優しいあなたは罪な人

千秋の嘘

2

思い悩む千秋を美奈子は見つめる。

「ごめんね。私が悪いんだもん」

ホテルのシーツで肌を隠している美奈子は、ベッドの上で体を起している千秋に声を掛けた。

「いや。俺がだらしないだけ。君のこと、まだ好きなんだよ。心の中でずっと消えてなかった。一度だけでも、美奈子が欲しかった」

千秋は、自分がしてしまった過ちを素直に認めるしかなかった。

「……………もう、2度と誘わないから。ううん。本当はッ！」

美奈子が千秋の背中に抱きつく。
シーツ越しに美奈子の胸の膨らみを感じて、千秋は自分が興奮しているのを耐えた。

「お願い。もう少し、一緒にいたい。もっと千秋君に触れてほしい」

千秋は目を閉じる。
耐えろと、もうこれ以上は歯止めが効かなくなると思って目を瞑る。

「千秋君」


　甘い可愛い声。
　少し前まで、俺の腕の中で、このとろける甘い声を聞いていた。
　吸い付くような柔らかい肌。
　敏感に感じては、俺の背中に爪を立てていた。


「千秋君……………もっと……………」

振り向いたら終わりだと思いながら、千秋は美奈子を抱きしめてしまった。
柔肌に食い込む千秋の長い指。
重ねる唇から絡まる舌。

「んッ！……………あんッ」

膨よかな胸を揉みしだきながら、さっきまで千秋を迎え入れていた場所にキスをする。
欲望はおさまらない。
艶のある美しい顔を少しだけ曇らせて、美奈子は千秋を受け入れる。
愛する妻がいながら初恋の相手に快楽を求め、千秋は再び美奈子を抱いた。