転生騎士団長の歩き方

Akila

文字の大きさ
87 / 100
2章 王城と私

37 あなたは誰?

しおりを挟む
「先日付で第2騎士団団長に就任したラモンです。1年前までここに居たので多少の事は理解しています。前団長の帰還で混乱した団を立て直したいと思います。騎士階級や勤務体制、給与などは、私が在籍していた時代の仕様に戻しますので。それから、側近を選出しましたので発表します。と、その前に、質問のある人?」

パチパチパチと拍手が鳴ってるからOKかな? よし。

「ないようなので呼ばれた人は前に出て来て下さいね。サンチェス、ミロ、ケリー、ネスタリオ」

ワクワクワク。

グローも知らないと言ったミロ・ジェスター騎士。さぁ、居るかな?

ぞろぞろと前に出る4人。きゃ~、ケリー! 私は久しぶりの親友にニコニコ顔になる。

「あ、あの~」

そろっと手を挙げる新人騎士。若い騎士が先輩にせっつかれている。代わりに言えって?

「どうぞ」

「その~、あの~」

と、なかなか言い出しにくいみたいだ。どうしたんだろう?

「何でしょう? 何でもいいですよ?」

私が優しく言い返すと、後ろに居た先輩騎士が新人騎士を押し退けて私を指差す。

「おい、ラモン! お前、親友だからってケリーを側近にするのはズルくないか? それなら俺を入れろよ」

あ~、いつかの先輩。しかもラモン呼びに戻ってるじゃん。てか、この人にかわいがってもらった記憶が皆無なんだけど。

「おい、そこ! ラモン団長だ! 今はお前の上官だ。団長を付けろ。他の者もだ! 昔は後輩や同僚だったかもしれないが、今は団長だ。今後は敬意を払え、いいな?」

珍しくグローが横に入る。偉いな。私が言うと角が立つしね。普段はダルそうなのに、やるじゃん。ありがとう。

「ふん、それよりケリーの事、ラモン団長さんよ~どうなんだ?」

「ケリーは親友です。おっしゃる通り。でもだからですよ。私が何を欲し、何を考えてるのか、部下として即戦力の人材です。例えばですが、あなたは私が思ってる事を先回りして準備や補助が出来ますか? それにケリーは公私混同はしません。親友だからこそわかっています。有能な側近になってくれる事間違いなしです」

「…」

言い返せないようで、いつかの先輩は黙ってしまった。その周りに居た野次馬もバツが悪い顔をしている。

「ケリーは今後、このような声で風当たりが強くなるでしょう。でも、みなさんには手助けをしてあげて欲しいんです。ケリーは団の為に仕事をしてるんですよ。何も私と遊ぶ為じゃない。みなさんと同じように第2の為に、団を立て直すべく尽力してくれるでしょう」

「団長、いいっすか? 俺からも」

「いいよ」

「おい、お前ら。俺は知ってる通り平民出身だ。だから副団長なのに今まで出来なかった事が多いし、口調もこの通りで貴族騎士達には不満があるだろう。でも、ラモン団長は違う。言葉も態度も悪い俺を見てくれで判断しなかった。ちゃんと話を聞いてくれた。第2は生まれ変わる。平民だからとか貴族だからとかがなくなるんだ。だから、これからはみんなでラモン団長を支えて行こうぜ!」

『うぉ~』と大歓声が上がる。第2も平民騎士が多いからなぁ。苦労したんだね。

「ありがとう、グロー。信頼が厚いんだね」

「うっす」

と、グローは耳を赤くして恥ずかしそうに私の後ろに下がった。

私の横にそろった側近を見る。全員いる。

「では、解散。他に疑問や文句でも、何かあったら団長室までお願いします」

グローに目配せし、朝礼はそれで終わらせた。

「では、側近のみんなはこのあと団長室へ来て下さい」


「みんなソファーに座れ。ケリー、悪いがお茶を入れてくれ」

早速グローが指示を出す。私をソファーに座らせると、私の後ろに立った。

「では、団長お願いします」

「ありがとう、グロー。みんなも楽にしてね。昨日グローにも言ったんだけど、タメ口や姿勢など団の中ではとやかく言いません。団の外、勤務中や他の騎士団の人が来た時はちゃんとしてくれたらいいから。って事で、みなさん初めましてね。ケリーは知ってるけど、他の人は私が抜けた後に来た人かな? 今日から側近になるに当たり何か意見はありますか?」

