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前に進む勇気
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夕飯を終え、美紅がお風呂から上がって龍彦の部屋に行くと、龍彦はパソコンで仕事をしていた。
「仕事大変なら、私今夜は自分の部屋で寝ようか?」
気を遣って美紅が言うと、龍彦は眼鏡を外して美紅を見る。風呂上がりにはもうコンタクトを外しているので、パソコンで仕事をする時は眼鏡を掛けていた。
龍彦が眼鏡を掛ける時もあると知ったのは、一緒に暮らしはじめてからだった。
「大丈夫だよ。美紅が来るまで待ってる間にやっていただけで、別に急ぎの仕事じゃないから」
龍彦は笑ってデスクから立ち上がると、美紅の手を取ってベッドに腰掛けた。
自分の足の間に美紅を座らせてウエストを両腕で抱きしめると、美紅の首筋に顔を埋めた。
「たっ君ッ」
龍彦が無言で背後から抱き締めるので、美紅は恥ずかしくなってどうして良いか分からない。
「ん?なに?」
首筋に龍彦の息がかかるとドキドキが止まらなくて、それがきっと龍彦にも伝わっていると思うと美紅は動くに動けない。
「この体勢、落ち着かないッ」
「俺は落ち着く。やっと美紅と二人きりになれて、美紅を堪能できる時間だし」
龍彦の声が普通で、自分だけがドキドキしてるのが美紅は悔しくなって来た。
「きょ、今日ね、夕飯作ってる時、崇人さんとたっ君の話をしたの」
「崇人さん?俺の話って?」
「……たっ君が、どれぐらい私を好きかって話ッ」
そんな話をしてたのかと、龍彦はフッと笑う。
「それと、私が、いつまでも逃げてたって話」
「逃げてたの?」
「えっと、前はね。たっ君が好きって気がついて、シェアハウス出て行こうとかしたし」
そうだったなと龍彦は思いながら美紅を抱きしめて離さない。
「大丈夫。俺は美紅を逃がさない。いざとなったらこの部屋に閉じ込めてずっと二人でいる」
バーベキューの時に詠悟に似た事を言われて、龍彦が詠悟と本当に似てると美紅は笑う。
「なに笑ってんの?信じてないんだろ」
むくれたように龍彦はぼやく。美紅は龍彦に抱きしめられている腕に手を添えた。
「ううん。信じてる。たっ君が本当に好きだよ。たっ君も私が好きだって分かってる。もう、不安はないから」
「美紅?」
「もう逃げない。たっ君とずっと一緒にいたいし、たっ君はずっと一緒にいてくれるって信じてる」
「もう怖くない?」
「うん」
龍彦はホッとすると美紅をベッドに倒して見下ろした。
美紅は真っ赤になりながら潤む目で龍彦を見つめる。
「俺の美紅に対する気持ちに嘘は一つもない。俺には美紅しかいない。美紅だけしかいらない」
龍彦は美紅に覆い被さりキスをした。
美紅もそれに応えるように龍彦にされるままに合わせてキスをする。
「……これからも俺だけ見てて。俺の声だけ聞いて」
「……うん。好き」
美紅が可愛すぎて、もうダメだと龍彦は思った。
「もう今夜は、邪魔されてもやめないからね」
美紅もその意味がわかって、真っ赤になったままぎゅっと目を瞑る。
龍彦はその顔を愛おしげに見つめながら優しく触れると、美紅はとろけるような甘い吐息を放つ。
お互いを求め合い愛し合い、生まれたままの姿で二人は朝を迎えた。
「仕事大変なら、私今夜は自分の部屋で寝ようか?」
気を遣って美紅が言うと、龍彦は眼鏡を外して美紅を見る。風呂上がりにはもうコンタクトを外しているので、パソコンで仕事をする時は眼鏡を掛けていた。
龍彦が眼鏡を掛ける時もあると知ったのは、一緒に暮らしはじめてからだった。
「大丈夫だよ。美紅が来るまで待ってる間にやっていただけで、別に急ぎの仕事じゃないから」
龍彦は笑ってデスクから立ち上がると、美紅の手を取ってベッドに腰掛けた。
自分の足の間に美紅を座らせてウエストを両腕で抱きしめると、美紅の首筋に顔を埋めた。
「たっ君ッ」
龍彦が無言で背後から抱き締めるので、美紅は恥ずかしくなってどうして良いか分からない。
「ん?なに?」
首筋に龍彦の息がかかるとドキドキが止まらなくて、それがきっと龍彦にも伝わっていると思うと美紅は動くに動けない。
「この体勢、落ち着かないッ」
「俺は落ち着く。やっと美紅と二人きりになれて、美紅を堪能できる時間だし」
龍彦の声が普通で、自分だけがドキドキしてるのが美紅は悔しくなって来た。
「きょ、今日ね、夕飯作ってる時、崇人さんとたっ君の話をしたの」
「崇人さん?俺の話って?」
「……たっ君が、どれぐらい私を好きかって話ッ」
そんな話をしてたのかと、龍彦はフッと笑う。
「それと、私が、いつまでも逃げてたって話」
「逃げてたの?」
「えっと、前はね。たっ君が好きって気がついて、シェアハウス出て行こうとかしたし」
そうだったなと龍彦は思いながら美紅を抱きしめて離さない。
「大丈夫。俺は美紅を逃がさない。いざとなったらこの部屋に閉じ込めてずっと二人でいる」
バーベキューの時に詠悟に似た事を言われて、龍彦が詠悟と本当に似てると美紅は笑う。
「なに笑ってんの?信じてないんだろ」
むくれたように龍彦はぼやく。美紅は龍彦に抱きしめられている腕に手を添えた。
「ううん。信じてる。たっ君が本当に好きだよ。たっ君も私が好きだって分かってる。もう、不安はないから」
「美紅?」
「もう逃げない。たっ君とずっと一緒にいたいし、たっ君はずっと一緒にいてくれるって信じてる」
「もう怖くない?」
「うん」
龍彦はホッとすると美紅をベッドに倒して見下ろした。
美紅は真っ赤になりながら潤む目で龍彦を見つめる。
「俺の美紅に対する気持ちに嘘は一つもない。俺には美紅しかいない。美紅だけしかいらない」
龍彦は美紅に覆い被さりキスをした。
美紅もそれに応えるように龍彦にされるままに合わせてキスをする。
「……これからも俺だけ見てて。俺の声だけ聞いて」
「……うん。好き」
美紅が可愛すぎて、もうダメだと龍彦は思った。
「もう今夜は、邪魔されてもやめないからね」
美紅もその意味がわかって、真っ赤になったままぎゅっと目を瞑る。
龍彦はその顔を愛おしげに見つめながら優しく触れると、美紅はとろけるような甘い吐息を放つ。
お互いを求め合い愛し合い、生まれたままの姿で二人は朝を迎えた。
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