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2章 王城と私
07 ぼっこぼこのトロイ
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翌日の午後、団長会議の為王城へ向かう。
「ねぇ、ドーン。今回は新旧の顔合わせかな?」
「恐らく。団の隊員達も移動する者が多いようですし、今日は副団長も揃うでしょうね」
「そう… 昨日のアレで思ったんだけど、第2大丈夫かな? 古巣なだけにちょっと心配だわ」
今日の会議室はいつもと違いかなり広かった。ガヤガヤと人で溢れている。
ん? 騎士服着てない人もいるなぁ。誰だろう?
「おう、チビ。よかったな~また団長になれて」
来たよ。第6。今日の呼び名はチビか。はは。
「ええ、お陰様で。ユーキさんも団長に残れてよかったですね?」
「てめぇ、舐めてんのか?」
「は~、いっつもそのセリフ。いい加減違う事言って下さいよ~」
昨日のトロイさんでイラついている私は第6でうっぷんを晴らす。ごめんよ。
「俺ほどの逸材はいないって事だよ。なんせ剣と魔法だからな。どうだ?」
「へーへーすごいですね~」
「こいつっ! まぁ、いいや。それより今後は連携する事があるから足引っ張るなよ」
「は~、そうだった。よろしくで~す」
ユーキさんはそう言うといつもの様に立ち去っていく。
「ドーン、第3は城内警備でしょ? 第6との連携って?」
「第6は王族警備と牢屋番です。何かと接点がありますね」
「そう言う事か… やだな~、ユーキさん話聞かなさそうだし」
「まぁまぁ。ある意味御し易いのでは? 今までの感じでは単純でしょうから。あちらは副団長がしっかりしていますね」
「副団長ね。どこも副団長って大事よね。いつもありがとうね、ドーン」
「いえいえ」
と、話をしていたら次はシニアスさんがやって来る。
「やぁラモン。久しぶりだな。って、昨日顔は見たが」
「あっ! 副団長! お久しぶりです。びっくりしましたよ!」
「おいおい、もうお互い第2じゃないんだ。その呼び方はよせ」
「失礼しました。シニアスさん」
そうだった、そうだった。私の後任、第7の団長に就いたのは、元第2のメガネ副団長だった。
「それより、今日はこんなに… ちらほら部外者が居る様だがどうなっている?」
「何でしょうね? 何も聞いていませんよ」
「新第2の団長、気をつけろよ。色々と噂が絶えない人物だ」
「と言うと?」
「ここでは何だ… また引き継ぎの時にでも」
「了解です」
シニアスさんとは笑顔で別れ、そろそろ会議が始まるので私は自分の席を探す。
ふ~っと私は新団長の席について総団長を待つ。ちょっと遅れてる? 10分程開始時間が過ぎている。
「やぁ、ラモン嬢。昨日ぶりだね?」
隣の席に着いたのは例のトロイさん。時間が押してるとは言え遅くない?
「そうですね」
「あれ~? 今日はつれないなぁ。今日は僕の晴れ舞台だからね、父と妹達が来ているんだ」
にっこり笑顔で指を指した先には、つ~んとした顔で父親と話している着飾ったお嬢様と、その影に隠れて赤い顔でアレクを見つめるお嬢様。と、その他大勢。
はぁ? 授業参観か? あの令嬢ってどこかで見たような…
「それは、それは… 総団長の許可は取ってありますか?」
「必要ない。僕の家は特別でね」
と、ウィンク。
このボンボン、大丈夫なの? 本当に陛下が任命したの? このお花畑具合… 何か裏があるとか? 第2でそんな事、やめてあげて欲しい。頭痛い。
ようやく総団長が来たのは、開始予定の15分後だった。
「すまない。待たせたな… ん? 部外者が居るようだが?」
トロイさんが意気揚々と立ち上がり話し出す。
「総団長、失礼しました。本日の会議、父と妹達が見学をしたいと申しまして連れて参りました。窓際にて待機しますのでご容赦下さい」
「は? 却下。部外者は出て行ってくれ」
「なっ! 無礼だぞ。私はあのタッカー伯爵家だぞ!」
「関係ない。おい、副団長達、連れ出せ」
各副団長は困惑しているが、ドーンが先陣切って伯爵家の当主とお嬢様2人、侍女さん達を追い出す。『きゃ~』『わ~』とうるさい。
しばらくして静かになった。ようやく会議が始まる。
呆気に取られていたトロイさんもハッとなって動き出す。
「総団長! 我が伯爵家、妹はミハエル様の婚約者ですよ? 次期王妃です! 無礼じゃないですか?」
「バカか。これは騎士団会議だ。国の政にも関係してくる… 言わずとも分かるだろう?」
「しかし、次期王妃の希望を無下にするなんて! これはミハエル様に報告させて頂きます!」
「勝手にしろ… 人選を誤ったようだ。それよりトロイ、これ以上何か言うならついでにお前も出て行け。目障りだ」
…
ひょえ~。団長になったばかりなのに、いきなりクビ?
