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第二章
第39話 王都防衛戦
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王都へと急行する無名の視界に飛び込んできたのは、大結界は消えてなくなり煙が立ち昇る王城の姿だった。
もう既に戦闘が始まっているのか、各所で火の手があがり、柱のように黒い煙が天へと伸びている。
「もっと速くッ!稲妻よりも疾く!」
無名は更に加速し王都を目指す。
主力であるドレイクが離れてしまい、王都の戦力で高位魔族を複数相手取るのはかなり厳しいだろう。
急いで救援に向かわねばと無名は焦燥感に駆られていた。
王都の街並みが肉眼で確認できる距離まで近付くと、見知った人が地上で魔族と戦っているのが見えてきた。
無名は目標地点をその場所に定め、急降下する。
「雷撃一閃!」
着地と同時に魔族に雷の斬撃を飛ばすと、戦っていた人へと視線を向けた。
「無名さん……来てくれましたか」
戦っていたのはセニアだった。
青い綺麗な髪は連戦の影響か汚れて艶はなくなっていた。
剣も血が滴り激しい戦いを繰り広げていたのが分かる。
無名は魔族を斬り払った後セニアへと声を掛けた。
「セニアさん、状況はどうなっていますか?」
「突然現れた魔族の襲撃により大結界は崩壊しました。その後は見て分かる通り総力戦です」
冒険者も総出で戦っているらしく、まだ王城は落とされていないとの事。
しかしそれも時間の問題だろう。
現在王城を守る主力はランスロットや勇者達。
高位魔族が相手ならランスロットも手は塞がる。
そうなれば残りのメンバーで国王を守れるかという話しになってくるが、公爵級と戦った無名はそれがどれだけ厳しい戦いを強いられるか知っていた。
「すぐに王城に向かいます。この辺りは任せてもよろしいですか?」
「この辺りは私一人でも事足りるでしょう。無名さんはできるだけ早く王城へと向かってください」
セニアの実力ならそう簡単に死ぬ事はない。
その信頼感から無名は頷くと王城へと急いだ。
――――――
無名やドレイク達が城を発ってから半刻。
突如激しい音を立てて大結界が砕け散った。
「ッッッ!?大規模な攻撃を受けました!」
高火力の攻撃を多方向から受けた為、莉奈の大結界は脆くも崩れ去った。
生半可な攻撃ではビクともしないはずの結界がいとも簡単に破られたせいで、王城にいた者達は呆気にとられていた。
「騎士団はすぐに外へ出ろ!魔族が流れ込んでくる!なんとしても食い止めよ!」
ランスロットが激を飛ばすと待機していた騎士達は一斉に王城の外へと駆け出していく。
「俺達も行こう!」
黒峰と茜も武器を片手に王城の外へと急いだ。
莉奈は大結界の維持に膨大な魔力を注ぎ込んでいた為、戦いに参加することはできない。
王城から出て行く者達を見守る事しかできなかった。
「ワタクシ達も出番が来ましたわ!皆さん前衛の騎士達に支援魔法を!」
フリアーレは魔法師団に所属する魔法使い達に命令を下す。
王国で唯一の安全地帯が失われれば、騒ぎが大きくなる。
逃げ延びていた王国民達は震え上がり、みな家屋へと姿を隠していく。
王城の外に出た魔法師団副長は目を疑った。
大勢の魔族や魔物が王城を取り囲んでいたのだ。
「クッ!ドレイク殿が離れたこのタイミングで!」
「勇者様も離れたばかりです!」
ロルフは悔しそうな顔で歯を食いしばった。
明らかに狙っていた行動。
王国勇者最強と名高い無名がいれば簡単には落とせないと考えたのだろう。
「全員迎え撃て!絶対に王城へは張り付かせるな!」
ロルフが叫び、魔法使い達はそれに呼応するかのように結界を展開していく。
とはいえ莉奈の張っていた大結界ほど強固なものではない。
しかしないよりはマシだと誰もが、王城を覆うように結界を張る。
「俺達も出番が来たようだよ」
王国軍から少し離れた所で"静かなる裁き"のクランマスターは遠目に魔族を見ていた。
