転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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横暴な共犯者。

横暴な共犯者。④

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もう、アカン・・。

くらりと眩暈まで覚えた。

これ以上、黙ってられない!!

「ジュリー。ちょっといいかしら・・。」

そう言うと、私は書類をドサッと床に投げ落とした。

塊のまま、落ちた書類は少し崩れただけの状態で床に落とされてた。

大股を開いて、彼女の制服の肩を両手で挟んだ。

驚いたように、目を見開いたジュリーは目をぱちくりしていた。

「欲しい物は、生きてる内に奪いなさいな・・。
運命はまだ決まってないのよ。
勝手に諦めて、羨んで・・。
一人で卑屈になってるなんて、腐りきった馬鹿女のする事よ??」

「・・シア??えっ、何言ってるの??」

引きつった顔のジュリーが、不安そうに私を見上げていた。

「今度、生まれ変わっても・・。
そんな腐りきった根性なら、また欲しい物を手に出来ないまま
死んでいく人生しか待ってないわよ、ジュリー・・。後悔しないようにね!!」


私は、落とした書類を手早く拾うと膝をパンパンと払った。

大きな茶色の瞳が潤んで揺れていた。


呆然と、立ち竦んだままの彼女に、「お先に。」とだけ言って廊下をズンズン大股で歩いていく。

曲がり角に差し当たった時に、得意気な表情で壁に凭れかかっているレオの姿を捉えた。

口角を上げて、蒼い瞳が鋭く私を射抜く。

「ハン、悪趣味ね。立ち聞きなんて。」

「あんな沢山の書類、持ちきれないだろうと思ってね。」

私の抱えているプリントをごっそりと抱えて、微笑んだ。

「計算ずくで焚きつけたのか、それとも可哀そうになって情をかけたのか・・。
さて、どっちかな・・。」

「あら、気づいているでしょ・・。解ってる癖に、たちが悪いわね・・。」

ムスッとした表情で、歩き出す私の後ろから嬉しそうな笑顔を浮かべてついてくる
レオを見ないように歩き続けていた。

「そういう所も、俺はいいと思うんだけどね。」

「揶揄わないでよ。みんな勝手にやってればいいわよ。
私は、半年後に自由になって念願の夢を叶えておさらばするんだから!!」

「そうか・・。それは見ものだな。」

私の独り言も、レオは全部拾ってくれる。

「別に熱心に見守って頂かなくて、結構ですから・・!!」

振り向きながら睨むと、レオは蒼い瞳が夕焼けに映えて綺麗なシルエットを
浮かべたまま、私を見下ろしていた。

ネクタイを外して、白いシャツのボタンを外したままのはだけた肌が夕焼けに照らされていた。

私は、腹立たし気に持ってもらっていた印刷物を急に奪い返すと、
グレーの瞳をレオに向けた。

「あっちを持ってやって頂戴!!重そうだもの。そーゆうことで、宜しく!!」

そう吐き捨てると、大股で再びズンズン歩き始めた。

「ははは。シアは、素直じゃないな・・。」

遠くなっていく背中をレオは黙って見つめる。
背筋のピンと張った背中と長いプラチナブロンドのポニーテールが揺れている。

膝までのスカートから現れた太ももから脹脛までの、スラリとした脚も美しい。

レオノールは、届かない声で囁いた。

「残念だよ。知れば知る程に・・。興味深い人間だよ、君は。」

蒼い瞳は夕日に照らされて真っ赤に燃えるように映る。

その言葉は、夕焼け色の廊下に吸い込まれて消えた。

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