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真実の扉が開き始めた
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美紅は、千秋が元同級生だった美奈子と不倫したこと、そのせいで寝室を別にしたこと、会話が無くなったことを絹子に話した。
『なんか私もショックだわ。西川さんがそう言う人だとは思ってなかった』
ガッカリするように絹子は言った。
確かに結婚した友人から、浮気の一つや二つ聞かない訳ではないが、千秋に限って美紅を裏切ることはないと絹子も思っていた。
千秋も結局ただの男だったんだと思うと、美紅をどう励まして良いか分からなかった。
「私も。しかも結婚して半年でって。なんでこんな事になったのか、なんで千秋さんを浮気に走らせたのかわかんない。私のどこが悪かったのか自分じゃわかんない」
『美紅は悪くないよ!仕事も家庭もちゃんとやってるじゃない!あんたが結婚した途端に手抜きするような真似するなんて思えないもん!』
絹子の言葉に美紅は救われた。
やっぱり持つべきは親友だとしみじみ感じる。
「今は冷静に千秋さんに向き合えない。どうしたら良いか本当に分からない。千秋さんを信じられないけど、一度だけなら、許さないといけないのかなって思ったり、もう、本当に何が正解なのか分からないのッ」
美紅の悲痛な叫びに、絹子も胸が痛む。
何にでも一生懸命で、千秋だけを見ている美紅が不憫になる。
『先のことを考えるなら、やっぱり時間は必要だと思うよ。本当は離れてお互いのこと考えるのが一番なんだろうけどね。そばにいたら、美紅が堪らなくなるでしょ?』
「うん。寝室を別にしてるだけ少しは気持ちが落ち着いてる。だけど千秋さんを見ると、千秋さんを他の誰かが触れたんだって、千秋さんが触れたんだって思うと胸が苦しくなる」
顔も分からない相手に脅かされて、美紅は毎日気が狂いそうになる。
『だったら、やっぱり別居してみたら?』
「別居するなら、千秋さんは実家に戻ると思う。でも、そうなったら余計に私、千秋さんとやり直せなくなる。千秋さんの両親に知られたくない」
まだやり直す余地が有るんだと絹子は思った。
『それなら尚更、距離をおいた方がいいよ。住む場所なら一緒に探してあげるよ。家賃だってそれは西川さんに出してもらいな。お互いのためなんだから』
絹子に相談して、美紅は少し落ち着いた。
浮気されても、千秋を愛している気持ちはまだ残っていた。
それなら、別居という選択も良いのかと思った。
ただ現実問題として、別居と言ってもどれぐらいの期間になるのか分からないので、普通にアパートを借りたり、ましてホテル住まいをするわけにもいかないと思った。
『なんか私もショックだわ。西川さんがそう言う人だとは思ってなかった』
ガッカリするように絹子は言った。
確かに結婚した友人から、浮気の一つや二つ聞かない訳ではないが、千秋に限って美紅を裏切ることはないと絹子も思っていた。
千秋も結局ただの男だったんだと思うと、美紅をどう励まして良いか分からなかった。
「私も。しかも結婚して半年でって。なんでこんな事になったのか、なんで千秋さんを浮気に走らせたのかわかんない。私のどこが悪かったのか自分じゃわかんない」
『美紅は悪くないよ!仕事も家庭もちゃんとやってるじゃない!あんたが結婚した途端に手抜きするような真似するなんて思えないもん!』
絹子の言葉に美紅は救われた。
やっぱり持つべきは親友だとしみじみ感じる。
「今は冷静に千秋さんに向き合えない。どうしたら良いか本当に分からない。千秋さんを信じられないけど、一度だけなら、許さないといけないのかなって思ったり、もう、本当に何が正解なのか分からないのッ」
美紅の悲痛な叫びに、絹子も胸が痛む。
何にでも一生懸命で、千秋だけを見ている美紅が不憫になる。
『先のことを考えるなら、やっぱり時間は必要だと思うよ。本当は離れてお互いのこと考えるのが一番なんだろうけどね。そばにいたら、美紅が堪らなくなるでしょ?』
「うん。寝室を別にしてるだけ少しは気持ちが落ち着いてる。だけど千秋さんを見ると、千秋さんを他の誰かが触れたんだって、千秋さんが触れたんだって思うと胸が苦しくなる」
顔も分からない相手に脅かされて、美紅は毎日気が狂いそうになる。
『だったら、やっぱり別居してみたら?』
「別居するなら、千秋さんは実家に戻ると思う。でも、そうなったら余計に私、千秋さんとやり直せなくなる。千秋さんの両親に知られたくない」
まだやり直す余地が有るんだと絹子は思った。
『それなら尚更、距離をおいた方がいいよ。住む場所なら一緒に探してあげるよ。家賃だってそれは西川さんに出してもらいな。お互いのためなんだから』
絹子に相談して、美紅は少し落ち着いた。
浮気されても、千秋を愛している気持ちはまだ残っていた。
それなら、別居という選択も良いのかと思った。
ただ現実問題として、別居と言ってもどれぐらいの期間になるのか分からないので、普通にアパートを借りたり、ましてホテル住まいをするわけにもいかないと思った。
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