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薔薇の棘-バラノトゲ-
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次の日、東京に戻るために、僕は新幹線口に向かっていた。
「え?」
改札口に君がいて、僕は一瞬目を疑った。
「ここで待っていれば会えるかなって」
君は少し強張った顔で僕に言う。
「うん。どうしたの?」
なるべく素っ気ない態度を取ろうと頑張る僕。
「話がどうしてもしたくて。ごめん!」
いきなり頭を深々と下げる君。
僕は戸惑うばかり。
通行人が僕たちを見ている。
「今更謝ったところでお前を傷つけたことを許してもらえないのは分かってる。自分勝手なのも。でも、本当に俺、辛かった。お前のこと、本気で好きだったから。キスだけじゃ我慢できなくて、そんなことばっかり毎日考えてて。受験のプレッシャーにも負けそうだった。言い訳なのは分かってる。でも、ちゃんと謝りたかった」
一気に君は小声で捲し立てた。
それを聞いて僕はびっくり。
君の方が、僕よりずっと大人だったんだね。
僕は君が隣にいてくれて、好きだよってキスしてくれるだけで満足だった。
僕がそんなんだったから、君は辛かったんだね。
「………………ごめん。僕は、ちっともそんな事考えてあげられなかった」
僕が謝ると、君は微笑む。
「そんなお前が好きだった。違うな。今でも大好きだよ」
今でも?
僕は?
素直に認めるよ。
僕も、今でも大好きだよ。
「え?」
改札口に君がいて、僕は一瞬目を疑った。
「ここで待っていれば会えるかなって」
君は少し強張った顔で僕に言う。
「うん。どうしたの?」
なるべく素っ気ない態度を取ろうと頑張る僕。
「話がどうしてもしたくて。ごめん!」
いきなり頭を深々と下げる君。
僕は戸惑うばかり。
通行人が僕たちを見ている。
「今更謝ったところでお前を傷つけたことを許してもらえないのは分かってる。自分勝手なのも。でも、本当に俺、辛かった。お前のこと、本気で好きだったから。キスだけじゃ我慢できなくて、そんなことばっかり毎日考えてて。受験のプレッシャーにも負けそうだった。言い訳なのは分かってる。でも、ちゃんと謝りたかった」
一気に君は小声で捲し立てた。
それを聞いて僕はびっくり。
君の方が、僕よりずっと大人だったんだね。
僕は君が隣にいてくれて、好きだよってキスしてくれるだけで満足だった。
僕がそんなんだったから、君は辛かったんだね。
「………………ごめん。僕は、ちっともそんな事考えてあげられなかった」
僕が謝ると、君は微笑む。
「そんなお前が好きだった。違うな。今でも大好きだよ」
今でも?
僕は?
素直に認めるよ。
僕も、今でも大好きだよ。
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