さすがに追い出されるのは嫌なのか、トロイさんは怒りで拳をブルブル震わせながら着席した。
「これより会議を始める。新団長、副団長の顔合わせと今後の各団の課題を発表する」
それからは淡々と会議は進行した。順に名前を呼ばれて一礼を繰り返す。
「次は第1のメンバーだ。前第2の団長ケイン、前第3の団長ユーグナーが新たに加わる。よろしく頼む」
わ~! ケイン団長だ! もう団長じゃないのか。でも、すごい! 出世だね。私もついついうれしくなる。
ニコニコとケインさんを見ていたら、横にいたスナッチ副団長にまたしても口パクで『ば~か』と言われた。ちっ。
「最後に、これから言う事は騎士団でのルールだ。特にトロイ、肝に銘じろ」
トロイさんは名前を呼ばれたのでビクッとなっている。
「団長は同格だ。爵位や歳は関係ない。まして実家の家がどうとかも関係ない。王族の親戚? それを言うなら、私は陛下の叔父、第4のアレクサンダーは第3王子、第1のユーグナーは筆頭公爵家である。しかし、家の権威や威光はこの騎士団には存在しない。彼らはそんなモノをひけらかしたりはしない。騎士団とは国を守る盾であり剣だ。そこに家は関係ない。わかったな?」
明らかにトロイさんを見て話している総団長。キリッとした目が迫力ある。
「…」
「わかったのか? トロイ?」
「な、なぜ私を指定… くっ、はい」
「よし。以降、団長同士は呼び捨てで良い。ただし団長だけだと思って尊大な態度は止めとけよ? 副団長にも敬意を払え。隊員達にもだ。人としての底が知れるぞ?」
「ぐっ」
ワナワナ肩が震えている。地震か? って言うほど震えてる。
「これより2週間で古巣の掃除と引き継ぎ、2週間後からは新しい団での引き継ぎだ。では解散」
トロイさんは皆が立ち去った後も座っていた。よっぽど悔しかったのか、ムカついたのか。
あの人大丈夫かな? 一騒動起きなきゃいいけど。変なフラグが立ったっぽい。やだな~。
「ねぇ、ドーン。今回は新旧の顔合わせかな?」
「恐らく。団の隊員達も移動する者が多いようですし、今日は副団長も揃うでしょうね」
「そう… 昨日のアレで思ったんだけど、第2大丈夫かな? 古巣なだけにちょっと心配だわ」
今日の会議室はいつもと違いかなり広かった。ガヤガヤと人で溢れている。
ん? 騎士服着てない人もいるなぁ。誰だろう?
「おう、チビ。よかったな~また団長になれて」
来たよ。第6。今日の呼び名はチビか。はは。
「ええ、お陰様で。ユーキさんも団長に残れてよかったですね?」
「てめぇ、舐めてんのか?」
「は~、いっつもそのセリフ。いい加減違う事言って下さいよ~」
昨日のトロイさんでイラついている私は第6でうっぷんを晴らす。ごめんよ。
「俺ほどの逸材はいないって事だよ。なんせ剣と魔法だからな。どうだ?」
「へーへーすごいですね~」
「こいつっ! まぁ、いいや。それより今後は連携する事があるから足引っ張るなよ」
「は~、そうだった。よろしくで~す」
ユーキさんはそう言うといつもの様に立ち去っていく。
「ドーン、第3は城内警備でしょ? 第6との連携って?」
「第6は王族警備と牢屋番です。何かと接点がありますね」
「そう言う事か… やだな~、ユーキさん話聞かなさそうだし」
「まぁまぁ。ある意味御し易いのでは? 今までの感じでは単純でしょうから。あちらは副団長がしっかりしていますね」
「副団長ね。どこも副団長って大事よね。いつもありがとうね、ドーン」
「いえいえ」
と、話をしていたら次はシニアスさんがやって来る。
「やぁラモン。久しぶりだな。って、昨日顔は見たが」
「あっ! 副団長! お久しぶりです。びっくりしましたよ!」
「おいおい、もうお互い第2じゃないんだ。その呼び方はよせ」
「失礼しました。シニアスさん」
そうだった、そうだった。私の後任、第7の団長に就いたのは、元第2のメガネ副団長だった。
「それより、今日はこんなに… ちらほら部外者が居る様だがどうなっている?」
「何でしょうね? 何も聞いていませんよ」
「新第2の団長、気をつけろよ。色々と噂が絶えない人物だ」
「と言うと?」
「ここでは何だ… また引き継ぎの時にでも」
「了解です」
シニアスさんとは笑顔で別れ、そろそろ会議が始まるので私は自分の席を探す。
ふ~っと私は新団長の席について総団長を待つ。ちょっと遅れてる? 10分程開始時間が過ぎている。
「やぁ、ラモン嬢。昨日ぶりだね?」
隣の席に着いたのは例のトロイさん。時間が押してるとは言え遅くない?
