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東の館
次の日の朝、ジョージの館に行く前に皆んなに挨拶をした。
「短い間でしたが、本当にありがとうございました。エリーズ様が皆様にご迷惑をお掛けするかもと思うと心苦しいのですが」
「何を言ってるのよ!私達は辺境伯家の使用人よ。色んな意味で最前線には慣れっこよ」
「そうよ、そうよ!」
「何も心配する事はないからね」
さすがに、ただの貴族の使用人ではないと、私も皆んなの顔を見てホッとした。
そして私とマリエッタは、ジョージが住む東の館へ、荷物を積んだ馬車で移動した。
同じ敷地内だと言うのに、本当にどんだけフォンダート家の庭は広いのよ。
「あちらの執事のトゥーリスは私と幼馴染でして。少し厳しいところが有りますが、フォンダート家にもちろん忠実ですのでご安心ください」
シュナイダーみたいには、おっとりしてないってことかな。
「マリエッタ。あちらでも、フィリシアさんをよろしく頼みますよ」
「大丈夫です!執事のトゥーリスさんとも、小さい頃からよく知っている仲ですから」
さすが幼い頃から、フォンダート家に家族で仕えているだけある。
マリエッタ、頼もしい!
「ジョージ様の館の使用人は全員で5名です。執事のトゥーリス、料理人のベン、料理人見習いのカブス、侍女長のメラ、侍女のミラルダ」
流石に、クロードのいる屋敷とは人数が違う。
「フィリシアさんとマリエッタの仕事は、メラに指導してもらってください」
「分かりました」
仕事はクロードの屋敷でやって来たことと変わらんだろう。
まあジョージとは、仲良くしたいとは思わないがクロードの為だ。
手入れの行き届いた外観の館に到着して、やはり大きさは本宅よりだいぶ小さいと思ったのが第一印象だった。
馬車の御者が私とマリエッタの荷物を下ろしてくれて、私とマリエッタはシュナイダーの後を付いて屋敷の玄関の前に立った。
シュナイダーが玄関前のベルをカランカランと鳴らすと、しばらくして恰幅のいい女が出て来た。
「いらっしゃいませ、シュナイダーさん」
「侍女長のメラです」
シュナイダーが紹介をしてくれたので、私は頭を下げた。
「ミュルゲール家から来た、フィリシアと申します」
「はいはい、昨日、ジョージ様から聞いてますよ。マリエッタ、久しぶりねー」
「よろしくお願いします、メラさん」
マリエッタはメラと顔見知りだけあって、至って普通に挨拶する。
「ここで立ち話も何ですから、皆さんお入りになってね」
私たちはメラの案内で、使用人たちの休憩の部屋に案内された。
そこには、執事服を着た少しだけ神経質そうなトゥーリスと、料理長の刺繍の入った白衣を着たポッチャリ体型のベンと、刺繍の無い白衣姿の若くて筋肉質のカブス、そして、ベンと同年齢くらいのおっとりとした感じのミラルダがいた。
「フィリシアです。皆さん、よろしくお願いします」
私は全員に向けてお辞儀をした。
「直ぐには慣れない事もあるだろうけど、メラやミラルダに聞きながら、ジョージ様のお世話をお願いしたい」
「はい。トゥーリスさん、よろしくお願いします」
私が直ぐに名前を呼んだので、トゥーリスは少しだけ驚いていた。
「では、皆んなを紹介しよう」
トゥーリスが仕切り直す。
「あ、待ってください。もう皆さんの名前は覚えました」
もう?と東の館の使用人達だけじゃなく、シュナイダーとマリエッタまで驚いている。
「侍女長のメラさん。侍女のミラルダさん。料理長のベンさんに、ベンさんのアシスタントのカブスさん」
私が1人ずつ顔を見ながら名前を呼んだ。
「一度聞いただけで覚えたんですね。凄いですよ、フィリシアさん」
馬車の中で聞いただけで、私がもう覚えていたことに、本当にシュナイダーはびっくりする。
5人ぐらいなら楽勝だ。
大勢のターゲットの、名前から役職まで一気に暗記できなければ、殺し屋なんて務まらなかったからな。
「フィリシアは他にも凄いのよ!旦那様の仮面を作ったり、旦那様の料理長がびっくりする様な料理を作ったり、手荒れの薬も作れちゃうんだからッ!」
マリエッタが、自分の事のように自慢気に私を紹介してくれた。
「旦那様の仮面の話はもちろん知っているよ。まだお目に掛かって無いけどね」
トゥーリスが、柔らかい表情で私に話しかけた。
やっぱり仮面効果は絶大なのだ。
「珍しい料理は俺も興味あるなー。こっちでも作って欲しいもんだ」
「俺も知りたいっす」
ベンとカブスも料理の話には飛びついて来た。
「手荒れに効く薬だって?それは是非私も使いたいもんだわ。年々、手がガサガサになって大変なのよね」
「私もです。やっぱり30過ぎると、肌が荒れやすくなるんですねー」
メラとミラルダは、手を擦り合わせながら肌悩みを打ち明ける。
「料理も手荒れの薬もお任せください。他にも、私が出来ることは何でもしますから、どんな仕事でも任せてください!体を動かすことが大好きなんです」
本当に、この世界に来てから運動不足ったらありゃしない。
室内の掃除だけじゃなく、庭の手入れもしたいもんだわ。
「もー!フィリシアが何でもできちゃうから、私は必要なくなっちゃうー!」
マリエッタがぷくっと頬を膨らませた。
「あはは。マリエッタは、マスコットみたいなもんだろ」
カブスがマリエッタを揶揄うと、余計にマリエッタの頬は膨らんで皆んなが笑う。
皆んなの優しい雰囲気に、ここに移動になったのは良かったのかもと思った。
「短い間でしたが、本当にありがとうございました。エリーズ様が皆様にご迷惑をお掛けするかもと思うと心苦しいのですが」
「何を言ってるのよ!私達は辺境伯家の使用人よ。色んな意味で最前線には慣れっこよ」
「そうよ、そうよ!」
「何も心配する事はないからね」
さすがに、ただの貴族の使用人ではないと、私も皆んなの顔を見てホッとした。
そして私とマリエッタは、ジョージが住む東の館へ、荷物を積んだ馬車で移動した。
同じ敷地内だと言うのに、本当にどんだけフォンダート家の庭は広いのよ。
「あちらの執事のトゥーリスは私と幼馴染でして。少し厳しいところが有りますが、フォンダート家にもちろん忠実ですのでご安心ください」
シュナイダーみたいには、おっとりしてないってことかな。
「マリエッタ。あちらでも、フィリシアさんをよろしく頼みますよ」
「大丈夫です!執事のトゥーリスさんとも、小さい頃からよく知っている仲ですから」
さすが幼い頃から、フォンダート家に家族で仕えているだけある。
マリエッタ、頼もしい!
