91 / 174
91.頭痛の原因はクリスタルでした
しおりを挟む
目を開けると、カイリ殿下がベッドの縁で私の手を握って、頭を撫でていた
手から伝わるカイリ殿下の温かさにホッとする
「目が覚めたか?」
ボーっとして返事も出来ずに天井を見つめる
「もう少し眠っていて良いぞ」
そう言って、私の頭を優しく撫で続ける
「カイリ殿下は、何でこうしてくれるんですか?」
私はふと疑問に思って聞いた
「ん?」
殿下は『何が?』という顔をして、私の手を握っている手をちらっと見て、私の頭を撫でる手を離した
「すまない。つい癖でな……」
「ルゥ達が体調崩した時に、眠れないって言うから、こうしてやってるうちに癖になってしまったようだ……」
つまり、こうやって寝入りを見守るってのが板に着いてしまってるわけですね……
この感じだと、多分トキ殿下も同じ理由なんだろうな……
良い兄弟だな~
ボーっとそんなことを考えていると、ガチャっとドアが開く音がした
「どぅ?具合は?」
そう言ってトキ殿下が近づいてくる
体が重くて動かせなくて、天井を見つめたままトキ殿下の気配を隣に感じる
「大丈夫?」
そう言って、私の頬をスルッとなでた
夢で見たような不快な手の感覚とは違って、トキ殿下の手は私の頬に熱をともす
「頭が痛い……気がします」
動かす気力がないし、体もなんか重いし、頭はズキズキとした鈍い痛みが続いている。
すると、トキ殿下は、ピンクの小瓶を取り出して、片手で器用に蓋を開けた
そのままグイッと小瓶の中のものを口に含むと、私の唇に親指をかける
私はその指に反応して口元を弛めて、だらしなく口を開けた
トキ殿下の顔がゆっくり近ずいてくる
そのまま口移しで小瓶の中身が私の口の中に注がれた
トキ殿下の魔法薬は、口の中でフワリと消えて、全身にひろがった
フワフワとした癒しの空気が体を包む
頭が軽い
「うん。良さそうだね。」
トキ殿下は効果の程を観察すると、私の背中に手を添え、半身を起き上がらせてくれる
頭痛はしないし、体も軽い。ただ動く気力はない
私はなされるがまま、トキ殿下の肩に頭を預けると、殿下は私の背中をトントンとリズムよく触れる
あ。トキ殿下にもルゥ君の寝かしつけエピソードが……ある……はず……
そんなことを聞きたかったけど、言葉にならなくて、そのままトキ殿下の腕の中でウトウトと眠りについた
手から伝わるカイリ殿下の温かさにホッとする
「目が覚めたか?」
ボーっとして返事も出来ずに天井を見つめる
「もう少し眠っていて良いぞ」
そう言って、私の頭を優しく撫で続ける
「カイリ殿下は、何でこうしてくれるんですか?」
私はふと疑問に思って聞いた
「ん?」
殿下は『何が?』という顔をして、私の手を握っている手をちらっと見て、私の頭を撫でる手を離した
「すまない。つい癖でな……」
「ルゥ達が体調崩した時に、眠れないって言うから、こうしてやってるうちに癖になってしまったようだ……」
つまり、こうやって寝入りを見守るってのが板に着いてしまってるわけですね……
この感じだと、多分トキ殿下も同じ理由なんだろうな……
良い兄弟だな~
ボーっとそんなことを考えていると、ガチャっとドアが開く音がした
「どぅ?具合は?」
そう言ってトキ殿下が近づいてくる
体が重くて動かせなくて、天井を見つめたままトキ殿下の気配を隣に感じる
「大丈夫?」
そう言って、私の頬をスルッとなでた
夢で見たような不快な手の感覚とは違って、トキ殿下の手は私の頬に熱をともす
「頭が痛い……気がします」
動かす気力がないし、体もなんか重いし、頭はズキズキとした鈍い痛みが続いている。
すると、トキ殿下は、ピンクの小瓶を取り出して、片手で器用に蓋を開けた
そのままグイッと小瓶の中のものを口に含むと、私の唇に親指をかける
私はその指に反応して口元を弛めて、だらしなく口を開けた
トキ殿下の顔がゆっくり近ずいてくる
そのまま口移しで小瓶の中身が私の口の中に注がれた
トキ殿下の魔法薬は、口の中でフワリと消えて、全身にひろがった
フワフワとした癒しの空気が体を包む
頭が軽い
「うん。良さそうだね。」
トキ殿下は効果の程を観察すると、私の背中に手を添え、半身を起き上がらせてくれる
頭痛はしないし、体も軽い。ただ動く気力はない
私はなされるがまま、トキ殿下の肩に頭を預けると、殿下は私の背中をトントンとリズムよく触れる
あ。トキ殿下にもルゥ君の寝かしつけエピソードが……ある……はず……
そんなことを聞きたかったけど、言葉にならなくて、そのままトキ殿下の腕の中でウトウトと眠りについた
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜
三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。
「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」
ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。
「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」
メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。
そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。
「頑張りますね、魔王さま!」
「……」(かわいい……)
一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。
「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」
国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……?
即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。
※小説家になろうさんにも掲載
冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています
放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。
希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。
元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。
──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。
「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」
かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着?
優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる