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真実の扉が開き始めた
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リビングで千秋はテレビを見ていた。
美紅は客間から出てくるとリビングに向かい、千秋の姿を見ると千秋のそばに近づいた。
千秋は美紅が目の前に来たのでテレビを消す。
「話があるの」
美紅の言葉に千秋は緊張する。
離婚を突きつけられると思った。
「私たち、しばらく離れて暮らさない?」
「別居って事?」
予想外の事に驚く千秋に美紅は頷く。
「……俺が出て行けば良い?直ぐに家を見つけるのは無理だから実家に行くよ」
「ううん。私が出て行く」
「え?」
美紅の申し出に千秋は驚く。
「亘理君の叔父さんがシェアハウスをしてるの。亘理君もそこに住んでるんだけど、部屋が空いているって言うから」
龍彦の名前を聞いて千秋は固まった。
「なんで亘理の所に?」
もしかして、美紅が龍彦と付き合おうとしているのかと千秋は勘ぐる。
「相談したらそう言う事になっただけよ。別に何も深い意味はないよ」
美紅の言葉に千秋は落ち着かない。
ただの同期だと思っていたが、もしかして龍彦が美紅を狙っていたのかと思った。
「それなら俺が実家に行くよ!俺が悪いのは分かってるけど、美紅をそんな場所に住まわせたくない!」
龍彦に対する嫉妬だった。
「やめてッ!千秋さんが実家に帰ったら、千秋さんのお父さんとお母さんに千秋さんの浮気がバレちゃうでしょ!そんな事になったら、千秋さんのお父さんとお母さんに、私、もう顔を見せられなくなる!」
「美紅?どう言う事?俺とやり直してくれるの?」
離婚されるとしか頭になかったので、千秋は美紅の言葉にどこか安堵した。
「私、まだ千秋さんを好き。許せないけど好き。だから辛いの。だから、千秋さんが私に必要な人だってちゃんと考えたいの。だから、お願い!私をもう追い詰めないで!」
美紅の言葉に、千秋は胸が抉られるような痛みを感じる。
まだなんとか元に戻る方法があるなら、それが不本意だろうと縋るしかないのかと思った。
「分かったよ。俺のせいで美紅に辛い思いをさせてごめん。美紅がそれで落ち着けるなら、俺のところに戻って良いって少しでも思ってくれるなら」
今の千秋にはそれしか言えない。
千秋に選択肢は何もない。
「近いうちに出て行くね。悪いけど、家賃、払ってもらって良い?」
「もちろんだよ。2人で貯めている貯金を使ってくれて構わない」
いつか家を建てるために、住宅資金の貯金もしていた。
「ありがとう」
美紅はリビングを出て行った。
美紅とやり直せるなら、美紅と離れるのも必要な事なんだと千秋は自分に言い聞かせた。
美紅は客間から出てくるとリビングに向かい、千秋の姿を見ると千秋のそばに近づいた。
千秋は美紅が目の前に来たのでテレビを消す。
「話があるの」
美紅の言葉に千秋は緊張する。
離婚を突きつけられると思った。
「私たち、しばらく離れて暮らさない?」
「別居って事?」
予想外の事に驚く千秋に美紅は頷く。
「……俺が出て行けば良い?直ぐに家を見つけるのは無理だから実家に行くよ」
「ううん。私が出て行く」
「え?」
美紅の申し出に千秋は驚く。
「亘理君の叔父さんがシェアハウスをしてるの。亘理君もそこに住んでるんだけど、部屋が空いているって言うから」
龍彦の名前を聞いて千秋は固まった。
「なんで亘理の所に?」
もしかして、美紅が龍彦と付き合おうとしているのかと千秋は勘ぐる。
「相談したらそう言う事になっただけよ。別に何も深い意味はないよ」
美紅の言葉に千秋は落ち着かない。
ただの同期だと思っていたが、もしかして龍彦が美紅を狙っていたのかと思った。
「それなら俺が実家に行くよ!俺が悪いのは分かってるけど、美紅をそんな場所に住まわせたくない!」
龍彦に対する嫉妬だった。
「やめてッ!千秋さんが実家に帰ったら、千秋さんのお父さんとお母さんに千秋さんの浮気がバレちゃうでしょ!そんな事になったら、千秋さんのお父さんとお母さんに、私、もう顔を見せられなくなる!」
「美紅?どう言う事?俺とやり直してくれるの?」
離婚されるとしか頭になかったので、千秋は美紅の言葉にどこか安堵した。
「私、まだ千秋さんを好き。許せないけど好き。だから辛いの。だから、千秋さんが私に必要な人だってちゃんと考えたいの。だから、お願い!私をもう追い詰めないで!」
美紅の言葉に、千秋は胸が抉られるような痛みを感じる。
まだなんとか元に戻る方法があるなら、それが不本意だろうと縋るしかないのかと思った。
「分かったよ。俺のせいで美紅に辛い思いをさせてごめん。美紅がそれで落ち着けるなら、俺のところに戻って良いって少しでも思ってくれるなら」
今の千秋にはそれしか言えない。
千秋に選択肢は何もない。
「近いうちに出て行くね。悪いけど、家賃、払ってもらって良い?」
「もちろんだよ。2人で貯めている貯金を使ってくれて構わない」
いつか家を建てるために、住宅資金の貯金もしていた。
「ありがとう」
美紅はリビングを出て行った。
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