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2章 王城と私
35 古巣の変化
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「グロッサーさんでしたっけ?」
「あぁ、グローでいいっす」
「あぁ、はい」
相変わらず両手がポッケの中だ。ん~。私はいいけど、ここは団長会議の場だしね。でも、明日から団長だし、突っ込んでいいのか、どうなのか迷うな。
「あの~、団長は昔第2に居たんすよね?」
「うん。昔って言っても1年経ってないしまだまだ出て間もないけど? どうかした?」
「実は今、第2って平民騎士と貴族騎士の間でバトってて」
ん? バトる? なぜに?
「え? 何で? 私が居た時はそんな雰囲気はなかったけど」
「あのヘボのせいですよ。あいつが団長になった日『これからは貴族騎士が騎士階級に関わらず上に立つように』って。それから貴族騎士が仕事しなくなっちまって… そんで、今はその本人が捕まっただろ? 平民騎士と貴族騎士がケンカっぽくなってさ。まずはそれをなんとかして欲しいんだ。俺は平民騎士だし副団長だからあんま聞いてくんないんだ。そもそも団をまとめる権限がないし」
「あ~、そう言う事」
う~んと考えているとグローはもう一つ問題を挙げる。
「あと一つ。教会絡みなんだけどさ」
ゲッ。教会。
「教会と言うと、第2だから修道院とかかな?」
「そう。西の修道院がきな臭いんだよ」
「わかったわ。今はごめん。私も今の団の引き継ぎと引っ越しと色々あるから。明日の午後でいい?」
「了解っす」
「出来れば、さっきの事やら何やら報告書をまとめといてね」
「げっ。わかりました」
「じゃぁ、改めて、よろしくね。グロー」
「うっす」
はぁ~。やっと慣れた頃にまた異動だよ。キリスとゲインとも仲良くなって来て連携も取れた矢先なのに…
「あっ。総団長。今からお時間頂けませんか?」
「今か?」
「はい。ドーンの事で。出来れば2人きりで話がしたいです」
それを横で聞いていたスナッチさんは即座に反対してくる。
「ダメです。今から予定がびっしりです。小娘のお悩み相談に時間は割けません」
また『ば~か、ば~か』と口パク。くそっ。ムカつくな。
「ラモン、スナッチのこれを聞いてもどうしてもか?」
「はい」
総団長に真剣な顔で凄まれるが、私は負けじとじっと目を見て頷く。
「よし。1時間だ」
「そ、総団長! 何でこいつばっかり! 甘いです!」
「甘くない。ここで話をする。さぁ、時間がないんだろ? 皆出て行け」
総団長は即座に会議室に残っていた人達を追い出してくれた。
さぁ、ドーンの、私の話をしようか。
「で?」
「はい。まずは私の秘密を聞いて下さい。そしてその内容を誰にも言わないで下さい」
「誰にも? 内容によっては共有するが… どんな事だ?」
「至極私的な事で、今は記憶がありませんがドーンは私の秘密を知っていました。そして、私は今のドーンの為に総団長へ打ち明ける覚悟を決めました。魔法誓約は必要ないですがそれ程のものです」
「魔法誓約か」
う~んと手を顎に当てて考えている。どうする?
「わかった。これより話す内容は俺の中に留めよう。誓うか?」
「だから誓約は必要ありません。総団長を信じます。ドーンの親友でしょう?」
「ははは、親友か。そうだな。では聞こうか?」
私は、ラモンとして生き返った事、女神様の事、ギフトの光魔法の事、それを黙っている経緯を話した。
「… 光か。回復魔法なぁ。それで?」
「あの日、私はまた死ぬ運命で、ドーンも巻き添いで命を落とす所を女神様に助けて頂いたんです」
「また女神様か」
「はい。私があの賊に詳しかったのは、クルスと対峙して正体を知っていたからです。そして、女性の口の中に仕込まれた魔法に気づかず、救援に来たドーンが私と共に… 女神様は死ぬ予定だった30分前に時間を巻き戻してくれましたが… 助ける代わりに…」
「もしかしてドーンの記憶か?」
「はい。私は女神様の加護があるので無償で助かったのですが、ドーンは代償に私の記憶をごっそり持っていかれました」
…
「ふ~。命と引き換えに記憶か… ラモンの記憶に何か鍵があるのか?」
「えっと… その~… 女神様はドーンの一番大事なものを貰うとだけ言ってましてですね」
「ぶはははは。まさか! そうか! そうか…」
いきなり爆笑したかと思ったら一転、シリアス顔になって総団長が私の手を握りながら語りかけてくる。
「ラモンにとっては辛い出来事だろうが、ありがとう。あいつの、ドーンの命を助けてくれて」
「いえ。助けたのは女神様です。それに記憶がないんじゃぁ~」
「いや。それだけの犠牲で助かったんだ。十分だ。さっきも言ったがラモンには辛いだろうが」
…
