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真実の扉が開き始めた
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観念した美奈子は、裕介に千秋のことを話すことにした。
もう隠し続けても、疑惑を裕介から払拭することはできないと思った。
ただ、ホテルで会ったことは言いたく無かった。
2人で食事をした話だけで終わろうと話す事を頭の中で整理する。
「裕介が思っていたように、私と西川君は、真知子の結婚式で再会したの。それから、お互いの相談とか愚痴をLINで話していたの」
「愚痴って?」
裕介の声は冷静だった。
「……それは」
「僕とのこと?」
美奈子はコクンと頷く。
「……僕とレスだったって話したの?それで会ったの?」
信じられないと言う顔で、裕介は美奈子を見つめる。
「会ったのは、食事をしただけだよ!2人きりで会ったのは1回しか会ってない!本当だよ!」
美奈子の必死な顔に、裕介はため息しか出ない。
「ごめん、信じられないよ。本当のことを言うか、スマホを見せてもらって良い?」
美奈子は追い込まれたと思った。
千秋とのLINのやり取りを、全ては消していなかった。
どうして固定電話で電話をしてしまったんだろうと後悔する。
もう繋がりを持たなければ、うわ言もいつかは忘れてもらえたのにと。
「……美奈子を信じたいんだよ。どうして美奈子はスマホじゃなくて家の電話を使ったのか。どうして美奈子は、うわ言で好きだとかごめんだとか言っていたのか。それを全てスッキリさせたいんだ」
裕介はずっと冷静で落ち着いた口調のままだった。
「私が家から電話したのは、スマホからかけても拒否されてるみたいで繋がらなかったからよ。でも西川君から折り返しがかかって来たから着信に残っていたのね」
美奈子はもう正直に話すしかないと諦めた。
「どうして着信拒否されたの?」
裕介は本当はこんな事は聞きたく無かった。
美奈子のことを信じたかった。
「私と西川君の関係が、西川君の奥さんにバレたから。真知子から聞いたの。西川君が奥さんと別居してるって。それで気になって電話したけど、もう拒否されてた」
ああ。と、裕介は心の中で呟いた。
聞きたく無かった。でも聞かなければスッキリしなかった。
やはり、美奈子と千秋は体の関係もあったんだと裕介は疑う。
「どうしてそんなことに……」
裕介は美奈子が信じられなかった。
人を傷つけてまで、なぜ不倫に走ったのか。
「……相手の奥さんも傷つけたんだよ!なんでそんなことをッ!」
裕介は髪を掻きむしる。
確かに、美奈子を不倫に走らせた原因は自分にもあったのだろうが、まさかそのせいで他にも悲しませてしまった相手がいたと知り、裕介は心がズキズキと痛む。
「ごめんなさい!本当にごめんなさい!辛かったの!もうどうして良いか分からなかったの!裕介のこと好きだけど、愛してるけど、寂しくて辛くて耐えられなかったのッ!千秋君に相談に乗ってもらって、甘えたくなった。つい、私から誘った。でも、本当に会って話をしただけだよ!」
美奈子から誘ったと聞いて、裕介は頭に血が昇りダイニングチェアから勢いよく立ち上がった。
「僕も悪かったかもしれない。数ヶ月前まで美奈子のことを最後まで抱けなかったのは否定できない。でも、ごめん、僕の仕事のこととか、もう少し理解して待ってて欲しかった!」
裕介はそれだけ言うとリビングの隣の部屋に入り扉を閉めた。
もう冷静になれない。
美奈子を追い込んだのは分かっていても、どうしても許せなかった。
もう隠し続けても、疑惑を裕介から払拭することはできないと思った。
ただ、ホテルで会ったことは言いたく無かった。
2人で食事をした話だけで終わろうと話す事を頭の中で整理する。
「裕介が思っていたように、私と西川君は、真知子の結婚式で再会したの。それから、お互いの相談とか愚痴をLINで話していたの」
「愚痴って?」
裕介の声は冷静だった。
「……それは」
「僕とのこと?」
美奈子はコクンと頷く。
「……僕とレスだったって話したの?それで会ったの?」
信じられないと言う顔で、裕介は美奈子を見つめる。
「会ったのは、食事をしただけだよ!2人きりで会ったのは1回しか会ってない!本当だよ!」
美奈子の必死な顔に、裕介はため息しか出ない。
「ごめん、信じられないよ。本当のことを言うか、スマホを見せてもらって良い?」
美奈子は追い込まれたと思った。
千秋とのLINのやり取りを、全ては消していなかった。
どうして固定電話で電話をしてしまったんだろうと後悔する。
もう繋がりを持たなければ、うわ言もいつかは忘れてもらえたのにと。
「……美奈子を信じたいんだよ。どうして美奈子はスマホじゃなくて家の電話を使ったのか。どうして美奈子は、うわ言で好きだとかごめんだとか言っていたのか。それを全てスッキリさせたいんだ」
裕介はずっと冷静で落ち着いた口調のままだった。
「私が家から電話したのは、スマホからかけても拒否されてるみたいで繋がらなかったからよ。でも西川君から折り返しがかかって来たから着信に残っていたのね」
美奈子はもう正直に話すしかないと諦めた。
「どうして着信拒否されたの?」
裕介は本当はこんな事は聞きたく無かった。
美奈子のことを信じたかった。
「私と西川君の関係が、西川君の奥さんにバレたから。真知子から聞いたの。西川君が奥さんと別居してるって。それで気になって電話したけど、もう拒否されてた」
ああ。と、裕介は心の中で呟いた。
聞きたく無かった。でも聞かなければスッキリしなかった。
やはり、美奈子と千秋は体の関係もあったんだと裕介は疑う。
「どうしてそんなことに……」
裕介は美奈子が信じられなかった。
人を傷つけてまで、なぜ不倫に走ったのか。
「……相手の奥さんも傷つけたんだよ!なんでそんなことをッ!」
裕介は髪を掻きむしる。
確かに、美奈子を不倫に走らせた原因は自分にもあったのだろうが、まさかそのせいで他にも悲しませてしまった相手がいたと知り、裕介は心がズキズキと痛む。
「ごめんなさい!本当にごめんなさい!辛かったの!もうどうして良いか分からなかったの!裕介のこと好きだけど、愛してるけど、寂しくて辛くて耐えられなかったのッ!千秋君に相談に乗ってもらって、甘えたくなった。つい、私から誘った。でも、本当に会って話をしただけだよ!」
美奈子から誘ったと聞いて、裕介は頭に血が昇りダイニングチェアから勢いよく立ち上がった。
「僕も悪かったかもしれない。数ヶ月前まで美奈子のことを最後まで抱けなかったのは否定できない。でも、ごめん、僕の仕事のこととか、もう少し理解して待ってて欲しかった!」
裕介はそれだけ言うとリビングの隣の部屋に入り扉を閉めた。
もう冷静になれない。
美奈子を追い込んだのは分かっていても、どうしても許せなかった。
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