「そうですね」
「あれ~? 今日はつれないなぁ。今日は僕の晴れ舞台だからね、父と妹達が来ているんだ」
にっこり笑顔で指を指した先には、つ~んとした顔で父親と話している着飾ったお嬢様と、その影に隠れて赤い顔でアレクを見つめるお嬢様。と、その他大勢。
はぁ? 授業参観か? あの令嬢ってどこかで見たような…
「それは、それは… 総団長の許可は取ってありますか?」
「必要ない。僕の家は特別でね」
と、ウィンク。
このボンボン、大丈夫なの? 本当に陛下が任命したの? このお花畑具合… 何か裏があるとか? 第2でそんな事、やめてあげて欲しい。頭痛い。
ようやく総団長が来たのは、開始予定の15分後だった。
「すまない。待たせたな… ん? 部外者が居るようだが?」
トロイさんが意気揚々と立ち上がり話し出す。
「総団長、失礼しました。本日の会議、父と妹達が見学をしたいと申しまして連れて参りました。窓際にて待機しますのでご容赦下さい」
「は? 却下。部外者は出て行ってくれ」
「なっ! 無礼だぞ。私はあのタッカー伯爵家だぞ!」
「関係ない。おい、副団長達、連れ出せ」
各副団長は困惑しているが、ドーンが先陣切って伯爵家の当主とお嬢様2人、侍女さん達を追い出す。『きゃ~』『わ~』とうるさい。
しばらくして静かになった。ようやく会議が始まる。
呆気に取られていたトロイさんもハッとなって動き出す。
「総団長! 我が伯爵家、妹はミハエル様の婚約者ですよ? 次期王妃です! 無礼じゃないですか?」
「バカか。これは騎士団会議だ。国の政にも関係してくる… 言わずとも分かるだろう?」
「しかし、次期王妃の希望を無下にするなんて! これはミハエル様に報告させて頂きます!」
「勝手にしろ… 人選を誤ったようだ。それよりトロイ、これ以上何か言うならついでにお前も出て行け。目障りだ」
…
ひょえ~。団長になったばかりなのに、いきなりクビ?
さすがに追い出されるのは嫌なのか、トロイさんは怒りで拳をブルブル震わせながら着席した。
「これより会議を始める。新団長、副団長の顔合わせと今後の各団の課題を発表する」
それからは淡々と会議は進行した。順に名前を呼ばれて一礼を繰り返す。
「次は第1のメンバーだ。前第2の団長ケイン、前第3の団長ユーグナーが新たに加わる。よろしく頼む」
わ~! ケイン団長だ! もう団長じゃないのか。でも、すごい! 出世だね。私もついついうれしくなる。
ニコニコとケインさんを見ていたら、横にいたスナッチ副団長にまたしても口パクで『ば~か』と言われた。ちっ。
「最後に、これから言う事は騎士団でのルールだ。特にトロイ、肝に銘じろ」
トロイさんは名前を呼ばれたのでビクッとなっている。
「団長は同格だ。爵位や歳は関係ない。まして実家の家がどうとかも関係ない。王族の親戚? それを言うなら、私は陛下の叔父、第4のアレクサンダーは第3王子、第1のユーグナーは筆頭公爵家である。しかし、家の権威や威光はこの騎士団には存在しない。彼らはそんなモノをひけらかしたりはしない。騎士団とは国を守る盾であり剣だ。そこに家は関係ない。わかったな?」
明らかにトロイさんを見て話している総団長。キリッとした目が迫力ある。
「…」
「わかったのか? トロイ?」
「な、なぜ私を指定… くっ、はい」
「よし。以降、団長同士は呼び捨てで良い。ただし団長だけだと思って尊大な態度は止めとけよ? 副団長にも敬意を払え。隊員達にもだ。人としての底が知れるぞ?」
「ぐっ」
ワナワナ肩が震えている。地震か? って言うほど震えてる。
「これより2週間で古巣の掃除と引き継ぎ、2週間後からは新しい団での引き継ぎだ。では解散」
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