「でも、ドーンの大事なものか。せっかくの想いが… 親友としてはやっと来た春に喜びたいのと、しかし命には変えられないからな。生きていてくれる事に感謝すればいいのか、迷う所ではある。が、まぁ、お前達は親子ほど離れているしな。これから先、どうこうはドーンも考えてはなかっただろう。ま、いいじゃないか。お前らの師弟関係は惜しいがな。いいコンビだったからなぁ」
ですよね。総団長からしたらそんな感覚だよね。私も、今更恋心に気付いたとは言い出しにくいし。
「ん~。まぁ」
「ちょうど異動で離れるし、今はお互い時間を置いて、しばらく経ってからまた組んでみるのもいいんじゃないか?」
「そうですね」
「まぁ、ドーンの事情はわかったよ。俺もお前を信じる。しかし、その話をどう処理するか…」
「そこなんですよね~」
「この件は俺が担当だしなぁ、どうにでも出来る。そうだなぁ、恐らくだが、トロイは死刑になるだろう。王族の、しかも婚約パーティーに、犯罪者である自身が乗り込んだからな。関係者の王女達の件もあるが、全部終われば死刑だろう。だから、死んだ後にあいつのせいにする方向でいくよ」
ははは、死人に口なしか。全部あいつのせいで済ませるんだね。
「そこは… 総団長に任せます。なので記憶は戻らない可能性があります。女神様のお力なので」
「よし。よく打ち明けてくれた。で、今後は光魔法をどうするんだ? 隠すのか?」
「それは… 考え中です。また相談するかもしれません」
「あぁ、その時は俺を頼れ」
「はい! ありがとうございます! あと、ドーンですが会う事って出来ますか?」
「ん~。今は難しい。療養が終わった後がいいだろう。その時は一席設けよう」
が~ん。1ヶ月先。
「はい… よろしくお願いします」
「まぁ、そう気に病むな」
私はそのまま第3へ行って、急いで引き継ぎとかをした。
最後に、短い付き合いだけど、キリスとゲインが名残惜しそうにしてくれたのはちょっとうれしかったな。へへ。
「あぁ、グローでいいっす」
「あぁ、はい」
相変わらず両手がポッケの中だ。ん~。私はいいけど、ここは団長会議の場だしね。でも、明日から団長だし、突っ込んでいいのか、どうなのか迷うな。
「あの~、団長は昔第2に居たんすよね?」
「うん。昔って言っても1年経ってないしまだまだ出て間もないけど? どうかした?」
「実は今、第2って平民騎士と貴族騎士の間でバトってて」
ん? バトる? なぜに?
「え? 何で? 私が居た時はそんな雰囲気はなかったけど」
「あのヘボのせいですよ。あいつが団長になった日『これからは貴族騎士が騎士階級に関わらず上に立つように』って。それから貴族騎士が仕事しなくなっちまって… そんで、今はその本人が捕まっただろ? 平民騎士と貴族騎士がケンカっぽくなってさ。まずはそれをなんとかして欲しいんだ。俺は平民騎士だし副団長だからあんま聞いてくんないんだ。そもそも団をまとめる権限がないし」
「あ~、そう言う事」
う~んと考えているとグローはもう一つ問題を挙げる。
「あと一つ。教会絡みなんだけどさ」
ゲッ。教会。
「教会と言うと、第2だから修道院とかかな?」
「そう。西の修道院がきな臭いんだよ」
「わかったわ。今はごめん。私も今の団の引き継ぎと引っ越しと色々あるから。明日の午後でいい?」
「了解っす」
「出来れば、さっきの事やら何やら報告書をまとめといてね」
「げっ。わかりました」
「じゃぁ、改めて、よろしくね。グロー」
「うっす」
はぁ~。やっと慣れた頃にまた異動だよ。キリスとゲインとも仲良くなって来て連携も取れた矢先なのに…
「あっ。総団長。今からお時間頂けませんか?」
「今か?」
「はい。ドーンの事で。出来れば2人きりで話がしたいです」
それを横で聞いていたスナッチさんは即座に反対してくる。
「ダメです。今から予定がびっしりです。小娘のお悩み相談に時間は割けません」
また『ば~か、ば~か』と口パク。くそっ。ムカつくな。
「ラモン、スナッチのこれを聞いてもどうしてもか?」
「はい」
総団長に真剣な顔で凄まれるが、私は負けじとじっと目を見て頷く。
「よし。1時間だ」
「そ、総団長! 何でこいつばっかり! 甘いです!」
「甘くない。ここで話をする。さぁ、時間がないんだろ? 皆出て行け」
総団長は即座に会議室に残っていた人達を追い出してくれた。
さぁ、ドーンの、私の話をしようか。
「で?」
「はい。まずは私の秘密を聞いて下さい。そしてその内容を誰にも言わないで下さい」
「誰にも? 内容によっては共有するが… どんな事だ?」
「至極私的な事で、今は記憶がありませんがドーンは私の秘密を知っていました。そして、私は今のドーンの為に総団長へ打ち明ける覚悟を決めました。魔法誓約は必要ないですがそれ程のものです」
「魔法誓約か」
う~んと手を顎に当てて考えている。どうする?
