優しいあなたは罪な人

番外編・可愛いお前は罪なヤツ

５

正直原田は俺の好みのタイプではない。
俺は可愛い系より、美人系が好きだ。
明るいアイドルタイプより、大人し目な華のあるタイプ。
今まで付き合って来た彼女達はそう言うタイプだった。
原田を後輩として可愛いとは思うが、女としては見てない。
それでもなぜか気になる。
原田がつまらない男に引っ掛かるのは嫌だった。

「最近、早坂に言い寄られてるのか？」

仕事帰りに飲みに行くことが自然と増えていて、俺はつい、気になったことを聞いてしまった。

「えーと、それ、西川さんに言わないとダメですか？」

はぁ？
俺はお前を心配してやってんだぞッ！

「べ、別に。ただ困ってるなら、俺、早坂と同期だし、その、言ってやっても良いけど？」

「大丈夫です！私、気になる人がいるってちゃんと言ってますからッ！」

……。
気になる人？

そうだよな。原田にだって、そんな奴がいたって不思議はない。
なんだ。早坂の奴。
全く相手にされてねーの。ざまぁ。

「そっか。俺の取り越し苦労か」

「お気遣いいただいてすみません」

でも、気になる人はいるわけだよな。
ふーん。

「その相手には気持ち打ち明けねーの？」

「打ち明けるなんて思ったこともないです。気になるというか、憧れてるっていう方が合ってるかな」

えへへ。と可愛い顔で笑いやがって。

「それに、その気持ちが恋愛かって聞かれると答えようもないので」

へー。
真面目なんだな。
恋愛経験もすくねーのか？
きっとずっとモテて来たと思うんだけどな。
もしかして、無自覚小悪魔ってヤツか？

「私、今は仕事で頑張りたいんですッ！同期の亘理君にも負けたくないしッ！」

握り拳で力説すんなよ。
ったく。
やべ。
可愛い。