転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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奇跡の聖夜をあなたと。

奇跡の聖夜をあなたと。⑩

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私は屈みながら小さな女の子と、目を合わせてグラスをカチンとぶつけた。

「今日は大成功だ・・!!
兄も驚いてくれていたし、みんな楽しめるパーティーになった。本当に助かったよ・・!!」

ユヴェールが、正装のジャケット姿に着替えていた。

私も、持ってきたトランクにドレスや必需品を入れて別荘に行けるように準備をしてきた。

ドレスアップした三人と、王太子の登場に子供たちは大興奮だった。

このパーティーが終わり次第、クロードの別荘のある「ハンプシャム」に出発する。

「良かったわ!!
何よりも、子供たちがあんなに笑ってるわ。
素敵なパーティーになったわね!!」

ケーキも盛況で、既に半分以上が食べられていた。

「シアの味見がなければ、4段のケーキもいけたんじゃないか??」

「ちっ・・。違うわよ。失礼ね!!バ、バランスを考慮してのことよ!!」

しどろもどろに答える私に、ユヴェールもレオも楽しそうに笑っていた。

「高ければいいってもんじゃないもんな・・。見た目より中身だな。」

「そうよ!!見た目もいいし、味も最高でしょう??」

心底、意地の悪い笑みを浮かべているレオを睨みつけていた。

「ケーキの味は最高だよ。
シアを見る度にいつもモゴモゴしてたけど、ずっと食べてたでしょ?」

「そ、そんなことないわよ。ずっと、手を(は)動かしてたわよ?」

「口も絶えず動いてたけどな・・。意外とシアが、器用なことが解ったよ。」

「元から器用だし!!やっぱり暇してたんじゃないのよ。もっと動けば!?」

何て失礼な人なんだろう・・。

ここに、落とし穴があったらボタンを押して落下させたのに!!

「ユヴェール・・。ちょっといいか??」

談笑していた私達の元に、兄を引きつれた眩しい集団が歩いてくる。


グラスを持っていたユヴェールに、少しだけ緊張感が走った。

ゆっくりと、落ち着いた笑みを浮かべたユヴェールの長身の兄が優雅に立っていた。

茶色の短く切りそろえられた清潔な髪に、翡翠色の瞳。

ロイヤルブルーのコートを身に着けた、
正装姿の男性が、薄く笑って正面に立つ。

「兄さん、今行く・・。」

私にとっては初めて見る、マルダリア王国の王太子殿下が現れたのだった。


2人は、大きな窓の方へと歩いて行った。

何やら、ゆっくり話しているようだった・・。

「心配してるのか??」

チラチラ気にしていた私の様子を心配したレオが、覗き込んできた。

「うーん・・。兄弟って色々あるんだなって。
あんなに距離感のある兄弟関係もあるのよねー・・。」


「色々な形の家族があるさ。家族の数だけ、きっと形は異なるものだ。
シアの所は、弟が怪獣だったな。」

「失礼ね・・!!アレックスは普段は天使よ!
裏人格は破綻してるけど・・。
ちなみに、兄はあそこにいるわよ・・。」

王太子と、ユヴェールのすぐ側に立つお付きの一団に私と同じプラチナブロンドの髪の男性が立っていた。

「へぇ・・。そっくりだな。
弟といい、美形一家なんだな。」

「あら、レオに美形って言われるなんて恐れ多くて、何か企んでないか不安になるわ!!」

流れていた明るいBGMが止まって、急にムーディな曲が流れだした。

「何でも裏を見るんだな、シアは・・。だけど、馬鹿正直で、鈍感だから厄介だ。」

クスクスと笑っているレオの手を、小さな子供が急に掴んだ。

「今からダンスするんだ!!お兄ちゃんも、一緒に踊らない??」

周りの大人や子供も、各々のダンスを踊り始めていた・・。

眉を下げたレオが、その男の子の目線にしゃがみ込んでそっと頭を撫でる。

「ああ、勿論だ。」

その様子を息を飲んで見守っていた・・。

酷く優しい瞳で、男の子の髪を撫でるレオは男の人に言うのは失礼かもしれないけど。
とても、綺麗だと思ってしまった・・。

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