17 / 41
聖女ルルドの恋模様
音楽祭は奈落の底から②
しおりを挟む
「アリア様、おはようござます!!」
「教室までご一緒させてもらっても宜しいですか??」
ブルネットの髪を奇麗な貝殻の髪留めで2つに纏め、黄色い垂れ目の可愛らしいクラスメイトの
メアリー=モルトン伯爵令嬢と、シルバーブロンドの肩までの髪に青い瞳と大きな赤いリボンで長い髪を
1つに纏めているイリス=ダルトワ侯爵令嬢が笑顔で手を振っていた。
聖女ルルドの恋模様でもこの二人はルルドと仲良し設定で物語にもよく登場していた。
モルトン伯爵家はアーリシャス王国建国時からの名門貴族で、ダルトワ公爵家も各国の王族との縁を繋ぐ
名門貴族家系で2つの家門は最近勢力を伸ばしているみたい。
4人で並んで廊下を歩くと健康観察室の前を通った。
ドアが空いていたので、その間からチラッと中の様子を確認すると長い指を悩まし気に組んで
廊下側を見ていた白衣姿の男性と目が合った。
・・・セイン=グリンドール。
主席医師。聖女ルルドの恋模様の攻略対象の4人目。
爽やかで知的な20代後半のアーリシャス王国で神の手と言われる腕を持つ男性医師。
「・・得体が知れないわ」
吸い込まれそうな青い瞳と見つめ合った。
私は眉をピクリと動かすと目を細め、きゅっと唇を引き締めた。
その言葉が聞こえたように一瞬驚いたように目を見開いたセイン=グリンドールは
次の瞬間に口角を上げて微笑んだ。
セインの表情に背筋に走った悪寒にふるっと震えた私は、健康観察室を振り返った。
出てくる気配はなかったけれどセインルートでは何度もデッドエンドを繰り返した私は不安が過った。
セインはお父さんを目の前で亡くした過去があって、人を助けたいと医師になったけれど
何を考えているか分らない。感情を見せない笑顔の仮面を被った優秀でハンサムな容姿もあり学園の生徒達の憧れの存在だった筈だけど・・。
「・・・あの笑顔、全く心が動いていないのよね」
「アリア様??どうかしましたか??」
不思議そうにイリスが首を傾げていた。
私は首を左右に振ると、気を取り直して速足で教室に向かった。
廊下に並ぶ大きな窓からは明るい陽射しがよく入る。
近づいていく教室の中からは、いつも以上に騒がしい声が廊下まで聞こえていた。
「うっ嘘でしょう!?私のパートナー、ケイドル様ですわ!!もう、死んでもいいです・・。」
「・・・外れだ。アリア様か、カリーナ様とご一緒のペアになりたかったのに」
「まぁっクレトス様のペアは、エミリー=ハリソン様ですわ。そう言えばエミリー様はクレトス様のご婚約者候補のお一人でしたよね・・。これ、本当に偶然なんですの?」
教室に着くとザワザワと黒板に張り出された紙の前で生徒達が黄色い声や奇声を上げていた。
広く白い天井と長い大学のようなテーブルと長椅子が前からずらりと並んでいる。
不思議そうに首を傾げていた私と横にいたカリーナの前に、黒板の群れの中から一人の男子生徒が前に出てきて片手を折った恭しい礼をした。
爽やかな笑顔で微笑む男性は、ブルネットの髪に緑色の瞳を嬉しそうに輝かせて人懐こい笑顔を見せた。
「カリーナ様、ジェイク=レイカードと申します。貴方の音楽祭のペアは僕に決まったよ。どうぞ宜しくお願いします!!」
「・・え?音楽祭のペア・・ですか??」
「そう。毎年、音楽祭では2名がペアで合奏か合唱を披露するんです。
僕は歌は得意ではないけど、楽器なら幼少から嗜んでます。カリーナ様の足を引っ張らないように頑張りますね」
「あ、はい・・。こちらこそ。どうぞ宜しくお願い致しますわ」
驚いた表情のカリーナだったが、差し出されたジェイクの握手に答えて微笑んだ。
ジェイクは人好きそうな可愛らしい子犬のような表情でにっこり微笑んた。
「アリア様のペアはカイン様でしたね・・。カイン様はピアノの評判は存じております。アリア様も、幼少の頃にグランデリアの祭典で一度美しい歌声を聞いたことがあります。お二人の発表も楽しみにしてますね。」
「私のペアはカイン様なんですね。・・良かった、少し気が楽になったわ。私が言うのも烏滸がましいですが・・。カリーナ様をどうぞ宜しくお願い致しますね。」
「烏滸がましいだなんて・・!!嬉しいですわ、アリア様!!お二人がペアなことは分かっていましたけど・・。カインお兄様をどうぞ宜しくお願いします!!」
「・・え、ええ。分かっていたの?」
カインと私がペアな事は分かっていたってどういう事かしら・・。
カリーナの発言に疑問は残ったが、それよりもカリーナの隣で落ち着いた笑顔を見せる少年に見覚えがあった。
彼は聖女ルルドの恋模様の5人目の攻略対象。
スポーツが得意で運動神経が抜群なイグナス王国の公爵家の跡取り
子犬系イケメンのジェイク=レイカード。
聖ルルでは、体育祭イベントで一緒に実行委員をしていく内にルルドと距離を縮めていくはず・・。
楽器の演奏も嗜む中身もハイスペック男子・・。と、脳内にメモをした。
