1 / 1
交通事故
しおりを挟む
「聞いてくれる?この間事故に合っちゃってさ……」
「ふーん。マジで?」
「マジマジ。ほんとショックだったわ」
「え、ちなみにどんな事故やったん?」
「あ、聞きたい?」
「そりゃまーね」
「良いよー。っつってもあんまし覚えてないし大丈夫?」
「うわwwwかわいそー被害者」
「一週間くらい前のことなんだけど~」
その時あたし、交差点の前で信号待ってたのよ。事故に合ったのは大学生くらいの男なんだけど、杖を持ってて。若いのに杖使ってるって、足でも悪いんかなーと思って、そのまま放置してたってわけね。でさ、こっからがメインなの。赤信号だから待たざるを得ないじゃん?そしたらさあ、いきなりあたしのスマホが鳴り出したの。なんか電子音で恥ずかしかったから、急いで引っ張り出そうとカバン開けたのね。なのに、ストラップかなんかが引っかかって出てこないの。うわ恥ずい!って思って、やっとこさ引っ張り出せたわけ。そしたら『非通知』って書いてあって、マジで何なのって思いながら切ってしまい直したのよ。
そしたら……、急ブレーキの音と鈍いドンって感じの音がして、前見たら大学生っぽい男が跳ね飛ばされてて。自殺だったのかなぁ?後で警察に話聞いたけど即死だったんだって。
「で、聞きたい?その男が誰なのか……」
「え、だれだれ?」
「冨士田。小6のときにあんたを散々からかってたあの冨士田だったの」
「えっ、富士田が杖?」
「そこツッコんじゃうー?ってかあいつ、最近ストーカーに悩まされてたらしいよー。あ、もうすぐ十二時じゃん!夜も更けてきたしもう寝よっか」
「夜ふかしは肌に悪いもんね」
「そうね~。じゃあお休み」
電話が切れた。
「非通知電話、私がかけたんだよ」
目が見えなくなっていた富士田は、視覚障害者のシンボルともいうべき白い杖を持っていた。その事実を数年前に知った『私』は、富士田を徹底的にストーキングし、生活リズムを把握した。そして、富士田と『あたし』が同じ交差点にやってきたときに『あたし』に用意しておいたもう一つのスマホから非通知電話をかけて、富士田に信号が青になったと錯覚させ、自ら道路に飛び出させて偶然に見せかけて殺害した。遠い昔の復讐を果たしたのである。
「ふーん。マジで?」
「マジマジ。ほんとショックだったわ」
「え、ちなみにどんな事故やったん?」
「あ、聞きたい?」
「そりゃまーね」
「良いよー。っつってもあんまし覚えてないし大丈夫?」
「うわwwwかわいそー被害者」
「一週間くらい前のことなんだけど~」
その時あたし、交差点の前で信号待ってたのよ。事故に合ったのは大学生くらいの男なんだけど、杖を持ってて。若いのに杖使ってるって、足でも悪いんかなーと思って、そのまま放置してたってわけね。でさ、こっからがメインなの。赤信号だから待たざるを得ないじゃん?そしたらさあ、いきなりあたしのスマホが鳴り出したの。なんか電子音で恥ずかしかったから、急いで引っ張り出そうとカバン開けたのね。なのに、ストラップかなんかが引っかかって出てこないの。うわ恥ずい!って思って、やっとこさ引っ張り出せたわけ。そしたら『非通知』って書いてあって、マジで何なのって思いながら切ってしまい直したのよ。
そしたら……、急ブレーキの音と鈍いドンって感じの音がして、前見たら大学生っぽい男が跳ね飛ばされてて。自殺だったのかなぁ?後で警察に話聞いたけど即死だったんだって。
「で、聞きたい?その男が誰なのか……」
「え、だれだれ?」
「冨士田。小6のときにあんたを散々からかってたあの冨士田だったの」
「えっ、富士田が杖?」
「そこツッコんじゃうー?ってかあいつ、最近ストーカーに悩まされてたらしいよー。あ、もうすぐ十二時じゃん!夜も更けてきたしもう寝よっか」
「夜ふかしは肌に悪いもんね」
「そうね~。じゃあお休み」
電話が切れた。
「非通知電話、私がかけたんだよ」
目が見えなくなっていた富士田は、視覚障害者のシンボルともいうべき白い杖を持っていた。その事実を数年前に知った『私』は、富士田を徹底的にストーキングし、生活リズムを把握した。そして、富士田と『あたし』が同じ交差点にやってきたときに『あたし』に用意しておいたもう一つのスマホから非通知電話をかけて、富士田に信号が青になったと錯覚させ、自ら道路に飛び出させて偶然に見せかけて殺害した。遠い昔の復讐を果たしたのである。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる