転生騎士団長の歩き方

Akila

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1章 ようこそ第7騎士団へ

05 初めまして

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「整列」

副団長の大声が演習場に響き渡る。ガヤガヤしていた団員達がこちらを一斉に見る。

「これより新しく就任した団長からの挨拶がある。姿勢を正せ!」

全員、腕を後ろに直立になってはいるが、服装がゆるい。着流し風? と言うか、各々がボタンを外してチャラっとしている。

「本日より第7騎士団の団長に就任したラモンです。これからよろしく」



あれ? 短か過ぎた? 名前、フルネーム言ってないから?

「ごほん。団長、私もいいですか?」

「どうぞ」

空気を読んでか、副団長が横に来てくれた。

「私は同じく副団長に就任したドーンだ。今まで第1騎士団に所属していた。よろしく」

団員達は第1騎士団のワードにどよめいた。そりゃそうか。私でもドーン様にはびっくりしたしね。

「団長、今後の方針をお話ししてはどうでしょう?」

と、副団長は小声でこそっとアドバイスしてくれた。

「そうですね。ありがとう。では。ごほん。皆さん、静かにして下さ~い!」

ガヤついていたのがまた静かになる。

「今後の方針を少し話しますね。私は第7の編成を考えています。それで2週間程かけて全員と面接をします。あとは、普段の仕事ぶりや内容など確認の為、管轄内を徘徊しますのでよろしく。それと、私は見ての通り小娘です。騎士としての研鑽期間はまだまだ皆さんにかなわないかも知れません。しかし、それはそれ。どう文句を言われようが私が団長です。ですので、団長になったからには誠心誠意がんばりますので、皆さんも長い目でお願いします。あと、服装や話し方は上官云々と細かいことは言いませんが、然るべき場所や他の騎士団の前ではきちんとしてくれれば結構です。それだけは守って下さい。団長命令です。以上」

し~ん。

ポツポツと上着のボタンを閉める者がいるだけで誰も何も話さない。

「何か質問は? 無ければ思いついた時でもいつでもいいので言いに来て下さい。あとは…」

何かあったかな? と副団長を振り返ろうとした時、『はい』と誰かが手を挙げた。

「ん? はい、そこの君」

「はっ。本日からの仕事はどうすればよろしいでしょうか?」

「あぁ、そうですね。今日から2週間後までは今まで通りでお願いします。その後、また皆を集めて新体制の説明をする予定です」

「は、はい!」

「はい、どうぞ」

「説明会は必要無いのではないでしょうか? 命令すればいい事では?」

「う~ん、そうですね。でも新体制について誤解がないようにしたいので。周知するには上から伝言ゲームのように伝わるよりかは自身で理解した方が良いですから。何でも新しい物事は始めが肝心ですし」

ガヤガヤと話し声が聞こえるようになって来た。

「どうせ口だけじゃないのか?」
「命令すれば早いのに」
「意見を聞いてくれる?」
「お貴族様らしくないな」
「独身かな」

パンパンパン。副団長の柏手が響く。

「静かに。これより個人面接もある。個人的な不満や質問はその時に聞く。ちなみに面接時間は1人15分だ。それ以外で何かあるか? ないなら解散だ」

し~ん。

「現在の第1部隊から面接だ。30分後から順番に団長室へ。2番目の者はドアの外に椅子があるので時間前に待機しておくように。非番の者はご苦労だった。では、解散」

ぞろぞろと演習場を団員達が出て行く。私は最後までその様子を見ていた。

「団長、いかがでしたか?」

「ん? まぁ、こんなもんでしょう。私がどんな感じか伝わったと思うし、団員達の雰囲気もわかりましたしまるとしましょう」

「そうですね。存外にスムーズにいきましたね」

「う~ん。仕事内容の割にちょっと人数が少ないような… まぁ、まずは個人面接ですね。どんな人がいるのやら、楽しみです」

「ははは、しかし全員とは… 私もこんな事初めてですので楽しみです」

私と副団長はニヤニヤしながら団長室へ戻った。


「では今から面接をしますが、副団長には嫌な思いをする事があるかも知れません」

「嫌な思いですか?」

「はい、一部の団員が私を軽く見た時に副団長には私への敬意を示して欲しいのです。他力本願ですがこれが一番手っ取り早い解決方法ですから。本当に申し訳ないのですが、あなたの今までの騎士としての矜持を傷つけるかも知れません。まだまだ力不足で申し訳ないのですが」

