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聖女ルルドの恋模様
初めての死んだふりは入学式で⑤
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賑やかな歓迎の晩さん会が執り行われたその夜・・。
私達子どもは、晩さん会はほんの少ししか参加が出来なかった。
もっと仲良くなったばかりのアリア様やケイドル様達と遊びたかったけど・・。
月が輝く星空を見上げながら祖国を想い寝る前に祈りを捧げていた。
「カリーナ・・!!!何処?カリーナ、いるか?」
「お兄様??どうされたの・・。そんな恰好で・・」
寝間着姿のまま、髪も外に出る時は頭に着けている筈のクゥトラを身に着けず
茫然とした表情でただ青ざめたまま私の顔を見た。
あの日・・。
お母様の訃報の知らせをグランデリアの王城で耳にした。
私達が旅に出て数日後に毒殺されたとのことだった。
王城の賓客を持て成す豪奢な作りの部屋のソファに座って兄が私の手を握った。
焼けた肌によく似合う薄い紫色の寝間着のままで泣きじゃくる私を強い瞳を向けた。
「変わり果てたお姿のようだ。すでに・・王家の墓に埋葬されたようだ」
「嘘ですわ!!何でお母さまが・・。お土産を待ってらつしゃるって。約束して下さったのよ。
帰ってきたらナツメヤシの木の下でお土産話を聞きながらお茶を楽しむのだって!!あんなに元気にお見送りをしていただいたのに・・。」
「僕だって・・。同じ気持ちだよ!!悲しくて・・。身体が冷たくなっていく感覚だよ。
悔しい気持ちで一杯で・・。だけど、どうしようもないじゃないか」
兄の瞳に光る物が溢れていた。
震える声で私の背中を精一杯さすっていた。
・・痛いくらいに。
「カリーナ・・・。グランデリアの王宮には女神の再来と呼ばれる美しい聖女のお姫様がいるんですって。
貴方もお友達になれたらいいわね?」
「はい、お母さま。グランデリアのお姫様とお友達になれたら・・。
聖女様と、どんな遊びをしたか必ずお話ししますね」
「ええ、待っているわ。
貴方達がどうか無事に帰ってきますように・・。
二人の健康と幸せが私のただ一つの願いよ。
沢山の信頼できる素敵なお友達に囲まれて、カリーナやカインがいつも笑顔でいるようにって・・。
いつだって祈っているの。素敵な出会いをくれる旅になりますように」
「うん。お母さま・・。大好きよ」
私の紅い髪と同じ燃える炎のような美しい髪を耳元に垂らして膝に私を乗せて撫でてくれた。
優しい声・・。
温かい温もり・・・。
嫌だ!!
お願い誰か、嘘だと言って・・。
私の安全な場所はお兄様とお母様だけ・・。
「お母様が・・。全部消えちゃったの?」
帰りたくない。
お母様が眠っている墓地に早く行きたい。
だけど、あそこはもうお母様がいなくなった国は安全な場所ではなくなったのだった。
その夜は兄と一緒にソファの上で眠ることにした。
疲れたように眠る兄の横で肩を震わせていた。
何度泣いても涙は出る。
ソファの上で何度目かの嗚咽を漏らした。
大きなバルコニーへと続く大きな窓が大きく開かれて長い絹糸で豪華な刺繍がされたカーテンが
揺れていた。
カタン・・。
小さな物音がして不安になる。
バルコニーの上から何かがニョキニョキと伸びてくる。
太く巻かれたシーツの束のようだった。
「ど、泥棒ですか・・??」
不安になりながらも、バルコニーを注視しながらソファから立ち上がってそっと揺れるカーテンの合間から
息を殺して何かが降りて来るのを見た。
小さな身体がするすると上からゆっくりと降りて来た。
金色の髪がふわりと舞い上がったカーテンと一緒に風に揺られて舞う。
「・・・ア、アリア様??どうなさったの??」
背中には沢山荷物が詰まったリュックを背負った寝間着の少女が立っていた
暗がりで紅い色に見える美しい大きな瞳で微笑んだ。
「えへへっ。カリーナ様、こんばんわ。遊びに来ちゃいました!!」
私達子どもは、晩さん会はほんの少ししか参加が出来なかった。
もっと仲良くなったばかりのアリア様やケイドル様達と遊びたかったけど・・。
月が輝く星空を見上げながら祖国を想い寝る前に祈りを捧げていた。
「カリーナ・・!!!何処?カリーナ、いるか?」
「お兄様??どうされたの・・。そんな恰好で・・」
寝間着姿のまま、髪も外に出る時は頭に着けている筈のクゥトラを身に着けず
茫然とした表情でただ青ざめたまま私の顔を見た。
あの日・・。
お母様の訃報の知らせをグランデリアの王城で耳にした。
私達が旅に出て数日後に毒殺されたとのことだった。
王城の賓客を持て成す豪奢な作りの部屋のソファに座って兄が私の手を握った。
焼けた肌によく似合う薄い紫色の寝間着のままで泣きじゃくる私を強い瞳を向けた。
「変わり果てたお姿のようだ。すでに・・王家の墓に埋葬されたようだ」
「嘘ですわ!!何でお母さまが・・。お土産を待ってらつしゃるって。約束して下さったのよ。
帰ってきたらナツメヤシの木の下でお土産話を聞きながらお茶を楽しむのだって!!あんなに元気にお見送りをしていただいたのに・・。」
「僕だって・・。同じ気持ちだよ!!悲しくて・・。身体が冷たくなっていく感覚だよ。
悔しい気持ちで一杯で・・。だけど、どうしようもないじゃないか」
兄の瞳に光る物が溢れていた。
震える声で私の背中を精一杯さすっていた。
・・痛いくらいに。
「カリーナ・・・。グランデリアの王宮には女神の再来と呼ばれる美しい聖女のお姫様がいるんですって。
貴方もお友達になれたらいいわね?」
「はい、お母さま。グランデリアのお姫様とお友達になれたら・・。
聖女様と、どんな遊びをしたか必ずお話ししますね」
「ええ、待っているわ。
貴方達がどうか無事に帰ってきますように・・。
二人の健康と幸せが私のただ一つの願いよ。
沢山の信頼できる素敵なお友達に囲まれて、カリーナやカインがいつも笑顔でいるようにって・・。
いつだって祈っているの。素敵な出会いをくれる旅になりますように」
「うん。お母さま・・。大好きよ」
私の紅い髪と同じ燃える炎のような美しい髪を耳元に垂らして膝に私を乗せて撫でてくれた。
優しい声・・。
温かい温もり・・・。
嫌だ!!
お願い誰か、嘘だと言って・・。
私の安全な場所はお兄様とお母様だけ・・。
「お母様が・・。全部消えちゃったの?」
帰りたくない。
お母様が眠っている墓地に早く行きたい。
だけど、あそこはもうお母様がいなくなった国は安全な場所ではなくなったのだった。
その夜は兄と一緒にソファの上で眠ることにした。
疲れたように眠る兄の横で肩を震わせていた。
何度泣いても涙は出る。
ソファの上で何度目かの嗚咽を漏らした。
大きなバルコニーへと続く大きな窓が大きく開かれて長い絹糸で豪華な刺繍がされたカーテンが
揺れていた。
カタン・・。
小さな物音がして不安になる。
バルコニーの上から何かがニョキニョキと伸びてくる。
太く巻かれたシーツの束のようだった。
「ど、泥棒ですか・・??」
不安になりながらも、バルコニーを注視しながらソファから立ち上がってそっと揺れるカーテンの合間から
息を殺して何かが降りて来るのを見た。
小さな身体がするすると上からゆっくりと降りて来た。
金色の髪がふわりと舞い上がったカーテンと一緒に風に揺られて舞う。
「・・・ア、アリア様??どうなさったの??」
背中には沢山荷物が詰まったリュックを背負った寝間着の少女が立っていた
暗がりで紅い色に見える美しい大きな瞳で微笑んだ。
「えへへっ。カリーナ様、こんばんわ。遊びに来ちゃいました!!」
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