10 / 106
uno
9
しおりを挟む
ツボ振りは、何も事情を知らずに道具を持ってきた子分が引き受けることになった。
即席の賭場ができると、真幸は真春を見て笑う。
「緊張すんなや。UNOよりシンプルですぐ済むよ。丁か半か決めるだけだ。2つのサイコロの目の合計が偶数だと思うなら丁、奇数だと思うなら半だ」
真幸の説明に真春は頷く。
「はい!ツボ被ります」
ツボの中にサイコロが吸い込まれるように入っていった。
「さあ、丁か半か!」
真幸は真春に先に決めるように言う。
2人の姿を工はじっと見守る。
どっちだ?
偶数?奇数?
偶数が丁だっけ。
偶数の気がする。
でも、奇数だったら。
分かんないよ!
真春は悩んで、ちらりと工を見る。
工は真春とも真幸とも目が合わないようにツボだけを見つめている。
「おいおい、明日になっちまうぜ。いい加減決めろや」
楽しそうに、真幸がいたぶるように言う。
真春はもう何も考えられなかった。
「奇数!」
焦って奇数と叫んでしまった。
男どもが一斉に吹き出す。五島の妻は、笑った五島の腕を抓って睨んだ。五島は照れ笑いをする。
「半でよろしいですか?」
子分に確認されて真春は真っ赤になって頷く。
「じゃあ、俺は丁で」
真春はゴクリと生唾を飲んだ。
「勝負!」
ツボが上がる。
真春は身を乗り出して見つめた。
「ピンゾロの丁!」
結果に真春は目を疑った。
2分の1の確率に負けたんだと認めざるおえなかった。
真幸は当然のように工を連れて帰って行く。
工は帰り際一礼したものの、何も真春に言葉を発しなかった。
この家に来て1ヶ月近くたって、この家にいられたのは、工のおかげだったと真春は思い知った。
もう自由に会えなくなると思うと、真春は何も考えられなくなる。
一方の工は久しぶりに真幸のマンションへ戻りホッとした。
運転手兼ボディーガードから車のキーを受け取ると、真幸と工はエレベーターに乗った。
「我が家に帰る気分か」
「いえ。頭を守るだけです」
「頑固だな」
真幸の声と笑顔に工は落ち着く。
やっと元の生活に戻れると思った。
真幸の部屋が久しぶりな気がした。
「帰り際、じーさんに言われたさ。最初の勝負は真春の勝ちだって。だから、大学への送り迎えだけはしてやって欲しいって」
それを聞いて工は複雑だった。
もうほとんど会うことがないとホッとしていたからだ。
「あんなんでも、政龍組の正統な後継者だ。ま、それを守れるのはお前ぐらいだろ」
真幸の言葉に工は従うしかなかった。
それでも真幸といられるならと十分だと思った。
「どうして俺を賭けて勝負してくれたんですか?」
ずっと聞きたかったことをようやく聞いた。
「ムカついたから。お前を貸しただけのつもりだったのに、まるで自分の所有物のように勘違いしてたんで。スッキリした。お前は俺の用心棒で、所有権は俺にある」
フフフと真幸は涼しい顔で笑うと煙草を咥えた。工がライターで火をつける。
煙草を吸う、その美しい姿に工は見惚れた。
理由はなんであれ、真幸が自分を欲してくれたことが、工は嬉しかった。
即席の賭場ができると、真幸は真春を見て笑う。
「緊張すんなや。UNOよりシンプルですぐ済むよ。丁か半か決めるだけだ。2つのサイコロの目の合計が偶数だと思うなら丁、奇数だと思うなら半だ」
真幸の説明に真春は頷く。
「はい!ツボ被ります」
ツボの中にサイコロが吸い込まれるように入っていった。
「さあ、丁か半か!」
真幸は真春に先に決めるように言う。
2人の姿を工はじっと見守る。
どっちだ?
偶数?奇数?
偶数が丁だっけ。
偶数の気がする。
でも、奇数だったら。
分かんないよ!
真春は悩んで、ちらりと工を見る。
工は真春とも真幸とも目が合わないようにツボだけを見つめている。
「おいおい、明日になっちまうぜ。いい加減決めろや」
楽しそうに、真幸がいたぶるように言う。
真春はもう何も考えられなかった。
「奇数!」
焦って奇数と叫んでしまった。
男どもが一斉に吹き出す。五島の妻は、笑った五島の腕を抓って睨んだ。五島は照れ笑いをする。
「半でよろしいですか?」
子分に確認されて真春は真っ赤になって頷く。
「じゃあ、俺は丁で」
真春はゴクリと生唾を飲んだ。
「勝負!」
ツボが上がる。
真春は身を乗り出して見つめた。
「ピンゾロの丁!」
結果に真春は目を疑った。
2分の1の確率に負けたんだと認めざるおえなかった。
真幸は当然のように工を連れて帰って行く。
工は帰り際一礼したものの、何も真春に言葉を発しなかった。
この家に来て1ヶ月近くたって、この家にいられたのは、工のおかげだったと真春は思い知った。
もう自由に会えなくなると思うと、真春は何も考えられなくなる。
一方の工は久しぶりに真幸のマンションへ戻りホッとした。
運転手兼ボディーガードから車のキーを受け取ると、真幸と工はエレベーターに乗った。
「我が家に帰る気分か」
「いえ。頭を守るだけです」
「頑固だな」
真幸の声と笑顔に工は落ち着く。
やっと元の生活に戻れると思った。
真幸の部屋が久しぶりな気がした。
「帰り際、じーさんに言われたさ。最初の勝負は真春の勝ちだって。だから、大学への送り迎えだけはしてやって欲しいって」
それを聞いて工は複雑だった。
もうほとんど会うことがないとホッとしていたからだ。
「あんなんでも、政龍組の正統な後継者だ。ま、それを守れるのはお前ぐらいだろ」
真幸の言葉に工は従うしかなかった。
それでも真幸といられるならと十分だと思った。
「どうして俺を賭けて勝負してくれたんですか?」
ずっと聞きたかったことをようやく聞いた。
「ムカついたから。お前を貸しただけのつもりだったのに、まるで自分の所有物のように勘違いしてたんで。スッキリした。お前は俺の用心棒で、所有権は俺にある」
フフフと真幸は涼しい顔で笑うと煙草を咥えた。工がライターで火をつける。
煙草を吸う、その美しい姿に工は見惚れた。
理由はなんであれ、真幸が自分を欲してくれたことが、工は嬉しかった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる