あまやどりの葉っぱ

仲上陽人

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あまやどりの葉っぱ

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 ちょうちょがふわりふわりととんでいます。

 ごはんをたべようとおもって、おはなをさがしていました。

 そのとき、あめがふってきました。


 「はねがぬれちゃうととべなくなっちゃうな」
 ちょうちょはそうおもい、大きな葉っぱのしたであまやどりをすることにしました。


 するとそこへ、ちかくをあるいていたありさんが、
 「あめで地面がぬれて、泥だらけになるとあるけないから」
 といって、あまやどりにきました。


 「ありさんこんにちは。」
 「ちょうちょさんこんにちは。」
 「あめがふってきましたね。」
 「そうですね。」

 ちょうちょさんとありさんは、おなじ葉っぱのしたであまやどりをすることにしました。


 「ありさん、ぼくね、おなかがすいておはなをさがしていたんだ。」
 「そうかい。そういえばあっちのほうこうにおはながあったようなきがするよ。」
 「ほんとうかい。あめがやんだらいってみるかな。」
 「おいしいごはんがみつかるといいね。」
 「ありがとう。」


 ちょうちょさんとありさんがおはなししているところへ、こんどはばったさんがやってきました。
 「あめでからだがぬれると、からだがおもくって、たかくジャンプしてあそべないんだ。」
 といって、同じ葉っぱのしたへやってきました。


 「ちょうちょさん、ありさんこんにちは。」
 「ばったさんこんにちは。」
 「あめがふってきましたね。」
 「そうですね。どれぐらいふるでしょうね。」


 あめがまだしとしとふっています。



 「ちょうちょさん、ありさん、ぼくはたかくジャンプしてあそぶのがすきなんだけど、ちょうちょさんとありさんはなにをしてあそぶのがすきなんだい。」
 「ぼくはちょうちょだから、ふわふわととんでいるときが、とってもたのしいんだ。かぜがきもちよくてね。」
 「ぼくはありだから、なかまがいっぱいいるんだ。なかまといっしょにおはなししているときがいちばんすきだよ。」



 そんなおはなしをしているところに、すずむしがやってきました。
 「あめにぬれると、いいうたがうたえないんだ。」
 そういうと、おなじ葉っぱのしたであまやどりをすることになりました。

 「ちょうちょさん、ありさん、ばったさん、こんにちは。」
 「すずむしさんこんにちは。」
 「あめがやみませんね。」
 「そうですね。」

 あめはまだしとしとふっています。


 「そうだ、ちょうちょさん、ありさん、ばったさん、この葉っぱのしたならあめにぬれないから、いいうたがうたえるんだけど、うたってもいいかい。」
 「とってもいいね。ぜひきかせてよ。」

 すずむしはとってもきれいなうたをうたっています。
 ちょうちょさんと、ありさんと、ばったさんは、とってもえがおでたのしそうです。



 みんなでうたをうたっていると、葉っぱのちかくをかたつむりさんがとおりました。
 
 「おや、かたつむりさんもあまやどりしていかないかい。みんなでうたをうたってとってもたのしいよ。」
 「さそってくれてありがとう。とってもたのしそうだけど、でもぼくはあめがふっていないとあるけないから、いまのうちにがんばってあるくんだ。」
 「そうなんだね。ぼくたちはあめがふってこまっていたんだけど、かたつむりさんはあめがふってうれしそうだね。」
 「ぼくは、いま、あめがふってとってもたのしいんだ。じゃあまたあおうね、ちょうちょさん、ありさん、ばったさん、すずむしさん。」
 「ばいばいかたつむりさん、またね。」


 みんなはまたうたをうたいながら、葉っぱのしたでたのしくすごしています。



 しばらくうたっていると、ちょうちょさんがきがつきました。


 「あれ。あめがやんでいるよ。」
 「ほんとだね。」

 いつのまにか、あめがやんでいました。

 「じゃあ、ぼくはおなかがすいたし、ありさんにきいたところにおはなをさがしにいくね。みんながいてくれて、とってもたのしかったよ。またあおうね。」
 「ぼくも、もうなかまがまつおうちへかえらなくちゃ。みんなでうたをうたってたのしかった。またね。」
 「ぼくも、ひろいそうげんのなかで、たかくジャンプしてあそぼうかな。みんながいてくれて、とってもわらってたのしかったよ。またいつかどこかで。」
 「ぼくも、とってもたのしかったよ。ぼくのうたをきいてくれて、みんなでうたってくれて、とってもうれしかったよ。ありがとう。ばいばい。」



 みんなはそういって、ちがうほうこうへむかいました。

 みんなとってもえがおで、たのしそうです。



 
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