転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

館花陽月

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最後の円舞は君と・・。

最後の円舞は君と・・。⑤

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卒業式を終え、盛大なプロムの翌日には、私はウェディングドレスを着てクロードと
誓う事になる予定だった。

「ダルいわー・・。人生がダッるい。」

そうならない為に、様々な策を講じて来た私は
少々疲れ気味に机の上で伸びていた。

  「「バサッ・・。」」

そんな時、芳しい薔薇の匂いと共に、真っ赤な薔薇の花束が眼前に置かれた。

私は、シルバーグレイの瞳を半分開いたまま静止していた。

爽やかな電子レンジ王・・。
もとい、カイルが品良く立っていた。

私は、頭の上に花びらが乗ったままで、ガバッと飛び起きた。

「ど、どうしたのよ??」

「今日は申し込みに来たんだよ、シア・・。
プロムへは、僕と一緒に行かない??」

カイルが、金色の目をキラキラ輝かせて私の真横でほほ笑んでいた。

「あー・・。プロムね・・!!
お兄様と行く予定なの。・・ごめんなさいね?」

「ああ、お義兄様と行くんだね。
ここで真打ちの、レオの名前が出なくて安心したよ。
ちなみに、ラストダンスは誰か相手はいるの?」

「ラストダンス??」

果て?
ラストダンスって、何だ・・。

えーと、最後のダンス??

何か意味でもあるのかしら・・。

「今の所そういうお話はないけど・・(どうでもいい)。」

「じゃあ、ラストダンスは僕と踊ってくれる??
僕は最後まで諦めないよ・・。
僕なら君の婚約を破棄して、自国に連れ去る力も持ってるんだから。
最悪、ザイードに拉致してもいいかな?」

「駄目に決まってんでしょう・・!!拉致は犯罪よ。国家権力を
そんなどうしようもない事に使わないでよ。みんなの血税よ!!」

薔薇を差し出して、物騒な誘拐宣言をしてきたカイルにため息をついた瞬間だった。

「イヤーッ!!カイル様が、アレクシア様に申し込んでるわ・・!!」

「しかも、何なら今のプロポーズみたい!カイル様って、情熱的ね・・!!」

教室内が再び阿鼻叫喚に包まれた事は、言うまでもなかった・・。

その情熱は。違う方向で生かせばいいのに・・。
と思ってしまった。

「昼間から発言が、物騒だな・・、カイル。
留学で、一体何を学んだのかとお父上に問われるぞ?」

呆れたような声で返答した瞬間に、私の眼前が金色の頭で塞がれた。

み、見えない・・。

「なっ・・・なんだよ、レオ!?
まさか、お前もシアにダンスを申し込みに来たのか??」

「ついでに、ラストダンスは先約済みだ!!」

少しだけ頬を染めたレオが、横を向いて吐き捨てた。

「はぁ??てゆーか、何の話よ??
先約について全く心当たりがないのだけど・・!!」

首を傾げた私の前に、訝し気な表情を浮かべてずいっとレオが近づいた。

「この間、生徒会室で「プロムのダンス踊るか?」
って聞いたら・・。
「うん、踊るわ。」って答えたじゃないか・・。」

その言葉に私とカイルは言葉を失った・・。

「それ、約束したことになるの?
そもそも、それが誘い文句だったわけ!?
私、全っ然、気づいてなかったわ!!」

呆れた表情の私と、カイルは、可哀そうな物でも見るようにレオを見ていた。

「レオって・・。馬鹿なの??何か哀れになって来たよ、僕・・。」

「・・・お前に同情されるなんて、反吐が出る。腹立つから憐れむな!」

睨み合った2人を見て、私はため息を吐いた。

学院モテ男子2人が、ギャーギャーと声を上げている横の席で、
嬉しそうに手紙を書いてるジュリーが視界に入る。

「ジュリーは、クロードが本当に好きなのね・・、私とは違う。」

私の呟きは、2人の喧嘩にかき消されて消えた。


「ほら、チャイムが鳴るわよ?2人共、ハウスしなさいな!!」

ダルそうにシッシと2人を追いやろうとした。

「犬じゃないぞ・・。扱いが相変わらず雑だな。」

レオが呆れたように、笑う。


私は、そっとレオの背後に立つと耳元でコソッと囁いた。

「レオ、ジュリーを見ていて頂戴?
プロムで、何か解るかもしれないわ・・。」

その言葉に、レオは驚いて後ろの私を見下ろした。

私の記憶が確かなら・・。

きっと・・。

そんな確信が、私の中に生まれていた。
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