宝環戦士メダリオン ~変身ヒロインに対するえっちな展開が終わらない、ただひとつの原因~

蟹江ビタコ

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第二章

47、少女、乱れる

 ミラのその異変は、帰宅してから数時間後、日を跨ぐことなくやってきた。

「んっ、ふぁ……」 

 こぢんまりと整理整頓されたミラの薄暗い自室に、艶が存分に含まれた悩ましい声が漏れ響く。くちゅ、くちゅ、というイヤらしげな水音も。
 ミラは、自身の指で乳首を撫で陰核を掻き、自慰にふけっていた。

 駅前襲撃騒動のあった、その日の夜。あとは就寝するだけだという時分に、ミラはどうしようもく抗いがたい激烈な劣情に襲われていた。特別、なにか変わったことをしたわけでもない。メダリオンの変身を解いたあとは普段となんら変わらぬ日常を過ごしていただけなのに、ベッドに入り込んだところで身体が急激に火照りだし、触りもしない乳首は硬く勃ち上がって、膣の奥から愛液がトロトロと漏れ出す始末。
 ミラは堪らず、自分で自分を慰め始めてしまった。ほんの少し前までは自慰をすることにすら抵抗感を覚えていたのに、いまはどうしても我慢が効かず、パジャマの中に手を差し入れ地肌をなぶっている。

「んっ……んんっ……あっ、イッ──~~……!」

 つたな手淫しゅいんで時間はかかったものの、ミラは身体をびくびくと痙攣させながら果てた──しかし。
 激しい肉欲はすぐさま蘇った。セルジュに飲まされた妊娠促進剤の影響で、身体が否応なしに発情することはわかっている。だが、どうしてこんなにも短い間隔で淫欲に蝕まれることになってしまったのか。

 思い当たる節が、あるにはある。

 呪術師然とした、あのジェバイデッド人。彼の操る蕾状の触手から、なにか妙な液体を注入された直後。確かにミラは、身体に著しい変化が起きたのを感じた。
 思うに、あの赤い液体は妊娠促進剤に似た性質を持つか、あるいはその原材料かなにかなのではないだろうか。
 ミラはそう仮説を立てた。妊娠促進剤を追加されて効果が高まってしまったのだと考えれば、この不自然な発情に一応の説明がつく。

 問題は、この身体の昂ぶりを治めるには精液を得るしかないということだ。どうあっても誰かと性交渉しなければならないということはとうに覚悟していたが、まさか強制的な発情がこんなにも頻繁に起きてしまうとは夢にも思っていなかった。
 高校生という身の上で、こんなふしだらな身体になってしまうなんて。妊娠してしまう可能性だってあるのに、性交渉を行わなくてはならないなんて、と。ミラは一両日嘆き、頭を悩ませた。
 しかし、そんな苦悩など知るはずもない肉体は、淫靡の炎をどんどん燃え上がらせてミラを容赦なく追い立ててくる。男とまぐわい、この身体に精液を浴びせろと急き立ててくる。

 身を焦がすような甘い甘い淫欲に悶えるミラの脳裏に、ひとつの人影が浮かび上がってきた。

『俺が、いくらでも精液をやる』

 それは、清十郎せいじゅうろうの姿だった。
 精液なしでは穏やかな生活を送れぬミラに、“自分を頼れ”と言ってくれた清十郎の。子供が出来たら責任を取るとまで言わせてしまった、清十郎の……。

 清十郎の真摯な表情を思い出していたら、ミラはいますぐにでも助けを求めてすがりつきたくなっていた。身体の内側から燃え上がる、この甘美で淫猥に過ぎる肉欲を消して欲しいと。
 しかしミラは、それはしてはいけないことなのだと思い改まった。お互いの間に恋情の類があればまだ、それを良しとできたかもしれない。けれど、清十郎はミラのことを憎からず思ってくれているようではあるが、はっきりとした好意を示したわけではないのだ。
 ミラとて、清十郎のことは一級友として大切に思ってはいるが、異性として好きかどうかと問われれば、微妙なところである。
 そんな人物に対して、将来を左右してしまいかねない性交渉など持ち掛けられるはずがない。それに──。

 ミラは、清十郎と交わることで味わえる、精神までもぐずぐずに溶けてなくなってしまいそうな、劇薬めいた快感を渇望していることに気づいていた。いたずらに高められる性欲解消のためではなく、単純に快感と快楽を貪ろうとしている浅ましい自分の存在を、ミラははっきりと感じていた。

 身ばかりでなく、心まで淫乱になってしまったのかと、ミラは戦慄わなないた。始まりは地球侵略を目論む異星人の媚薬だったかもしれないが、同級生と交わって絶頂に至りたいと願っているのは、ミラ自身に他ならない。

「……ひぐっ、うぅ……」

 あまりの情けなさから、ミラはベッドの中で声を押し殺して泣いた。ジェバイデッド人の置かれた悲壮な境遇には同情するが、いまこのときばかりは、こんな淫らな肉体に仕上げるきっかけを作ったセルジュを恨まずにはいられなかった。
 セルジュのその、闇に溶けてしまいそうな出で立ちを思い出した、そのとき。
 ミラの脳内に、閃光が弾けた。その眩さに導かれて上体を跳ね起こしたミラは、ドキドキと早鐘を鳴らす胸を抑えながら、必死に記憶を辿りだした。

「……やっぱり、セルジュさん、助けてくれたんだよね……?」

 敵であるはずのセルジュが、助けてくれた。そんな映像が、脳にうっすらと焼き付いている。 触手に襲われたときと、もうひとつ。白の女王ファイブが“超次元波動砲ハイペリオン”を放ったあとの、はっきりとしない光景が。

 そしてミラは、その決して鮮明にはならない記憶に、光明を見出した。


※:


 週明けの月曜日、ミラはそわそわと落ち着かない様子で登校した。そもそもにして、身体は絶えず発情状態なのだから落ち着けという方が土台無理な話である。
 土日の二日間は、本当に大変だった。なにしろ肉体はずっとうずきっぱなしで、日常生活に支障は出るわ、両親には訝しげな目で見られるわで、とにもかくにも散々だった。
 それでもミラは、受精を待ち望む雌の身体をなけなしの理性で制御して、準備を整えた。今日この日のために。

 そうして、午前中の授業をどうにかこうにかやり過ごし迎えた昼休み。ミラは意を決して、隣の席にいる清十郎に声をかけた。

「あ……あの、美影みかげくん。お願いがあるんです、けど……」

 ミラの言葉尻は徐々に弱くなり、昼休みの喧騒に呆気なく呑み込まれた。それと反比例するように、頬にはどんどん熱が溜まっていく。いまから清十郎に持ち掛けようとしている、そのあまりにも破廉恥すぎる“お願い”の内容に、全身の血は否応なしに沸騰していった。
 二言目が発せられずに俯いていたミラの腕が、不意に持ち上がった。それにつられて顔を上げれば、清十郎がミラの腕を掴んだまま、教室のドアに向かってずかずかと歩いていくではないか。

「え……? あ、あの、美影くん、ま、待って……」

 ミラの呼びかけを無視して、清十郎はずんずんと進んでいってしまう。やがてミラは、薄暗い階段にまで連れてこられた。
 ここは、屋上へと続く扉の前にある踊り場だ。滅多なことでは生徒も教諭も訪れることのない、無人の空間。

「ここでいいか?」

 やっとこさ清十郎が立ち止まってミラに向き合ったかと思いきや、いきなりそう切り出された。

「他に、人がいない場所に宛がない。保刈ほかりさえよければここでする」

 清十郎の言わんとしていることがわかるような、わからないような。ミラが戸惑い押し黙っていると、清十郎がそっと頬を触れてきた。

「保刈、今日もえろい……精液が必要なんだろう?」

 困ったような、それでいて優しげな表情を浮かべた清十郎にずばり核心を突かれて、ミラは肩を強張らせた。

「……そう、です。それで、あの、そのことできちんと、美影くんにお話しておきたいことがあって……」

 指摘された通り、甚だ不本意ではあるが、ミラは清十郎に性行為をしてくれと、精液をくれと頼むつもりでいた。
 なかなか切り出せないでいたところを、こうして清十郎が察してくれたのはとてもありがたいことだが、これに甘えてはいけないと、ミラはきゅっと唇を噛み締める。

 性行為に及んで、万が一なにかあったときに──万が一身籠ってしまったときに、清十郎に非があるという判断がされるようなことは、なにがあっても避けなければならない。
 あくまでも、いまから行われることはミラが望んだことであって、清十郎はそれに巻き込まれただけに過ぎないと、責任はないのだと、そう仕向ける必要がある。
 それが清十郎に対してできる、最低限の礼儀であり防波堤だとミラは考えた。

 だからミラは、清十郎にすべてを伝えることにした。
 発情に至るまでの間隔が短くなってしまったこと。これから先も清十郎を頼りたいということ。精液を提供してもらうにしても、妊娠しないで済む方法もあることや、自分の置かれている状況も心境も包み隠さず、すべて。

「あの、でも、それでも私に赤ちゃんができたら……美影くんには絶対に迷惑をかけないと、お約束します」

 そしてミラは、今度こそ覚悟を決めて、その言葉を口にする。

「だ、だから……美影くん、お願いします。私と、え、え……えっち、してください」

 全身の血液が蒸発するのではないかというほど、ミラの体温が上昇した瞬間、清十郎に両腕をガッと掴まれた。
 血に飢えた獣のように荒ぶる、けれども彫刻のように整い尽くした清十郎の美しい顔が迫ってくる。

