転生騎士団長の歩き方

Akila

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2章 王城と私

47 あれから1ヶ月後

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ちゃぽん。

川の中で魚が跳ねたのか水面が波打つ。

「ねぇ、グロー。ここ釣れなくない?」

「そっすね。魚はもっと上流の方がいいかも」

「移動する? 釣れないと今晩ご飯なしだよ?」

のんびりと魚釣りをしていた私とグローは立ち上がり上流へ移動を始める。

「ミロは? 今日に限って何でお留守番?」

「さぁ? あいつ元第5だし普段から怪しいっす。こんなド田舎で足音消してるんすよ? 団長もあんまり信用しない方がいいっすよ」

「また? 今度は何でケンカしたの? あなた達はいつも悪口言う時はケンカした時だよね?」

「そっすか? 気のせいじゃないっすか? あいつは常に嫌なやつっす」


私達は今、田舎? にいる。正直どこの辺境なのか、どこの国なのかさえもわからない。近所は歩いて30分かかる老夫婦の家が1軒だけだ。

あの日、ユーキさんと共に転移した先は、ユーキさんの王都のタウンハウスだった。その後、最小限の身の回りの物を持って1時間もしない内に転移、また転移と次々に転移しまくってここにやって来た。私は最初の3日間は寝込んでいたので覚えていない。ユーキさんは何も話さず何事もなかったかのように、料理をしたり薪を割ったりと、移って来たこの小屋で私の世話を焼いてくれた。側から見たら新婚夫婦だよ。

そしてその10日後、次はグローとミロがこの地にやって来る。ユーキさんは『たっぷり休め。有給休暇だ』と言ってさっさと転移して去って行った。で、その後はこの2人とここでの生活が始まったのだ。

それからまた1週間した頃、グローとミロがポツリポツリとその後の事を話してくれた。

『俺達が王都にいたのはあの事件も含めて2日間なので詳細はわかりませんが…』と。

グローはあの事件の夜、総団長に呼ばれ逃亡中の私を警護するように命令される。副団長なのだし、あの日の事を一部始終知っているのはグローだからと頼まれたそうだ。それで準備をしていたらミロが『私も行く』と総団長に直談判をしたそうだ。

総団長はミロが誰の命令で動いているか察していたようで『その任務を降りるなら許可する』と言ったそうだ。当然、諦めると思っていたがミロは『30分下さい』と言って、相手を説得し総団長の元へ戻ってきた。その時に片目に傷を負ってしまった。今は、眼帯をつけている。

『あの王女様ですが翌日に処刑されました。当然です。あと、スラム街の住人は保護されて、今西の教会が彼等の棲家になっています。衰弱していましたが今後は元気になるかと』

『そう…』

ドーンの事聞きたいけど… でも…

『あっ。ドーン殿は元気になったぽいっす。俺は聞いただけなのでアレですが… 騎士団の医療施設に入院したって聞いたっす』

グローありがとう。

『うん』

『… あの日、団長が女神様を降臨させて王都は大騒ぎです。早急に第5の影が国の方々に散りました。それで… 王女が処刑されたその後すぐに総団長は牢に入れられました。俺達はその日の夜中、騎士団を抜け出しここにやって来たんです』

『うそ! 総団長! 何で!!!』

グローとミロは顔を見合わしてすまなさそうに話してくれた。

『『女神降臨をやってのけ、死にかけ… 死んでいた騎士を蘇らせた光魔法の使い手、女神様の使徒を逃した罪』です』

『私のせい! って、ドーンが死んでいた? いやいや死にかけてはいたけど… 生きてたよ? それにあれは女神様の』

『周りにいた我々は遠目でしかあの時は確認出来ませんでしたし。あの光り輝く光景プラス女神様です。すごい光魔法でした… あとは、他の作戦に参加した騎士から『団長が手をかざしていた』と続々と報告が出ていて… それで、ドーン殿自身が…』

『ドーンが何? まさか回復しきれてないとか?』

また2人は顔を見合わせる。ミロがそっと懐から手鏡を出した。

『団長。自分の顔を見て下さい』

私の顔が何?

『…っ』

『そうです。団長は偉大な力を使った反動なのか… 年をとっています。恐らくですが10歳ほど。今は20代後半でしょうか?』

私は自分の顔をペタペタと触る。目尻にシワが一本。え~、顔が… 私が呆気に取られている横で話はまだ続いた。

『それで… ドーン殿は… 10歳ほど若返りました。私が王都を出る際にこの目で確認済みです。元同僚のツテで協力者がいてですね… ドーン殿の病室は厳戒態勢でしたが、髪が黒くなり、顔のシワが… 若返っていました。この事があって、陛下はどうしても団長を、団長の能力を探されています。そして、総団長はあの現場で、その能力とドーン殿と団長の顔を見たからこそ、早急に逃したんだと予想されます。団長は総団長のお気に入りでしたからね。総団長は陛下に対し、国に対し黙秘し続けています。あと、陛下は団長が老けていると知りません。我々もここに来て団長の顔の件は初めて知りました』

今回の女神様の代償は『私の10年分の生命力をドーンに』って事か。それはそうか。死にかけた人を助けたんだから。いくら女神様の力添えがあっても普通の回復魔法じゃ無理か。

『そっか… ユーキさんは大丈夫かな? あの後帰ったでしょう?』

『俺らがわかる範囲の情報は話したっす。下手の事はしないっしょ。それにユーキ団長は無敵だし』

ユーキさんも総団長も申し訳ない。う”~。

『で? 総団長は処刑とかされないよね?』

『それはないかと… ただ黙りなので。陛下は手を焼いているのでは? はっきり言って何の罪で入っているねか微妙です。逃亡補助? でもラモン団長は犯罪者じゃないですし。命令違反? そもそも作戦の指揮官は総団長です。団長が『勝手に逃げた』って言えばそれまでですし』

『ははは、それはない。あの場でユーキさんに命令したのは総団長なんだし』

『まぁ、今の所は処刑されると言う報告は来てませんのでご安心を』

『はぁ? お前報告って! 誰と通じてんだ! まさか第5か? えぇ?』

グローはミロの胸ぐらを掴んでブンブン揺さぶっている。

『アホか。私は団長の味方だ。何の為にわざわざ第5を抜けたんだ。この傷で分かるだろうが! 私には従順な協力者がいるって事だよ、お前と違って人望はあるからな』

『んだと~!』

と、いつもの様にケンカを始める2人。



ふ~。そんな事があって今に至る。

そう、私は今『異世界でスローライフ』中なのだ。はは。
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