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本編

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人通りのない場所は真っ暗で怖かったが、それでももう人目のある場所へは行くのはダメだと思った。

「銀狼!こっちだ」

俺はビルの隙間に入り込んだ。
ハァハァと息が乱れるが、とりあえずここで時間を潰そうと考えた。
もし次に誰かに見つかって家に連れ戻されても、きっと日付が変わると思った。
正確な時間が知りたかったが、俺はまだ携帯電話も時計も持たせてもらえてない。

「あとどれくらいかな」

「分かんない。悠仁、走ってばっかで疲れただろ?」

流石に銀狼は息が乱れていない。疲れてもいなくてケロッとしている。

「流石に疲れたな。でも銀狼が一緒だから平気!すっげーワクワクしてる。もう少しでずっと一緒にいられるよ!おいで」

俺は地べたに座ると銀狼を膝に乗せた。

「銀狼、あったかい。俺、ずっと銀狼と友達だからね!」

「うん!悠仁は俺の友達だよ!俺、こっちの世界も好きだもん!向こうの世界に帰れなくても、悠仁が一緒なら大丈夫だよ!」

俺と銀狼は友情というお互いの気持ちを確かめ合った。
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