2人ではじめる異世界無双~無限の魔力と最強知識のコンビは異世界をマッハで成り上がります〜

こんぺいとー

文字の大きさ
32 / 38
第四章──暴かれ出した真実

魔王ディアボロ誕生

しおりを挟む
「……事情はだいたい分かった。言いたいこと全部我慢してとりあえずテメェに協力してやる。あのエセ神公の顔面ぶッとばさなきャオレの筋が通らねェ」

『話が早いなぁ……』

「そうか……ありがとう、テンキ」

拳を合わせてそう言うテンキ。
エセ神公、とはよく言ったモノだ。

「定食一週間奢りな。そンでチャラだ」

「随分お安い勇者様だな、いいのか?」

「お友達価格ッつーことだ」

軽口の応酬に顔を見合わせて吹き出す。
どんなに真面目にしていても、テンキとはこういうノリになってしまうのだ。

「お姉様……いえ、頑張ってきてくださいね。絶対、帰ってこられるって信じてます」

再会したばかりで送り出すなぞ、心が痛いというレベルではないだろうに。
フィーネは、わがままの全てを飲み込んでテルにそう告げた。

「ありがとうな、フィーネ。ほんとにありがとう。絶対帰ってくるからな……いってきます」

「──いってらっしゃい」

フィーネは笑顔を浮かべていたが、その目尻に浮かぶ涙をテルは見逃さなかった。
本当はぐちゃぐちゃに泣いてすがって止めたいのだろう。
その心を、彼女は必死に押しとどめている。

──それでも、行かなくてはいけない。
テルはテンキの手を取って陣を起動する。

「あ、え、オイ……」

「ドギマギすんな、きしょい」

超転移陣テレ・ポート】で、いつかの迷宮第八十層へと。



■ ■ ■

つい最近まで潜っていたように思えるその迷宮は、今や静寂に包まれており───。

ということは、全然なく。

「ちっ、やっぱもう復活してるか」

テルは悪態をつきながら、火属性の陣で丸ごと群れを焼き払う。
一瞬で全滅した群れを前に、テルは自分も強くなったもんだなぁと頭を掻いた。

「──なァ、目的地は下なんだよな?」

質問の意図が見えかねて、テルは首を傾げる。

『テンキは迷宮に来たことがないはずだから……』

補足するシエラに「(あぁ、そっか)」と答えつつ、テンキに教える。

「あぁ、でも下に行くには階段を探さなきゃいけなくて────」

「そんなルール、守ッてやる義理はねェだろ?」

「守るって、え……?」

テルがその意味を頭で考えるより先に、テンキは地に聖光を放った。
魔力ではない、別のエネルギー。
いわゆる勇者の加護だとか言われるアレだ。
ともかくそれは地を穿つに留まらず、その下、その下へとドリルのようにどんどん突き進んで行き───。

ついには、どこまで貫いたのかが分からなくなった。

「【俺最強な一撃スーパー・グレート・クラッシュ】ッてな。うッし、これで下まで一直線だ」

「───はぁ……?」

『えぇ……』

勇者の最早張り合うのが阿呆らしいレベルのデタラメ加減に、二人して絶句したのだった。



■ ■ ■

黒い光が辺りを照らしている。
魔王誕生の魔法陣の光だ。
影の男はその魔法陣のフチで、哄笑を上げている。

「成功したぞ……ッ!! いや、当然だがこれで──これで、俺の勝利は揺るがない」

ぶっちゃけ、男は焦っていた。
まさかあの英雄殺しがやられてしまうとは。

しかも、村はエルフによって守護されていて安易に手出しが出来ない。
いくら男が強いと言っても多勢に無勢。
少しでもリスクの高い行動は取りたくない。

計画を実行する前に輝を取り込む目論見は、完全に途絶えていた。

しかし、これで最早男の勝利は確実のものとなる。

──陣の真ん中で、モヤが胎児の形となって沈殿しているのを男は見た。

モヤは蠢きながら、たどたどしく言葉を発する。

「────おな、か、すいた」

濃密な魔力を吸い込み、モヤは膨らんでいく。
そして、等身大の人間の少女の形を取った所で、その成長は止まった。
魔王がついに生まれたのだ。

銀髪の長い髪に、血の色をした目。
偶然か、それとも影の男が意図的にそうしたのか。
彼女の容貌は、テルを──いや、シエラをそのまま反転したようなモノだった。
そしてその魔力も、到底推し量れるようなものではない。

生まれたばかりの魔王は、視界に入ってきた光に目を細める。
眩しい、という感覚を覚えた。

己を作ったであろう者の声が聞こえる。
興奮しきった悦びの声だ。
その方を見遣れば、一人の男が見えた。

「魔王が!! 魔王ディアボロが!! ついに誕生したぞ……これで、世界は!!」

「───私の、もの……?」

男はディアボロを肯定する。

「あぁその通りだ魔王ディアボロよ、お前がこの世界を手に入れるんだ」

「あなたは?」

「俺は神だ。お前を作った父だ。……さぁ、共に世界をどん底に陥れよう」

こくり、とディアボロは頷く。
成程自分を作ったものならば、自分が支配する絶望の世界を一緒に眺めるくらいの権利はある。
神だというなら尚更だ。
そうでなければ今ここで殺していた。

なるべく疲れることはしたくないから、都合が良かった。

──なぜ生まれたか、なんのために生まれたか。

そんなやわな思考は、既になかった。
──魔王は魔王であり、自分こそが世界を支配する最強にして最高の生命体であり。
その使命こそ、自分が生まれた意味だと確信していた。

その全てが、この神を名乗る者に利用されることなど───。

一切、知らずに。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...