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繋がる体と募る不安
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基本土日祝日は休みだが、平日は接待以外でも千秋の帰りは遅い。
千秋の仕事の流れがわかっているだけに、美紅もそれには慣れている。
遅い夕飯に千秋の胃がもたれないように、結婚してからは味付けも薄目になってきた。
「今夜は接待はないはずだから、帰りは22時かな」
結婚前から千秋が会社を出るのは大体21時。
美紅は部長命令で遅くても19時前には会社を出されていたので、平日に外でデートをする事は少なかった。
なので、美紅が千秋のマンションで軽い食事を作って待つことが多かった。
結婚してもほとんど帰りは22時。
営業先から直帰してくる時以外、早目に帰宅する事は無かった。
「誰か手が空いてる人、こっちにコーヒー2つお願い!」
支店長の声に、ちょうど手が空いていた美紅が立ち上がり、奥の給湯室でコーヒーを淹れた。
支店長室には、龍彦が打ち合わせに来ている。
「失礼します」
美紅がコーヒーを龍彦と支店長の前に置く。
「サンキュー」
龍彦が笑顔で言うと美紅は軽く会釈をした。
美紅は自分のデスクに戻り仕事を再開すると、しばらくして龍彦が支店長室から出てきた。
「よう。コーヒーご馳走さん」
龍彦が美紅に声をかける。
「どういたしまして。仕事相変わらず忙しい?」
「まぁね。でも10月から残業減らせってうるさくて、そっちの方が大変だわ」
「あ、そうなの?でも減らせるもんなの?」
初めて聞く話に、美紅は未だに遅く帰る千秋が、残業を減らしているのか不思議に思える。千秋からも、そんな話は聞いていなかった。
「うーん。実際は大変だけどだいぶ」
「あ、ごめん!亘理君!次回の打ち合わせちょっと調整させて」
支店長に会話を遮られ、龍彦は支店長の所に戻ってしまった。
美紅は龍彦の話で、どれぐらい残業を減らしてるのか最後まで聞けなかった。
実際は減らすことが出来ていないのか。それとも、遅くなっているのは、何か別の用事をしているのか。
なぜ千秋は、残業を減らすように言われていることを教えてくれないのか、毎晩遅いのか美紅は引っかかった。
千秋の仕事の流れがわかっているだけに、美紅もそれには慣れている。
遅い夕飯に千秋の胃がもたれないように、結婚してからは味付けも薄目になってきた。
「今夜は接待はないはずだから、帰りは22時かな」
結婚前から千秋が会社を出るのは大体21時。
美紅は部長命令で遅くても19時前には会社を出されていたので、平日に外でデートをする事は少なかった。
なので、美紅が千秋のマンションで軽い食事を作って待つことが多かった。
結婚してもほとんど帰りは22時。
営業先から直帰してくる時以外、早目に帰宅する事は無かった。
「誰か手が空いてる人、こっちにコーヒー2つお願い!」
支店長の声に、ちょうど手が空いていた美紅が立ち上がり、奥の給湯室でコーヒーを淹れた。
支店長室には、龍彦が打ち合わせに来ている。
「失礼します」
美紅がコーヒーを龍彦と支店長の前に置く。
「サンキュー」
龍彦が笑顔で言うと美紅は軽く会釈をした。
美紅は自分のデスクに戻り仕事を再開すると、しばらくして龍彦が支店長室から出てきた。
「よう。コーヒーご馳走さん」
龍彦が美紅に声をかける。
「どういたしまして。仕事相変わらず忙しい?」
「まぁね。でも10月から残業減らせってうるさくて、そっちの方が大変だわ」
「あ、そうなの?でも減らせるもんなの?」
初めて聞く話に、美紅は未だに遅く帰る千秋が、残業を減らしているのか不思議に思える。千秋からも、そんな話は聞いていなかった。
「うーん。実際は大変だけどだいぶ」
「あ、ごめん!亘理君!次回の打ち合わせちょっと調整させて」
支店長に会話を遮られ、龍彦は支店長の所に戻ってしまった。
美紅は龍彦の話で、どれぐらい残業を減らしてるのか最後まで聞けなかった。
実際は減らすことが出来ていないのか。それとも、遅くなっているのは、何か別の用事をしているのか。
なぜ千秋は、残業を減らすように言われていることを教えてくれないのか、毎晩遅いのか美紅は引っかかった。
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