「ははは、そんな事はどうって事無いですよ。現に私はラモン殿を上官として尊敬していますし。気にしなくて結構です。それに、そんな瑣末な事で私の騎士人生は左右されません。そんな低俗な考えは団長も耳を傾けなくていいです。それは騎士以前の問題、人として器がないと思えばいいですよ」

「ははは、そんなもんですか?」

「そんなもんですよ」

「では、始めましょうか?」

「ええ。最初の者、入れ!」

と、副団長の呼びかけで入って来たのは面接者1号のアレクさんだ。副団長はアレクさんに軽く礼をした。

「失礼します」

アレクさんは私と副団長の前に座って目を合わさず前を見ている。

全く期待もされてないし好奇心もなさそうだな。ははは。手強そう。

「では、所属と今までの仕事内容をお願いします」

「第1部隊長兼団長代理をしていました」

おっと、いきなりビンゴか。副団長を思わず見る。

「そうですか。それはご苦労様でした。これからは私がきちんとこなしますのでご安心を。アレクさんは今後何をしたいですか? または第7の仕事に不満はありませんか?」

「何をしたいか… 純粋にしたい事であれば鍛錬をしたい。今はそんな余裕が無いですから。あとは、第7は編成されるようなので、不満はありますが解消されることを願っています」

「ちなみにどんな不満でしょうか?」

「細かい事なので…」

「教えて下さい。団長代理をされていた様なので、今後の参考にしたいと思います」

アレクさんは初めて副団長を見てから私と目を合わせた。

ん?

「ラモン殿、まずここの体制が問題です。人数不足と人材不足による仕事の停滞。門番と商人の癒着問題。あとは団員達の騎士としての意識の低さでしょうか」

「モラルは生きて来た環境にもよりますからね… これは今後の課題ですね。人員については上と掛け合う予定ではあります。人材は… 育てるしかないでしょう。現状、優秀な人をスカウトしても来てくれる保証がありませんからね。わかりました。アレクさん、あとは無いでしょうか?」

びっくりした顔のアレクさんが私をじっと見ている。

「え? 何か変な事言いましたか?」

「いえ… 権力を振りかざさないのはさっきの集会で何となく感じていましたが… そんな今後の内情まで話すとは」

「あぁ、今まで団長代理としてアレクさんががんばって来てくれたので、敬意を示したんですが?」

「そうですか… 理解しました。今後はアレクとお呼び下さい。団長。あと敬語も不要です」

おっ! 団長って! ちょっとは認めてくれた?

「わかったわ。アレク。また細かい事を聞くかも知れないけど、その時はよろしく。私も普段はタメ口でいいので」

「了解」

「では、出る際に次の人を入れて下さい。ご苦労様」

アレクは一礼して退出する。やっぱり副団長は軽く礼をしていた。

「副団長、知り合いなの?」

「あっと… 古い知人です」

「そう?」

「し、失礼します!」

と、ガッチガチに緊張した若い騎士が入って来る。

その後、午後も面接をし第1部隊の全員をようやっと終えたのは日が沈んだ頃だった。

「は~。ちょっときついですね。明日からは午前か午後の半日にしましょう。頭が回らない~」

「お疲れ様です。しかし、現状の把握に面接はもってこいでした… こんなにもガタガタだったとは」

副団長も目頭を押さえながら溜め息をつく。

「そうだね。ハリボテ感が強まったと言うか… アレクが現状維持でとにかく回してたんだろうね」

「そうですね。その采配、回すだけでもすごいと言えるでしょう。アレクは側近に欲しいですね」

「うん。でもなぁ、今まで辞めずにがんばってくれたから少し自分のしたい事をさせてあげたとも思うんだよね… でも人材がねぇ~」

「はぁ、人材不足がネックですね」

2人で重い溜め息を吐いた後、今日の仕事は終わりという事にした。

はぁ、どう編成しようかな~っと。
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