「はい」

「どうぞサンチェス」

「団長は団を元に戻すとの事ですが貴族騎士は言う事を聞くでしょうか?」

「聞かなきゃ仕事にならないから即時減給、降格またはクビかな?」

「ただの脅しではなく?」

「脅しても時間の無駄じゃん。1回目は減給、2回目は降格で大体わかってくるでしょう」

サンチェスは目を見開いて驚いている。グローに目配せしてうんうんと納得したみたいだ。

「私からはなぜ4人も側近を? 今までは居なかったように思います」

ケリーから質問が挙がる。

「前々団長と副団長は任期も長かったし有能で騎士階級も上級でした。でも、私は戦時の功績で団長に昇格したんです。実力は中位騎士、団長としてもまだ1年経っていません。それを補う為です」

「第2の勤務体制などを改めるだけで4人も要りますか?」

今度はネスタリオだ。

「それだけが仕事じゃないの。今は細かいモノを合わせると色々と問題があってね。一番の問題は教会よ」

さっきから様子を伺っているが、例のミロは終始ニコニコ顔で裏が読めない。う~ん。

「教会?」

「うん。今から報告書を読んでくれる? ちょっと長いから」

グローはみんなに報告書を回す。

みんなが読んでいる間に私はミロに話しかけた。

「ミロの騎士経歴書が汚れてて、一部読めない箇所があったんだけど、口頭でいいから今答えてくれる? グロー、名簿に加筆して」

「了解っす」

「何でしょう?」

「ごめんね。大した事じゃないから、読みながらでいいわ。まず、第2の前はどこに居たの?」

「第5です」

即答かよ。

そしてまさかの第5。どう返そうか。むむむ。

「第5? へ、へ~、主にどんな事を?」

「ふふふ。ははははは。ウソが下手ですね~。団長は私の正体がわからないのでしょう?」

ミロの横で報告書を読んでいたケリーが、咄嗟にミロの喉元を剣で押さえる。

お~。ケリー、やっぱり鋭い。

「おやおや、物騒ですね。これは何かの演出ですか?」

「いえ。ごめん、ケリー、いいわ」

そう言われたケリーは睨みながら剣を戻す。サンチェスとネスタリオはハテナになって動揺している。

「ミロ・ジェスター。あなたがうちに異動になった経緯が、と言うか、名簿には紙の履歴があっても、あなたの存在自体が第2の過去にないの。どう言う事か説明を」

「ふ~む。そうですねぇ。総団長はこの事をご存知で?」

「総団長? いえ、側近に指名したのはまだ報告していないわ」

「そうですか… 言える事は、それより上の存在に送り込まれました」

それより上? 王族? いや、総団長は王族。でも、騎士団の組織で言えば、総団長に命令を下せるのは陛下。やっぱり王族かぁ。

「了解。第2でのあなたの仕事内容は?」

「調査と護衛です」

「調査と護衛?」

「ここまでです。あなたならわかるでしょう? いやいや、側近にして頂いて手間が省けました」

ミロは依然、ニコニコ顔で表情を変えないので全然読めない。

「了解。第2の本来の仕事もしてくれるのよね?」

「そうれはもう。側近ですから、ちゃんと給料分は働きます」

「ならいいわ。今のは聞かなかった事にする。私には害はないんでしょう?」

「はい」

「グロー? そう言う事だから、過去の詮索は終わりよ。みんなも、今の会話は忘れるように。外に漏らせばクビよ」

「うっす」
「「「はっ」」」

他のみんなは総団長より上で何となく察しがついた様で、誰からもツッコミはなかった。

はぁ~。この先大丈夫かな。
しおりを挟む
感想 251

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する

タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。 社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。 孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。 そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。 追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。

処理中です...