彼らのような冒険者は王城に立て籠もってはいない。
すぐにでも行動できるよう、近くの家屋に潜んでいたのだ。
「分かっているね?ここが踏ん張りどころさ。"静かなる裁き"のメンバー全員に告げる、行動開始!」
クランマスターの合図と共に複数の家屋から冒険者が飛び出し王城を狙う魔族達の背後を取った。
魔法や矢が飛び交い、不意を突かれた魔族や魔物は次々に死んでいく。
「ズルいだなんて言わないでくれよ?君達魔族は人間よりも遥かに能力が優れているんだから」
クランマスターは不敵に笑い、目の前の魔族を斬り飛ばした。
「剣はあまり得意じゃないけど……背後からなら簡単に斬れるじゃないか」
場は混乱を極めた。
王城から出てくる王国軍と背後から迫る冒険者連中。
そのどちらも相手をしなければならない魔族にとってはやりにくいの一言に尽きる。
「マスター、私は周りの雑魚を排除してきます」
「ああ、頼んだよセニア」
王城を狙う魔族にクランの主力をぶつけないのは理由があった。
戦力の分散。
"静かなる裁き"の得意とする戦法だった。
二手に別れていれば片方の戦力が落ちてしまう欠点はあるが、万が一強力な相手がいた場合全滅を防ぐ事ができる。
冒険者は何があるか分からないのが日常だ。
仲間の助けはどんな時でも必要になる。
今回もセニアを別行動させたのは、それを危惧しての考えだった。
「栄光の閃き!」
黒峰の剣が光り、複数の魔物は一撃で屠っていく。
今ではもうレベル6に迫る勢いで力をつけている黒峰は、王国軍の主力であった。
「大輝の仇だ!死ね!重力百倍!」
茜の切り札が発動すると、空に浮かんでいた魔族達は一斉に地面へと叩き付けられた。
空の勇者だからこそ使える重力系魔法。
威力はもちろんの事、消費魔力も相応に大きい。
つまり、何度も使える魔法ではなかった。
「重力百倍!重力百倍!」
それでも茜は切り札を連発していく。
そのお陰か空に浮かぶ魔族は一人もいなくなっていた。
ただ、上級魔法の連続行使は茜を消耗させるのに十分過ぎた。
魔力が尽きた茜は地面に降り立ち、肩で息をする。
「ハァ……ハァ……まだだ!もっと殺してやる!」
茜の気迫に押されたのか近くに迫っていた魔族は足を止める。
しかし、何処からどう見てもただの小娘が粋がっているだけ。
そう判断した魔族は剣を片手に茜へと飛び込む。
「貴様ら勇者はここで確実に始末――」
魔族の身体は真っ二つに裂け、地面に転がった。
茜には反撃する力は残っておらずこのまま殺されると覚悟していた所に助けが入ったのだ。
「おっと、危ないところだったよ」
助けに入った男は深くフードを被っており顔が確認できなかった。
だが茜から見ても格上である事はすぐに理解できた。
魔族を真っ二つにした動きが見えなかったのだ。
圧倒的速さで剣を振るったのか、それとも茜に気付かせない程速く魔法を使ったのか。
どちらにせよ茜よりも高い実力を持つことは確実であった。
「手を貸そうか?」
男は茜にそう問い掛けると、背中から二本の剣を取り出す。
「悪いけど今は話してる途中なんだよ。邪魔しないでくれるかな?」
男は呟き二本の剣をほんの少しだけ動かす。
すると茜の視界に入っていた二体の魔族は先程と同様真っ二つに裂けてしまった。
「アンタ……何者なの?」
「さあ?何者でもないし仲間ですらないかもよ?」
「手を貸してくれるってんなら、この魔族や魔物を率いている大将を殺してきて」
「うーん、それは無理かなぁ」
茜の頼みを即座に断った男は、また剣を背中へと納める。
「何なのよアンタ……」
「うーん、自己紹介すると君とも殺し合う事になるけどいいかい?」
男は冗談めかして言っていたが、何となく茜はこの男と敵対するのは危険だと感じていた。
「いい。名前はもういい」
「そっか。じゃあまだ味方でいられるかな」
男はカラカラと笑うとまた剣を二本取り出す。
「さてと、今くらいは女の子にいい所を見せるとするかな」
男は双剣を構えるとフードの下でニヒルに笑った。
