転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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奇跡の聖夜をあなたと。

奇跡の聖夜をあなたと。⑬

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「みんな・・。雪だ!!聖夜のイヴに雪が降ってきたよ!!」


窓の外を見た、男の子が大きな声で歓声を上げた。

ツリーの光は何色もの明かりでフロアを染めて、楽しそうな笑顔と笑い声が響いていた。

ダンスを終えた私は、ゆっくりと大きな窓から
白くひらひらと舞い落ちてくる粉のような雪を見上げる。


後ろから、ゆっくりと近づいてきたレオノールも舞い落ちる雪の景色に目を細めて見上げていた。

「・・・雪が降るんだ。この世界も・・。アルトハルトにも雪が降るかしら・・。」

レオは、アレクシアの言葉に息を止める。

一拍の呼吸を開けて、アレクシアを見下ろした。

「シア・・。アルトハルトって・・。どうして、君がアルトハルトのことを??」

「えっ・・。だ、だって・。」

私は、真剣に問われている意味が解らず
一瞬口ごもった。

どうしたのかしら・・!?

いつもとは明らかに違う、動揺を隠せないレオの様子に息を飲む。

レオに掴まれた肩に感じる強い力に、眉根を寄せた。

「クロードと婚約破棄したら・・。
私、「ファーマシスト」になる為に、アルトハルトに行く予定だもの。」

窓際のカーテンサイドに追いつめられるように、距離が詰められていた。

「ファーマシストに!?・・何故、君が??
あれは、嗅覚が凡人以上で特殊な人間しか就けない超特権階級の身分だ!!
しかも・・。女性でファーマシストになった人間はここ数十年いないんだ!」

険しいレオの表情に、動揺した私は息を吐くと
ゆっくりと事情を説明する。

「レオ、私には生まれつき特殊な力があるのよ。
それは・・。見た物を全て記憶し、嗅いだ物を覚えて再現や、分析出来る力なの。」

「記憶と、嗅覚だって・・。シアに、君にそんな力があったなんて・・!?」

「そうよ!婚約破棄したら、また誰かと結婚させられるわ・・。
それなら自分の力を使って自活して生きたいのよ!!だから・・っ。」

レオは、瞳に鋭い光を放つと、私の身体を抱えるように引き寄せた。

急に視界は反転して、真っ暗な闇が広がった。

カーテンの裏に引き寄せられた私は、自分の目の前で起こっている状況が理解出来なかった。

えっ・・!?

今、何が起こったの???

厚い唇の感触と、強く掴まれた頭と、背中に感じる大きな手の感触。

私は、頭を押さえつけられたままで、レオに抱き寄せられていた・・。

レオから漂う甘くて切ない香りが、鼻腔をくすぐる。

目を見開いたまま、重ねられた口づけに私は息も出来ずに眉を険しく顰めたレオの整った顔が見えた。

「・・・っ。何・・をっ。」

息を吐き出すように、一瞬だけ離れた唇に噛みつこうと口を開けた私の中に

ぬるっとした温かい舌が、口の中へと入り込んで
蹂躙し始める。

心臓が早鐘を打ちながら、警告していた。

「んっ・・・あ・・んっ・・。」

私の頭を抱えるように、押さえつけられた私は視界が薄くなるまで顎を掴まれる。

重ね合わせた唇は甘く・・。
息も絶え絶えに、長い長い口づけを重ねた。

揺れる私のアイスグレーの瞳は、涙目でレオを見上げる。

レオの、蒼い瞳と目が合うとゾクリと身体が震えた・・。


私は前みたいに突き放す力も、頭突きを繰り出す
ことも出来ずにいた。

何処か持て余すような熱と、我慢出来ない感情を抱えた様子のレオを無碍に引き離すことが出来ない気がしていた。

「シア・・。アレ・・クシア・・・っ。」

眉をしかめたまま苦しそうに重ねられる、レオの唇の熱さに翻弄されていた。

蕩けるように身体の力が抜けていく・・。

正体のわからない苦しい痛みと、レオへの切ない想いが私の胸の中一杯に広がっていた。

甘い香りと、何度も重ねられる激しい口づけを受け入れるように不思議と、抗えない快感に翻弄されていた。
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