140 / 195
新しい時が流れる
18
しおりを挟む
龍彦はシンセイに出向き、シンセイの部長と伊藤と話を詰めていた。
応接室を出ると、美奈子が龍彦に寄って来た。
「亘理さん、お疲れ様です」
「こんにちは」
龍彦が笑顔で会釈すると、すぐ後ろから出て来た伊藤が美奈子の横に立つ。
「亘理さんとの仕事、川瀬さんが俺のアシスタントになってくれたんだ」
伊藤が嬉しそうな顔で言うと、進展が有ったのかなと龍彦も嬉しくなった。
「そうだったんだ。良かったじゃない、伊藤さん。こんな美人のアシスタントがいるなんてさ」
「なになに?羨ましいってか?」
伊藤は上機嫌で龍彦に返す。
「うんうん。羨ましい」
伊藤を冷やかすように、リップサービスで龍彦は言ったまでだが、美奈子は嬉しそうに龍彦に微笑む。
この笑顔に伊藤はやられたかと龍彦はフッと笑った。
「先日の飲み会楽しかったですね。良かったらまたご一緒させてくださいね」
美奈子から飲み会の誘いを受け、龍彦は適当に相槌を打つ。
「あ、伊藤さん、美味しい店知ってるもんねー。女子ウケする。もう連れて行ってもらいました?」
二人が付き合い始めたのか、様子を伺うように龍彦が尋ねる。
「いえ。歓迎会以外で伊藤さんとの飲み会は、亘理さんと行ったのが初めてだったので」
「あ、じゃあ、今度連れて行ってもらってくださいよ。俺も彼女とのデートで使ったことあるんで」
「よく言うー。亘理さんの彼女の方が美味しいおしゃれな店知ってんじゃん。今度教えてよ。そしたら川瀬さんと行ってくるわ」
「ああ、了解」
龍彦が伊藤と盛り上がり、伊藤と美奈子をデートさせようとしていると美奈子は感じて不機嫌になる。
「あ、じゃあ、また三人で行くの楽しみにしてます」
美奈子はそう言って行ってしまった。
「なかなか手強くてさ」
伊藤がポツリと漏らす。
「俺のアシスタントに、自分からやりたいって言ってくれて嬉しかったんだけど、俺には仕事以外興味ないみたい。ま、仕方ないけどさ」
伊藤は美奈子が、自分に好意がないことが分かりもう諦める気でいた。
「亘理さんを狙ってるのかな。彼女がいるのにね。ま、気をつけてね」
伊藤のトゲのある言い方に龍彦は面倒だと思いながら、美奈子の龍彦への関心は、自意識過剰ではないと龍彦も察して、今後一切美奈子に関わるのは辞めようと思った。
応接室を出ると、美奈子が龍彦に寄って来た。
「亘理さん、お疲れ様です」
「こんにちは」
龍彦が笑顔で会釈すると、すぐ後ろから出て来た伊藤が美奈子の横に立つ。
「亘理さんとの仕事、川瀬さんが俺のアシスタントになってくれたんだ」
伊藤が嬉しそうな顔で言うと、進展が有ったのかなと龍彦も嬉しくなった。
「そうだったんだ。良かったじゃない、伊藤さん。こんな美人のアシスタントがいるなんてさ」
「なになに?羨ましいってか?」
伊藤は上機嫌で龍彦に返す。
「うんうん。羨ましい」
伊藤を冷やかすように、リップサービスで龍彦は言ったまでだが、美奈子は嬉しそうに龍彦に微笑む。
この笑顔に伊藤はやられたかと龍彦はフッと笑った。
「先日の飲み会楽しかったですね。良かったらまたご一緒させてくださいね」
美奈子から飲み会の誘いを受け、龍彦は適当に相槌を打つ。
「あ、伊藤さん、美味しい店知ってるもんねー。女子ウケする。もう連れて行ってもらいました?」
二人が付き合い始めたのか、様子を伺うように龍彦が尋ねる。
「いえ。歓迎会以外で伊藤さんとの飲み会は、亘理さんと行ったのが初めてだったので」
「あ、じゃあ、今度連れて行ってもらってくださいよ。俺も彼女とのデートで使ったことあるんで」
「よく言うー。亘理さんの彼女の方が美味しいおしゃれな店知ってんじゃん。今度教えてよ。そしたら川瀬さんと行ってくるわ」
「ああ、了解」
龍彦が伊藤と盛り上がり、伊藤と美奈子をデートさせようとしていると美奈子は感じて不機嫌になる。
「あ、じゃあ、また三人で行くの楽しみにしてます」
美奈子はそう言って行ってしまった。
「なかなか手強くてさ」
伊藤がポツリと漏らす。
「俺のアシスタントに、自分からやりたいって言ってくれて嬉しかったんだけど、俺には仕事以外興味ないみたい。ま、仕方ないけどさ」
伊藤は美奈子が、自分に好意がないことが分かりもう諦める気でいた。
「亘理さんを狙ってるのかな。彼女がいるのにね。ま、気をつけてね」
伊藤のトゲのある言い方に龍彦は面倒だと思いながら、美奈子の龍彦への関心は、自意識過剰ではないと龍彦も察して、今後一切美奈子に関わるのは辞めようと思った。
0
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる