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リアルお医者さんごっこ
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「えー、真冬ってば、お医者さんの家に転がり込んだの?」
真冬の姉が仕事から帰ってくると、父親の心配よりも蓮見の方が気になったようだ。
「大きい病院なの?代々木って響きだけで、もうハイソな高級住宅街じゃない!」
興奮していてうるさいと真冬は思った。
「個人病院だから病院はそんなに大きくないよ。家は大きいかな。1階に和室が2つと、僕が使わせてもらってる洋室が1つにリビングダイニングキッチン。2階は、先生の部屋と、先生の亡くなったご両親の部屋と、書斎と今は物置になってるって部屋で4つだったかな」
その話を聞いて、母親と姉は驚く。
「めっちゃデカイ家じゃない!書斎とか、やっぱりお医者さんだねー」
また興奮する姉がうっとうしくなり、真冬は父親の元に逃げた。
「賑やかだな。こっちまでギャーギャー聞こえたぞ」
湿布のおかげで、じっとしていれば腰の痛みが楽になったようだった。
「なんか先生の話で盛り上がってる」
真冬が言うとあははと父親は笑う。
「大学はどうだ?」
「うん。楽しいよ。お父さん、ごめんね。入学金2倍も払わせて」
真冬が申し訳なさそうに謝ると父親は笑った。
「もういいさ。お前が就きたい仕事が出来るのが第一だからね。俺と同じ道なら、将来も安泰だと思っただけさ。将来結婚する時だって、やっぱり収入はあるに越したことはないだろう」
結婚という言葉に真冬はズキッとした。
「子供が産まれたらお金もかかるしね。俺はその点はママに苦労はかけなかったかな。と言っても、ママも好きな仕事をずっとしているけどね」
母は女性雑誌の編集長をしていた。家事が苦手なのもそれが影響していた。
あははと笑う父親とは対照的に真冬は静かになった。
「お前は子供が好きだから、自分の子供ができたらきっと大騒ぎだな」
優しい顔で言う父親に真冬は笑う。
「まだ、想像できないよ。大学生だよ」
「確かにな。今できても困るな」
真冬と父親は笑う。
「お前が大学を変えたことで分かったんだ。人の幸せは、他人が決めるものでもないってね。離れて暮らして、俺も冷静になれたよ」
父親の言葉が嬉しかった。自分のやりたい事を認めてもらえて嬉しかった。
「先のことは分からないが、お前がやりたいようにやりなさい。人として外れたことさえしなければ、俺はもう何も言わない」
真冬は頷く。
「ありがとう。大人になったら、ちゃんと親孝行するからね!」
真冬が言うと父親は笑う。
「楽しみにしてる」
真冬は笑顔だったが、きちんと笑えてるか不安だった。
蓮見との関係を黙ったままなのは、家族を騙している気がした。
言ってしまうことが、良いことではないのは分かっている。
だからごめんなさい。
みんなに僕の愛する人を、きちんと紹介できないけど、先生は本当に素晴らしい人です。
僕は先生と一緒にいたい。
親不孝をしてしまうけど、僕が出来ることで親孝行するから許してください。
僕は幸せだから、今はそれで許してください。
真冬は父親が眠ると部屋を出た。
姉が真冬に微笑む。
「帰ってきてくれてありがとう。真冬が元気で充実してる顔しててみんな安心だよ。またいつでも帰ってきなよ。その代わり、蓮見先生を連れて来るときは私がいるときにしなさいよ!」
お目当はそれですかと真冬は笑った。
久しぶりの実家は、懐かしいようで、落ち着かなくて、なんとも言えなかった。
真冬の姉が仕事から帰ってくると、父親の心配よりも蓮見の方が気になったようだ。
「大きい病院なの?代々木って響きだけで、もうハイソな高級住宅街じゃない!」
興奮していてうるさいと真冬は思った。
「個人病院だから病院はそんなに大きくないよ。家は大きいかな。1階に和室が2つと、僕が使わせてもらってる洋室が1つにリビングダイニングキッチン。2階は、先生の部屋と、先生の亡くなったご両親の部屋と、書斎と今は物置になってるって部屋で4つだったかな」
その話を聞いて、母親と姉は驚く。
「めっちゃデカイ家じゃない!書斎とか、やっぱりお医者さんだねー」
また興奮する姉がうっとうしくなり、真冬は父親の元に逃げた。
「賑やかだな。こっちまでギャーギャー聞こえたぞ」
湿布のおかげで、じっとしていれば腰の痛みが楽になったようだった。
「なんか先生の話で盛り上がってる」
真冬が言うとあははと父親は笑う。
「大学はどうだ?」
「うん。楽しいよ。お父さん、ごめんね。入学金2倍も払わせて」
真冬が申し訳なさそうに謝ると父親は笑った。
「もういいさ。お前が就きたい仕事が出来るのが第一だからね。俺と同じ道なら、将来も安泰だと思っただけさ。将来結婚する時だって、やっぱり収入はあるに越したことはないだろう」
結婚という言葉に真冬はズキッとした。
「子供が産まれたらお金もかかるしね。俺はその点はママに苦労はかけなかったかな。と言っても、ママも好きな仕事をずっとしているけどね」
母は女性雑誌の編集長をしていた。家事が苦手なのもそれが影響していた。
あははと笑う父親とは対照的に真冬は静かになった。
「お前は子供が好きだから、自分の子供ができたらきっと大騒ぎだな」
優しい顔で言う父親に真冬は笑う。
「まだ、想像できないよ。大学生だよ」
「確かにな。今できても困るな」
真冬と父親は笑う。
「お前が大学を変えたことで分かったんだ。人の幸せは、他人が決めるものでもないってね。離れて暮らして、俺も冷静になれたよ」
父親の言葉が嬉しかった。自分のやりたい事を認めてもらえて嬉しかった。
「先のことは分からないが、お前がやりたいようにやりなさい。人として外れたことさえしなければ、俺はもう何も言わない」
真冬は頷く。
「ありがとう。大人になったら、ちゃんと親孝行するからね!」
真冬が言うと父親は笑う。
「楽しみにしてる」
真冬は笑顔だったが、きちんと笑えてるか不安だった。
蓮見との関係を黙ったままなのは、家族を騙している気がした。
言ってしまうことが、良いことではないのは分かっている。
だからごめんなさい。
みんなに僕の愛する人を、きちんと紹介できないけど、先生は本当に素晴らしい人です。
僕は先生と一緒にいたい。
親不孝をしてしまうけど、僕が出来ることで親孝行するから許してください。
僕は幸せだから、今はそれで許してください。
真冬は父親が眠ると部屋を出た。
姉が真冬に微笑む。
「帰ってきてくれてありがとう。真冬が元気で充実してる顔しててみんな安心だよ。またいつでも帰ってきなよ。その代わり、蓮見先生を連れて来るときは私がいるときにしなさいよ!」
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