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その罪を許せるか許せないか
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千秋は裕介と別れ、その足で美紅が住むシェアハウスに向かった。
裕介に言われただけではないが、もっと美紅に誠意を見せなくてはいけないと改めて思い知らされた。
緊張しながらインターホンを押す。
下の窓に電気がついていたので、誰かはいるだろうと思った。
「はい。あ……」
インターホンの声が龍彦だったので千秋は緊張する。
そして本当に龍彦がここに住んでいるんだと思うと悔しくなる。
『美紅に話があって』
インターホンの声を聞いて、リビングにいた美紅は龍彦を見た。
「ちょっと待ってください」
龍彦の返事に、千秋はその場で待つ。
会えるかは分からないが、美紅に会いたくて仕方なかった。
「千秋さん、来てるの?」
美紅は一気に青ざめる。
突然何をしに来たか分からないからだ。
「どうする?」
龍彦は美紅に尋ねる。
「……私」
美紅は俯いてしまった。
「会いたくないなら、無理して会う事ないよ。突然来たんだし、原田の気持ちの準備もできてないだろ?」
龍彦の優しい口調に、美紅は頷くことしかできない。
「ごめん……。まだ、会いたくない。無理」
「分かった。俺が行ってくるよ」
「……ごめんなさい」
怯える美紅をリビングに残して、龍彦は玄関に向かった。
自分がいる時で良かったと、ホッとしながら龍彦は鍵を開けた。
玄関を出て門まで行くと、千秋が龍彦を見てがっかりした表情になる。
「美紅は?無理?」
「ええ。会いたくないようです。突然だし、尚更ですよ」
龍彦の冷たい言い方に千秋はため息をつく。
「確かに突然だったね。電話してもどうせ断られると思ったし。でも、少しでも美紅と話したいんだけど」
「話なら俺が伝えます。原田は怯えるほど西川さんに会いたくないようですし」
怯えていると聞いて、千秋も今日は諦めるしかないと思った。
「いや、直接話がしたいから。次はちゃんと電話をするよ。じゃあ」
やっぱりダメだったかと思いながら千秋はシェアハウスを後にした。
裕介に言われただけではないが、もっと美紅に誠意を見せなくてはいけないと改めて思い知らされた。
緊張しながらインターホンを押す。
下の窓に電気がついていたので、誰かはいるだろうと思った。
「はい。あ……」
インターホンの声が龍彦だったので千秋は緊張する。
そして本当に龍彦がここに住んでいるんだと思うと悔しくなる。
『美紅に話があって』
インターホンの声を聞いて、リビングにいた美紅は龍彦を見た。
「ちょっと待ってください」
龍彦の返事に、千秋はその場で待つ。
会えるかは分からないが、美紅に会いたくて仕方なかった。
「千秋さん、来てるの?」
美紅は一気に青ざめる。
突然何をしに来たか分からないからだ。
「どうする?」
龍彦は美紅に尋ねる。
「……私」
美紅は俯いてしまった。
「会いたくないなら、無理して会う事ないよ。突然来たんだし、原田の気持ちの準備もできてないだろ?」
龍彦の優しい口調に、美紅は頷くことしかできない。
「ごめん……。まだ、会いたくない。無理」
「分かった。俺が行ってくるよ」
「……ごめんなさい」
怯える美紅をリビングに残して、龍彦は玄関に向かった。
自分がいる時で良かったと、ホッとしながら龍彦は鍵を開けた。
玄関を出て門まで行くと、千秋が龍彦を見てがっかりした表情になる。
「美紅は?無理?」
「ええ。会いたくないようです。突然だし、尚更ですよ」
龍彦の冷たい言い方に千秋はため息をつく。
「確かに突然だったね。電話してもどうせ断られると思ったし。でも、少しでも美紅と話したいんだけど」
「話なら俺が伝えます。原田は怯えるほど西川さんに会いたくないようですし」
怯えていると聞いて、千秋も今日は諦めるしかないと思った。
「いや、直接話がしたいから。次はちゃんと電話をするよ。じゃあ」
やっぱりダメだったかと思いながら千秋はシェアハウスを後にした。
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