまったら、離れられない。

別れものか!

申し訳ないけど、イネスは私のもの。

子供が産まれても、何にも言わない私に痺れを切らせたイネスが、
毎日言ってくる。

「ミサリー、いつになったら離縁してくれるの?」

「もう、家に帰れるのではないか?」

「僕は彼女を、サリーと一緒になりたいんだ」

「いいかげにしてくれ!」

「子供が産まれるまでって言ったじゃないか!
僕はサリーと一緒になりたいんだ。
何で僕とサリーが我慢しなきゃならないんだ。」

私は返事をしない

そしてイネスを誘惑する



薄い全裸にしか見えない夜着を着て

イネスの部屋へ行く。

「イネス、ねぇ、キスして」

「イネス、抱いてよ」

「イネスも寂しいでしょ?」

イネスは睨んで部屋を出ていく

イネスだって男だ

いつか私の誘惑に負けるはず。

ふふふっ





母が来た

もう家に帰ってきなさい

お父様にも伝えてあると。

イネス君と仲が悪くなったことにしてあるという。

勝手なことしないで!!



私だって本当はわかってる

イネスに嫌われていることくらい。

でも、居心地がよいの。

温もりを感じてしまったの。

嫌だ!イネスから離れたくない。





私は小さい時から、
王子様が迎えに来るのと言っていたらしい。

年ごろになると、恋愛小説ばかり読むようになり、恋に恋した。

だから、ジョンみたいに王子様ようなキラキラした顔が好きになった。


イネスに迷惑かけてるのもわかってる

いつもそんな日常のことばかり日記に書く。

イネスごめんね。ごめんね。

でも、離れたくないのと書く。




私は好きな小説を書いては何回も応募している

冊子にしてもらったものもある。

書くのが楽しい。読むのも楽しい。

イネスを王子様にして、恋愛小説を書くのがとても楽しい。

イネスとサリーさんの悲恋も書いた。

だって、イネスには私がいるから。

母があまりにも家に来なさいというから仕方なく向かう。

マリエは私が抱くと泣き叫ぶから
侍女に頼んだ。

絶対に家には帰らない。

イネスは私が本当は好きなんだと、母に言うつもり。

きっと仲良い夫婦になれるはずだから。

だってサリーさん見つからないのでしょ?




そんな事を考えていたら、
反対から馬車が突っ込んできた

私は横転した馬車の下敷きになってしまった

あぁ、バチが当たったのかな

イネスを苦しめた、サリーさんを苦しめた


「ごめんなさい。

イネス………サリーさん、ご…めん」

「マリ……エ」


私の意識が遠退く

ダメ、ダメ ここで死んだら迷惑かけちゃう

「お父…様…お…母様………イネ…ス マ……リエ」


「ごめん……な…さい」


そう伝えるのが精一杯だった


スッと意識をなくした









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