「教室までご一緒させてもらっても宜しいですか??」
ブルネットの髪を奇麗な貝殻の髪留めで2つに纏め、黄色い垂れ目の可愛らしいクラスメイトの
メアリー=モルトン伯爵令嬢と、シルバーブロンドの肩までの髪に青い瞳と大きな赤いリボンで長い髪を
1つに纏めているイリス=ダルトワ侯爵令嬢が笑顔で手を振っていた。
聖女ルルドの恋模様でもこの二人はルルドと仲良し設定で物語にもよく登場していた。
モルトン伯爵家はアーリシャス王国建国時からの名門貴族で、ダルトワ公爵家も各国の王族との縁を繋ぐ
名門貴族家系で2つの家門は最近勢力を伸ばしているみたい。
4人で並んで廊下を歩くと健康観察室の前を通った。
ドアが空いていたので、その間からチラッと中の様子を確認すると長い指を悩まし気に組んで
廊下側を見ていた白衣姿の男性と目が合った。
・・・セイン=グリンドール。
主席医師。聖女ルルドの恋模様の攻略対象の4人目。
爽やかで知的な20代後半のアーリシャス王国で神の手と言われる腕を持つ男性医師。
「・・得体が知れないわ」
吸い込まれそうな青い瞳と見つめ合った。
私は眉をピクリと動かすと目を細め、きゅっと唇を引き締めた。
その言葉が聞こえたように一瞬驚いたように目を見開いたセイン=グリンドールは
次の瞬間に口角を上げて微笑んだ。
セインの表情に背筋に走った悪寒にふるっと震えた私は、健康観察室を振り返った。
出てくる気配はなかったけれどセインルートでは何度もデッドエンドを繰り返した私は不安が過った。
セインはお父さんを目の前で亡くした過去があって、人を助けたいと医師になったけれど
何を考えているか分らない。感情を見せない笑顔の仮面を被った優秀でハンサムな容姿もあり学園の生徒達の憧れの存在だった筈だけど・・。
「・・・あの笑顔、全く心が動いていないのよね」
「アリア様??どうかしましたか??」
不思議そうにイリスが首を傾げていた。
私は首を左右に振ると、気を取り直して速足で教室に向かった。
廊下に並ぶ大きな窓からは明るい陽射しがよく入る。
近づいていく教室の中からは、いつも以上に騒がしい声が廊下まで聞こえていた。
「うっ嘘でしょう!?私のパートナー、ケイドル様ですわ!!もう、死んでもいいです・・。」
「・・・外れだ。アリア様か、カリーナ様とご一緒のペアになりたかったのに」
「まぁっクレトス様のペアは、エミリー=ハリソン様ですわ。そう言えばエミリー様はクレトス様のご婚約者候補のお一人でしたよね・・。これ、本当に偶然なんですの?」
教室に着くとザワザワと黒板に張り出された紙の前で生徒達が黄色い声や奇声を上げていた。
広く白い天井と長い大学のようなテーブルと長椅子が前からずらりと並んでいる。
不思議そうに首を傾げていた私と横にいたカリーナの前に、黒板の群れの中から一人の男子生徒が前に出てきて片手を折った恭しい礼をした。
爽やかな笑顔で微笑む男性は、ブルネットの髪に緑色の瞳を嬉しそうに輝かせて人懐こい笑顔を見せた。
「カリーナ様、ジェイク=レイカードと申します。貴方の音楽祭のペアは僕に決まったよ。どうぞ宜しくお願いします!!」
「・・え?音楽祭のペア・・ですか??」
「そう。毎年、音楽祭では2名がペアで合奏か合唱を披露するんです。
僕は歌は得意ではないけど、楽器なら幼少から嗜んでます。カリーナ様の足を引っ張らないように頑張りますね」
「あ、はい・・。こちらこそ。どうぞ宜しくお願い致しますわ」
驚いた表情のカリーナだったが、差し出されたジェイクの握手に答えて微笑んだ。
ジェイクは人好きそうな可愛らしい子犬のような表情でにっこり微笑んた。
「アリア様のペアはカイン様でしたね・・。カイン様はピアノの評判は存じております。アリア様も、幼少の頃にグランデリアの祭典で一度美しい歌声を聞いたことがあります。お二人の発表も楽しみにしてますね。」
「私のペアはカイン様なんですね。・・良かった、少し気が楽になったわ。私が言うのも烏滸がましいですが・・。カリーナ様をどうぞ宜しくお願い致しますね。」
「烏滸がましいだなんて・・!!嬉しいですわ、アリア様!!お二人がペアなことは分かっていましたけど・・。カインお兄様をどうぞ宜しくお願いします!!」
「・・え、ええ。分かっていたの?」
カインと私がペアな事は分かっていたってどういう事かしら・・。
カリーナの発言に疑問は残ったが、それよりもカリーナの隣で落ち着いた笑顔を見せる少年に見覚えがあった。
彼は聖女ルルドの恋模様の5人目の攻略対象。
スポーツが得意で運動神経が抜群なイグナス王国の公爵家の跡取り
子犬系イケメンのジェイク=レイカード。
聖ルルでは、体育祭イベントで一緒に実行委員をしていく内にルルドと距離を縮めていくはず・・。
楽器の演奏も嗜む中身もハイスペック男子・・。と、脳内にメモをした。
0
あなたにおすすめの小説
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる