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奇跡の聖夜をあなたと。

奇跡の聖夜をあなたと。②

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しかも、ジュリーも参加するなら・・。

ここで何か、仕掛けられるじゃない!!

「あら、素敵なお誘いね・・。前向きに検討させて頂くわ!!」

ぱあっと明るい表情で答えると、クロードが少しだけ不安そうに笑う。

「聖夜は本当は2人きりがいいんだけど・・。もう少し我慢してね?」

「あらやだ!!2人っきりのお祝いは、結婚したらいくらでも機会があるわ!
そうだ・・。ジュリーも来るのかしら?」

「あ、うん。彼女も来るって。
ねぇ、シア・・。今日は僕とデートに行かないか??
最近、勉強を教えるんだって、デートも何度も断れているし・・。
放課後も、式の準備で忙しいのは分かるけど・・。
君といる時間が全然足りてないよ・・!!」

えーと、デートの誘い・・。

持ち前の記憶想起で換算し始める。

「そうね・・。
確かに、ざっと38回くらい断ってるわね・・!!」

衝撃の回数に、流石の私も自分で退いた。

「みんなにシアを取られちゃって寂しいよ・・。
婚約者は僕なのにさ。最近は、レオだけでなく、あのカイルまで近づいてるし・・!!
みんな僕の気持ちなんか気にしないんだよ・・。
シア、今日はいいだろ?僕と、デートしようよ。」

潤んだ瞳で見上げるクロードに、少しだけ同情した。

ジュリーとのこともあるし・・。

「街にでも行きましょうか?
探してる本があって、ちょうど本屋に行きたかったの。」

非常に不幸な提案に、私は仕方なく頷いた。

レモンイエローの動きやすいドレスに着替えると、
髪を編み込んで出かける身支度を整えた。


クロードが本屋の軒先で、大きな声を上げて指さしていた。

「・・な、なんでレオと・・。ユヴェールがこんな所にいるんだよ!?」

太陽が真上に昇る前に、爽やかなスマイルを浮かべた王子が街の本屋に出現していた。

「やあ、クロードにシア。奇遇だね、こんな場所で会うなんて・・。」

「失礼な奴だな・・。街は公共の場所だろ。お前の私有地じゃないんだぞ?」

私服姿のユヴェールとレオに違和感・・。

品のいいベストと、シャツにトゥザーズ姿だったが流石貴族と王族!!

清楚な身なりに、身長が高く、スタイルも良いから2人共モデルみたいじゃない!!

「あら、お忍びでいらしたのよね。どうしたの?」

「ユヴェールに、今度の「レオノーラの聖夜」の前日に教会の孤児院で行われるパーティの内容を相談をされてな。
子供たちが喜ぶパーティは、どうしたらいいのかと一緒に考えている所なんだ。」

すれ違う人々が、2人をチラチラ見ている気がする・・。

地味っ子に扮しても、生まれながらのオーラは隠し切れないもんなのね!!

「ぼ、僕たちは、デートで来たんだよ!!
ちょっとそこ、どいてよ・・!!
シアと一緒に本を選ぶんだ!!さぁ、シア。何を見ようか??」

私の腕を掴むと、ズンズンと本屋の中へと入っていく。

「薬草学の医療と、代替え薬草学について書かれた本を探してるんだけど・・。」

「や、薬草学??!えーっと・・。棚は何処だろ??あっちかな・・。」

キョロキョロと辺りを確認しているクロードに、レオが冷めた声で告げた。

「おい、薬草の書棚はあっちだぞ?」

「わ、わかってるよ!!
今、案内するところだったんだ。」

私は、強引に手を引かれてズルズルと中へと進んで行く・・。
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