転生騎士団長の歩き方

Akila

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2章 王城と私

13 ある日のスバルとラモン

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ラモン団長が面白い事を始めた。

まだ新しい団に正式に着任していないのにも関わらず、与えられた課題をクリアにしようと奮闘している。

「スバルさ~ん、助けて下さい!」

ラモン団長が色々な資料を持って駆け込んできた時は驚いた。ドーン殿がいるのにどうしてだ?

「ドーン殿は?」

「えへへ。ドーンは新しい団の収支報告書とかいっぱい目を通してもらっていまして… これは私が発案者だし、ちゃんとしないとな~と… 『これぐらい任せて』って言った手前ですねぇ… リーネさんから来た設計図がチンプンカンプンでして… わぁ~ん」

思いっきり嘘泣きだが、泣きついてきた理由はまぁ理解出来る。

魔法回路が組み込まれた小型魔法具の設計図。

私でも専門書がないと読み解けないだろう。

あ~、そうだ。

「第6に聞けばどうですか? あそこは魔法が使える騎士が多いですから」

「げっ… 第6は… ちょっと…」

そう言えばラモン団長はユーキ団長が苦手だったな。

「いつもちょっかいかけられていましたね… しかし今は私も手が離せない。申し訳ないが力になれそうにないよ」

「そうですよねぇ… 第6かぁ」

とぼとぼと肩を落として未練がましい顔で第3へ帰って行くラモン団長。

「あぁ、ラモン団長! 言い忘れていました。特許関係が通れば、総団長のハンコももらえそうですよ。国への申請はすぐに取れます」

「ふぁい。でもその特許取るのに設計図の解釈が… うわ~ん」

ラモン団長は今度は本当に泣いてるのか? わめきながら走り去って行った。

元気だな。

「珍しいな、スバルがラモン団長を追い返すなんて」

私達のやり取りをニヤニヤと眺めていたスナッチ副団長が口を挟む。

「いえ、本当に今は… 今回の編成で雑務が多くて」

「まぁ、その書類の山を見ればわかる。しかしあのバカ、魔法回路の理解なんて一生無理じゃないか?」

「ははは。大丈夫でしょう。時間はかかるかもしれませんがドーン殿もいますし」

「そっかな? 俺はあのバカが団長なのが今でも納得出来ないんだよな」

スナッチ副団長はなぜかラモン団長を目の敵にしている。いつも『ば~か』と口パクしているのはお約束になっていた。そう言えば、さっきもしていたな口パク。

「なぜそんなに気にかけるんです? 実はお気に入りですか?」

「俺じゃない。気にかけているのはハドラー様だ…」

あ~、総団長ね。ただの嫉妬か。好きだもんね、総団長の事。

「総団長は気にかけると言うより、面白いオモチャを見つけた感じではないでしょうか?」

「それでも… あの方が喜んでいるのは事実だ。ムカつくんだよ、あの存在自体が。くそっ」

相当ですね。スナッチ副団長の総団長至上主義にはちょっと… 重いというか、時々恐ろしく感じる。

「まぁ、あんな小娘。その内自滅するだろうけど?」

「ははは、私は好きなのでがんばって欲しいですね」

「ふ~ん。変わったやつ~。ドーンといい、総団長も早く目を覚ましてくんないかな~」

「どうでしょうね」

さてさて、ラモン団長は第6へ行ったのかな?

魔法士団へはこれ以上お世話になれないだろうからな。てか、あそこは実験実験で、逆に講義じみた事などしないだろうし。もし講義されても、専門用語のオンパレードだろう。それこそラモン団長が涙目になって後悔してる絵が予想される。ははは。どうなる事やら。
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