「ジョージ様の館の使用人は全員で5名です。執事のトゥーリス、料理人のベン、料理人見習いのカブス、侍女長のメラ、侍女のミラルダ」
流石に、クロードのいる屋敷とは人数が違う。
「フィリシアさんとマリエッタの仕事は、メラに指導してもらってください」
「分かりました」
仕事はクロードの屋敷でやって来たことと変わらんだろう。
まあジョージとは、仲良くしたいとは思わないがクロードの為だ。
手入れの行き届いた外観の館に到着して、やはり大きさは本宅よりだいぶ小さいと思ったのが第一印象だった。
馬車の御者が私とマリエッタの荷物を下ろしてくれて、私とマリエッタはシュナイダーの後を付いて屋敷の玄関の前に立った。
シュナイダーが玄関前のベルをカランカランと鳴らすと、しばらくして恰幅のいい女が出て来た。
「いらっしゃいませ、シュナイダーさん」
「侍女長のメラです」
シュナイダーが紹介をしてくれたので、私は頭を下げた。
「ミュルゲール家から来た、フィリシアと申します」
「はいはい、昨日、ジョージ様から聞いてますよ。マリエッタ、久しぶりねー」
「よろしくお願いします、メラさん」
マリエッタはメラと顔見知りだけあって、至って普通に挨拶する。
「ここで立ち話も何ですから、皆さんお入りになってね」
私たちはメラの案内で、使用人たちの休憩の部屋に案内された。
そこには、執事服を着た少しだけ神経質そうなトゥーリスと、料理長の刺繍の入った白衣を着たポッチャリ体型のベンと、刺繍の無い白衣姿の若くて筋肉質のカブス、そして、ベンと同年齢くらいのおっとりとした感じのミラルダがいた。
「フィリシアです。皆さん、よろしくお願いします」
私は全員に向けてお辞儀をした。
「直ぐには慣れない事もあるだろうけど、メラやミラルダに聞きながら、ジョージ様のお世話をお願いしたい」
「はい。トゥーリスさん、よろしくお願いします」
私が直ぐに名前を呼んだので、トゥーリスは少しだけ驚いていた。
「では、皆んなを紹介しよう」
トゥーリスが仕切り直す。
「あ、待ってください。もう皆さんの名前は覚えました」
もう?と東の館の使用人達だけじゃなく、シュナイダーとマリエッタまで驚いている。
「侍女長のメラさん。侍女のミラルダさん。料理長のベンさんに、ベンさんのアシスタントのカブスさん」
私が1人ずつ顔を見ながら名前を呼んだ。
「一度聞いただけで覚えたんですね。凄いですよ、フィリシアさん」
馬車の中で聞いただけで、私がもう覚えていたことに、本当にシュナイダーはびっくりする。
5人ぐらいなら楽勝だ。
大勢のターゲットの、名前から役職まで一気に暗記できなければ、殺し屋なんて務まらなかったからな。
「フィリシアは他にも凄いのよ!旦那様の仮面を作ったり、旦那様の料理長がびっくりする様な料理を作ったり、手荒れの薬も作れちゃうんだからッ!」
マリエッタが、自分の事のように自慢気に私を紹介してくれた。
「旦那様の仮面の話はもちろん知っているよ。まだお目に掛かって無いけどね」
トゥーリスが、柔らかい表情で私に話しかけた。
やっぱり仮面効果は絶大なのだ。
「珍しい料理は俺も興味あるなー。こっちでも作って欲しいもんだ」
「俺も知りたいっす」
ベンとカブスも料理の話には飛びついて来た。
「手荒れに効く薬だって?それは是非私も使いたいもんだわ。年々、手がガサガサになって大変なのよね」
「私もです。やっぱり30過ぎると、肌が荒れやすくなるんですねー」
メラとミラルダは、手を擦り合わせながら肌悩みを打ち明ける。
「料理も手荒れの薬もお任せください。他にも、私が出来ることは何でもしますから、どんな仕事でも任せてください!体を動かすことが大好きなんです」
本当に、この世界に来てから運動不足ったらありゃしない。
室内の掃除だけじゃなく、庭の手入れもしたいもんだわ。
「もー!フィリシアが何でもできちゃうから、私は必要なくなっちゃうー!」
マリエッタがぷくっと頬を膨らませた。
「あはは。マリエッタは、マスコットみたいなもんだろ」
カブスがマリエッタを揶揄うと、余計にマリエッタの頬は膨らんで皆んなが笑う。
皆んなの優しい雰囲気に、ここに移動になったのは良かったのかもと思った。
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