「わかった。これより話す内容は俺の中に留めよう。誓うか?」
「だから誓約は必要ありません。総団長を信じます。ドーンの親友でしょう?」
「ははは、親友か。そうだな。では聞こうか?」
私は、ラモンとして生き返った事、女神様の事、ギフトの光魔法の事、それを黙っている経緯を話した。
「… 光か。回復魔法なぁ。それで?」
「あの日、私はまた死ぬ運命で、ドーンも巻き添いで命を落とす所を女神様に助けて頂いたんです」
「また女神様か」
「はい。私があの賊に詳しかったのは、クルスと対峙して正体を知っていたからです。そして、女性の口の中に仕込まれた魔法に気づかず、救援に来たドーンが私と共に… 女神様は死ぬ予定だった30分前に時間を巻き戻してくれましたが… 助ける代わりに…」
「もしかしてドーンの記憶か?」
「はい。私は女神様の加護があるので無償で助かったのですが、ドーンは代償に私の記憶をごっそり持っていかれました」
…
「ふ~。命と引き換えに記憶か… ラモンの記憶に何か鍵があるのか?」
「えっと… その~… 女神様はドーンの一番大事なものを貰うとだけ言ってましてですね」
「ぶはははは。まさか! そうか! そうか…」
いきなり爆笑したかと思ったら一転、シリアス顔になって総団長が私の手を握りながら語りかけてくる。
「ラモンにとっては辛い出来事だろうが、ありがとう。あいつの、ドーンの命を助けてくれて」
「いえ。助けたのは女神様です。それに記憶がないんじゃぁ~」
「いや。それだけの犠牲で助かったんだ。十分だ。さっきも言ったがラモンには辛いだろうが」
…
「でも、ドーンの大事なものか。せっかくの想いが… 親友としてはやっと来た春に喜びたいのと、しかし命には変えられないからな。生きていてくれる事に感謝すればいいのか、迷う所ではある。が、まぁ、お前達は親子ほど離れているしな。これから先、どうこうはドーンも考えてはなかっただろう。ま、いいじゃないか。お前らの師弟関係は惜しいがな。いいコンビだったからなぁ」
ですよね。総団長からしたらそんな感覚だよね。私も、今更恋心に気付いたとは言い出しにくいし。
「ん~。まぁ」
「ちょうど異動で離れるし、今はお互い時間を置いて、しばらく経ってからまた組んでみるのもいいんじゃないか?」
「そうですね」
「まぁ、ドーンの事情はわかったよ。俺もお前を信じる。しかし、その話をどう処理するか…」
「そこなんですよね~」
「この件は俺が担当だしなぁ、どうにでも出来る。そうだなぁ、恐らくだが、トロイは死刑になるだろう。王族の、しかも婚約パーティーに、犯罪者である自身が乗り込んだからな。関係者の王女達の件もあるが、全部終われば死刑だろう。だから、死んだ後にあいつのせいにする方向でいくよ」
ははは、死人に口なしか。全部あいつのせいで済ませるんだね。
「そこは… 総団長に任せます。なので記憶は戻らない可能性があります。女神様のお力なので」
「よし。よく打ち明けてくれた。で、今後は光魔法をどうするんだ? 隠すのか?」
「それは… 考え中です。また相談するかもしれません」
「あぁ、その時は俺を頼れ」
「はい! ありがとうございます! あと、ドーンですが会う事って出来ますか?」
「ん~。今は難しい。療養が終わった後がいいだろう。その時は一席設けよう」
が~ん。1ヶ月先。
「はい… よろしくお願いします」
「まぁ、そう気に病むな」
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