 ──キスされる。

 そう悟ったミラは、反射的に手のひらで清十郎の唇を押さえていた。

「あ、あの、キスは、その、好きな人のためにとっておいてね」

 清十郎に対して好意がないとは言わない。ただ、いまからすることは恋人同士の甘い情事などではなく、ミラの私情で致し方なくおこなう作業に過ぎないのだ、と。ミラはそう言い含めてから、清十郎の足元に跪いた。

「美影くんは、なにもしなくていいからね。私が、ぜんぶやるから……」

 そう告げたミラは、清十郎を壁にもたれさせてからベルトを外しにかかった。カチャカチャと忙しない音が踊り場で反響している。
 他人の──男性の衣服を脱がすなど初めての体験で勝手がわからず少々手間取ったが、ミラは無事、清十郎のベルトを外し、ズボンのファスナーを下げることができた。
 そしていよいよ最後の砦、ボクサーパンツに手をかけた。すでに中央部分が盛り上がっており、湿っているのか微かに変色もしている。
 まだその全貌を明らかにしていないにも関わらず、強烈な存在感をありありと主張してくる清十郎を前に、ミラは固まってしまった。どき、どき、どき、と、心臓が際限なく高鳴っている。このままでは、その鼓動と音だけで気がおかしくなってしまいそうだった。
 しかし、昼休み中に事を済まさなければならないのだから、いつまでもこうしているわけにもいかない。

(……えいっ!)

 清水の舞台から飛び降りる心持ちで、ミラはボクサーパンツを引き下げた。
 ビンッッ、と、弦を限界まで引き延ばして離したような勢いで、清十郎の股間から陰茎が飛び出してきた。それと同時に、蒸れた雄の匂いがむわりと広がり、鼻を掠める。
 ミラは知らずの内に、ほぅ、と法悦混じりの息を吐いていた。

(や……やっぱり、美影くんの、おっきい、よね……? それに、こっちもパンパンに張ってて、苦しそう……)

 露になった肉棒と、そこに備え付けられた玉袋から目を離せない。相も変わらず、立派に過ぎる雄肉だ。誰が触れているわけでもないのに、肉竿は独りでにぴく、ぴく、と上下に跳ね、それでいて亀頭は常に高く上向いている。
 清十郎のこの荒ぶる肉塊を乙女の秘所にハメ込めば、自我が崩壊せんばかりの強烈な快感を得られることを、ミラはすでに知ってしまっている。
 しかし、それは本来あってはいけないことなのだと自らを律し、ミラは清十郎の亀頭を咥え込んだが──。

「うっ……」

 清十郎から苦しそうな声が漏れ出てきて、ミラは慌てて身を引いた。その反動で、ミラの小さな口から肉棒がまろび出る。

「ご、ごめんね美影みかげくん……痛い……?」

 気をつけていたつもりだが、男の宝とも呼ぶべき肉棒に歯が当たってしまっただろうかと不安になって、ミラは清十郎を見上げた。

「……俺のことは気にしなくていい」

 清十郎の声色は、至極優しかった。しかし眉は苦しげに歪んでいるし、息遣いも少々荒い。これが気持ち良さを感じてくれているのか、はたまた痛みに耐えているだけなのか判断がつかず、ミラはやはり困惑して固まった。
 そんなミラの心中を察したのか、清十郎は自らの手で肉茎の根元を掴んだ。そして、その先端をミラのぷっくりとした桜色の唇に寄せ、揺らす。
 遠慮はいらない、ということなのだろう。ミラは清十郎の計らいに感じ入り、また申し訳ないと思いつつ、亀頭にちゅ、とキスをする。その瞬間、鈴口から先走りの液がどっと溢れだしてきた。透明な雫が、ツー……と肉竿をなぞってフロアの床にぽたぽたと落ちていく。

 ミラはごくりと喉を鳴らし、再び亀頭を唇で覆い込んだ。清十郎の射精を促すために──精液を与えてもらうために。

(えっと……くぼんでるところを舌で舐めて……力は入れちゃだめで……)

 唾液を十分に含ませた柔らかな舌で、窪んだ雁首と亀頭を優しく優しく舐め回し、タイミングを見計らって肉竿の方まで咥え込む。竿の筋に舌をぴたりと這わせ、頭を前後しながら吸い上げる。それから、どこをどうすれば男が悦び精を解き放つのかを順序だてて思い出しながら、ミラはせっせと奉仕に勤しんだ。

「は、あっ……保刈、イクッ……射精る……!」

 じゅぷ、じゅぽ、という、学び舎には似つかわしくない淫靡な音が反響する中で、清十郎が官能的に呻く。
 そして間を置かずして、びゅく、びゅく、びゅく、と、ミラの口内に白濁の液を放出した。
 
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