トライアングル

五嶋樒榴

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しほな・衝撃

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私たちの話が落ち着くとマスターが私に声を掛けてきた。

「しほなさんはお仕事は何を?」

声もイケメン、大人の男だわと聴き惚れながら聞いて私は答えた。

「設計事務所で建築士の仕事してます」

マスターは魅力的な笑顔で微笑んだ。

「ああ、だからこの店をよくご覧になっていたんですね。失礼、職業病ですかね。つい始めていらっしゃったお客様の行動を見てしまって」

見透かされていたと思うと私は頬が熱くなった。

「もしよろしければ、お名刺いただけませんか。今度内装のアドバイスをしていただけたら嬉しいです」

私はせっかくマスターに言われたのに、あいにく今日は名刺を持っていなかった。

「今夜はプライベートだったので、名刺を持っていなくて」

残念そうに言う私にマスターはまたにっこり笑って言う。

「もしよろしければまたお越しください。もう怖くないでしょ?」

確かに入るまでは敷居が高かったが、また一人でも来たいと思っていたのも事実だった。
この人の千里眼にかかっては、誰も否定できないだろうなと思ってしまった。

「ええ、ぜひ。次回は一人で」

私が言うと久利が「俺が連れてきたのに」と悔しそうに言った。
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