溺れる魚は切ない恋に身を窶(やつ)す

五嶋樒榴

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フレッシュオイスター・瀬戸内レモン添え

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「だから、それじゃインパクトがないんだよ!分かんねーかなぁ」

広重と亮は部署にあるガラス張りの簡易会議室で、早速資料を元に新規事業のコーヒーショップの話し合いになった。

「親会社の本社ビルに1店目をオープンさせるってことは、この事業を推しているCEOに恥かかせられねーんだよ」

亮は一通り巻くしたてると、ネクタイを緩めてため息をつきながら広重を見る。
話し合いの様子を、外から村瀬は眺めている。

「若いねー。熱くなっちゃって」

呟いて笑いながら村瀬はコーヒーを啜る。

「おい、村瀬。あいつら大丈夫か?道明が押され気味だけど」

心配して部長が村瀬に聞く。

「大丈夫ですよ。いいコンビだと思ってますから。ふたりの欠点を補えると思うんですけどね」

余裕の顔で村瀬は言う。

「まあ、お前の判断は間違い無いと思うが、あいつら今までどちらかというと犬猿の仲だったしさ」

「そこが逆に良いんですよ。良いパス出したと思うなー俺」

村瀬の言い方に部長は笑う。

「全く。お前のその自信満々な顔を一度焦らせてみたいよ。暴走しないように監督はしっかりしてくれよ」

「はーい」

村瀬の返事に部長はただ笑った。
グッタリして広重が簡易会議室から出てきた。
コーヒーカップにコーヒーを入れると、フーフーしながら飲み始める。

「どうよ、話し合いは」

村瀬が広重の背後に回り込んで、肩に顎を乗せた。
広重はびっくりして振り返った。

「気配消して近づかないでくださいよ!びっくりしたなー!」

プンプンしながら広重は村瀬に言う。

「初めての共同作業はどうなん?」

親指で亮を指しながら村瀬は言う。
広重はフーと息をはいた。

「考え方が違うんで話が先に進みません。俺は」

「はい、ストップ。お前の愚痴聞く暇は俺には無い。そうか、話が進まないか。んじゃ進むようにお前が折れろ」

「はい?なんで俺が?」

村瀬の言い方は理不尽だと思い、広重は抗議するように村瀬に訴える。

「だってどっちかが折れなきゃ進まねーだろ。とりあえず吉国の案で進めろ。それでダメだったら次はお前の言い分通せ。協力しろと言っただろ?」

村瀬はそう言って切り捨てた。

「だからって、どうして俺が先に折れるんですか!」

広重が村瀬に意見する。

「どうした?いつもと違ってらしくねーじゃん。受け身の道明がさ」

楽しそうに村瀬が言う。

「……あいつとはいつもライバル関係だったせいか、つい反発心が出ちゃって」

村瀬はジッと広重を見つめる。

「うん。それはそれで良いよ。でもさ、これに関しては話違うから。奴から学ぶこともあると思う。まぁ、少しずつでも意識変えろ」

村瀬はそう言うと広重の肩をポンと叩き、デスクに戻ると仕事を始める。
広重は、亮の分もコーヒーを入れると再び簡易会議室に戻った。
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