もう既に戦闘が始まっているのか、各所で火の手があがり、柱のように黒い煙が天へと伸びている。
「もっと速くッ!稲妻よりも疾く!」
無名は更に加速し王都を目指す。
主力であるドレイクが離れてしまい、王都の戦力で高位魔族を複数相手取るのはかなり厳しいだろう。
急いで救援に向かわねばと無名は焦燥感に駆られていた。
王都の街並みが肉眼で確認できる距離まで近付くと、見知った人が地上で魔族と戦っているのが見えてきた。
無名は目標地点をその場所に定め、急降下する。
「雷撃一閃!」
着地と同時に魔族に雷の斬撃を飛ばすと、戦っていた人へと視線を向けた。
「無名さん……来てくれましたか」
戦っていたのはセニアだった。
青い綺麗な髪は連戦の影響か汚れて艶はなくなっていた。
剣も血が滴り激しい戦いを繰り広げていたのが分かる。
無名は魔族を斬り払った後セニアへと声を掛けた。
「セニアさん、状況はどうなっていますか?」
「突然現れた魔族の襲撃により大結界は崩壊しました。その後は見て分かる通り総力戦です」
冒険者も総出で戦っているらしく、まだ王城は落とされていないとの事。
しかしそれも時間の問題だろう。
現在王城を守る主力はランスロットや勇者達。
高位魔族が相手ならランスロットも手は塞がる。
そうなれば残りのメンバーで国王を守れるかという話しになってくるが、公爵級と戦った無名はそれがどれだけ厳しい戦いを強いられるか知っていた。
「すぐに王城に向かいます。この辺りは任せてもよろしいですか?」
「この辺りは私一人でも事足りるでしょう。無名さんはできるだけ早く王城へと向かってください」
セニアの実力ならそう簡単に死ぬ事はない。
その信頼感から無名は頷くと王城へと急いだ。
――――――
無名やドレイク達が城を発ってから半刻。
突如激しい音を立てて大結界が砕け散った。
「ッッッ!?大規模な攻撃を受けました!」
高火力の攻撃を多方向から受けた為、莉奈の大結界は脆くも崩れ去った。
生半可な攻撃ではビクともしないはずの結界がいとも簡単に破られたせいで、王城にいた者達は呆気にとられていた。
「騎士団はすぐに外へ出ろ!魔族が流れ込んでくる!なんとしても食い止めよ!」
ランスロットが激を飛ばすと待機していた騎士達は一斉に王城の外へと駆け出していく。
「俺達も行こう!」
黒峰と茜も武器を片手に王城の外へと急いだ。
莉奈は大結界の維持に膨大な魔力を注ぎ込んでいた為、戦いに参加することはできない。
王城から出て行く者達を見守る事しかできなかった。
「ワタクシ達も出番が来ましたわ!皆さん前衛の騎士達に支援魔法を!」
フリアーレは魔法師団に所属する魔法使い達に命令を下す。
王国で唯一の安全地帯が失われれば、騒ぎが大きくなる。
逃げ延びていた王国民達は震え上がり、みな家屋へと姿を隠していく。
王城の外に出た魔法師団副長は目を疑った。
大勢の魔族や魔物が王城を取り囲んでいたのだ。
「クッ!ドレイク殿が離れたこのタイミングで!」
「勇者様も離れたばかりです!」
ロルフは悔しそうな顔で歯を食いしばった。
明らかに狙っていた行動。
王国勇者最強と名高い無名がいれば簡単には落とせないと考えたのだろう。
「全員迎え撃て!絶対に王城へは張り付かせるな!」
ロルフが叫び、魔法使い達はそれに呼応するかのように結界を展開していく。
とはいえ莉奈の張っていた大結界ほど強固なものではない。
しかしないよりはマシだと誰もが、王城を覆うように結界を張る。
「俺達も出番が来たようだよ」
王国軍から少し離れた所で"静かなる裁き"のクランマスターは遠目に魔族を見ていた。
彼らのような冒険者は王城に立て籠もってはいない。
すぐにでも行動できるよう、近くの家屋に潜んでいたのだ。
「分かっているね?ここが踏ん張りどころさ。"静かなる裁き"のメンバー全員に告げる、行動開始!」
クランマスターの合図と共に複数の家屋から冒険者が飛び出し王城を狙う魔族達の背後を取った。
魔法や矢が飛び交い、不意を突かれた魔族や魔物は次々に死んでいく。
「ズルいだなんて言わないでくれよ?君達魔族は人間よりも遥かに能力が優れているんだから」
クランマスターは不敵に笑い、目の前の魔族を斬り飛ばした。
「剣はあまり得意じゃないけど……背後からなら簡単に斬れるじゃないか」
場は混乱を極めた。
王城から出てくる王国軍と背後から迫る冒険者連中。
そのどちらも相手をしなければならない魔族にとってはやりにくいの一言に尽きる。
「マスター、私は周りの雑魚を排除してきます」
「ああ、頼んだよセニア」
王城を狙う魔族にクランの主力をぶつけないのは理由があった。
戦力の分散。
"静かなる裁き"の得意とする戦法だった。
二手に別れていれば片方の戦力が落ちてしまう欠点はあるが、万が一強力な相手がいた場合全滅を防ぐ事ができる。
冒険者は何があるか分からないのが日常だ。
仲間の助けはどんな時でも必要になる。
今回もセニアを別行動させたのは、それを危惧しての考えだった。
「栄光の閃き!」
黒峰の剣が光り、複数の魔物は一撃で屠っていく。
今ではもうレベル6に迫る勢いで力をつけている黒峰は、王国軍の主力であった。
「大輝の仇だ!死ね!重力百倍!」
茜の切り札が発動すると、空に浮かんでいた魔族達は一斉に地面へと叩き付けられた。
空の勇者だからこそ使える重力系魔法。
威力はもちろんの事、消費魔力も相応に大きい。
つまり、何度も使える魔法ではなかった。
「重力百倍!重力百倍!」
それでも茜は切り札を連発していく。
そのお陰か空に浮かぶ魔族は一人もいなくなっていた。
ただ、上級魔法の連続行使は茜を消耗させるのに十分過ぎた。
魔力が尽きた茜は地面に降り立ち、肩で息をする。
「ハァ……ハァ……まだだ!もっと殺してやる!」
茜の気迫に押されたのか近くに迫っていた魔族は足を止める。
しかし、何処からどう見てもただの小娘が粋がっているだけ。
そう判断した魔族は剣を片手に茜へと飛び込む。
「貴様ら勇者はここで確実に始末――」
魔族の身体は真っ二つに裂け、地面に転がった。
茜には反撃する力は残っておらずこのまま殺されると覚悟していた所に助けが入ったのだ。
「おっと、危ないところだったよ」
助けに入った男は深くフードを被っており顔が確認できなかった。
だが茜から見ても格上である事はすぐに理解できた。
魔族を真っ二つにした動きが見えなかったのだ。
圧倒的速さで剣を振るったのか、それとも茜に気付かせない程速く魔法を使ったのか。
どちらにせよ茜よりも高い実力を持つことは確実であった。
「手を貸そうか?」
男は茜にそう問い掛けると、背中から二本の剣を取り出す。
「悪いけど今は話してる途中なんだよ。邪魔しないでくれるかな?」
男は呟き二本の剣をほんの少しだけ動かす。
すると茜の視界に入っていた二体の魔族は先程と同様真っ二つに裂けてしまった。
「アンタ……何者なの?」
「さあ?何者でもないし仲間ですらないかもよ?」
「手を貸してくれるってんなら、この魔族や魔物を率いている大将を殺してきて」
「うーん、それは無理かなぁ」
茜の頼みを即座に断った男は、また剣を背中へと納める。
「何なのよアンタ……」
「うーん、自己紹介すると君とも殺し合う事になるけどいいかい?」
男は冗談めかして言っていたが、何となく茜はこの男と敵対するのは危険だと感じていた。
「いい。名前はもういい」
「そっか。じゃあまだ味方でいられるかな」
男はカラカラと笑うとまた剣を二本取り出す。
「さてと、今くらいは女の子にいい所を見せるとするかな」
男は双剣を構えるとフードの下でニヒルに笑った。
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※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
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