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マルダリア王国の異変。
さよならの言葉は青い薔薇に託して。⑧
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カイルは青薔薇の栄光のメンバーではないのかしら!??
ミリアは面倒臭いのか沈黙を貫いたままで窓の遠くの方を見ていた。
そんな時、同じリズムで音を刻んでいた馬車の蹄の音が止まった。
「意味不明だなぁ・・。みんな秘密主義なんだね。ほら、もううちに着いたよ??
街から馬車だと郊外の邸宅まで時間は掛からないからさ。シアも、そんな黒焦げのドレスを来てないで我が家にあるドレスを着ればいいよ?待ち人も、シアのその格好を見たら発狂すると思うしね??」
クロードがドアを開けながら緑色の瞳を細めて笑った。
仏頂面のカイルが、先に降りて私の手をそっと掴んでエスコートをしてくれる。
何で私のドレスが黒焦げになっていたら発狂するのかしら?
意味は解らないが礼儀的な物なのかと思って納得した。
「お言葉に甘えて着替えさせていただこうかな?
焦げたドレスじゃ格好つかないし。(ついでにエリザベートでも呼び戻すし)」
タラップを踏んで、大きな玄関の前に降り立とうと私は足を延ばした・・。
その時だった。
「・・・は??・・・アレクシアかっ!?
どうして、・・お前がこんな所にいるんだ!?」
玄関の方から聞き覚えのある人物の声が聞こえて、一瞬私は自分の耳を疑った。
プラチナブロンドの髪がふわりと風に揺れて輝いていた。
「まさか・・。
何故、お兄さまこそ??こんな場所でアルノルドお兄様と会うなんて!?」
ここで私を待つ人物。
それは組織に関係する人物だと思って気を張っていたのに・・。
「お前は・・。アルトハルトに居たのではなかったのか??」
「お兄様こそ・・・。
ここに居る理由を、わたくしに教えて頂けますか?」
遠くから見ても、整った容姿の兄アルノルドが水色の瞳を揺らしていた。
兄は同じ色の瞳で私を驚きの表情で見つめていた。
その頃・・。
馬を調達したレオノールと、ファーマシストであるクリスとルカの2人。
アレクシアの侍女のエーテル、騎士団長のエリアスはそれぞれが馬に跨りマルダリア王国との国境を目指していた。
国境まではもう目と花の先となった港町で食料の補給や、新たな防具などの購入を行っていた。
ユヴェールとレオノールは、港の船着き場で遠くに見える海を見ていた。
2人の身に着けた黒いマントが風に翻り、長身の身体には黒と金で誂えた刺繍が入ったジャケットと細身のズボンを身に着けていた。
そこに、もう一人の影があった。
「レオ、・・やはり、マルダリアまでは大きな馬車を調達しよう。馬で個別に向かってもいいのだが、それでは着く頃には疲れ果ててしまう。」
「・・・山道を超える場面もあるし、そこでは山賊も出るだろうしな。バラバラに馬で行けば逸れてしまう危険もある。神獣や神力はこの宝剣があれば使用可能となるだろうが・・・。
出来るだけ、組織との戦闘に備えておいた方が良いだろうな。エリアス・・。大至急、手配を頼む。」
「解った。・・では、後でな。」
漆黒の耳までの長さの髪と、濃い蒼の瞳を持つエリアスは瞬く間にその場から消え去った。
「何だか、思いがけない展開だよね・・。気持ちが着いて来ないよ。
まさか、カイルが青薔薇の栄光だったなんてね。
それに・・。あのカイルが、シアを連れ去ってしまうなんてさ・・。」
ユヴェールが、緑色の瞳を切なそうに細めて海を眺めていた。
「そうだな・・。色々思う所はあるが・・。
カイルはカイルで一人で戦っていたのかもしれない。それに気づいてあげることが出来なかった俺の力不足でもある。
シアは、そんなカイルの苦しみに気づいて一緒に行ったんじゃないかと思うんだ・・。」
カイルに騙された振りをしてまで、敵地に乗り込んで事実を知りたいと思ったのだと
ここまでの道中で何度も考えていた。
あの組織が一体、何を目指しているのか・・。
「きっと、好奇心旺盛なシアなら知りたがるに違いない・・。俺も知りたいんだ。
何が起きて来たのか・・。これから、何が起きようとしているのかも含めてな。」
レオの金色の髪が強い風に煽られて舞い上がった。
賑わいを見せる夕暮れの港町は、夕焼けに照らされて海が赤く輝いていた。
「はぁ・・はぁっ、たっ・・。大変だよ!!
レオっ・・。」
夕焼けの色と同じ瞳を持つクリスが新聞を握りしめて走って来た。
「・・ああっ、ユヴェールもいたの!??
ちょうど良かった!ちょっと・・。
これ見て、大変なんだってば!!!」
銀色の髪を揺らして走って来たクリスは息切れのする背中を動かしながら、ユヴェールの両腕を掴んで新聞を渡した。
「どうしたのさ・・??珍しいじゃないか、クリスがそんなに動揺するなんてさぁ。」
握らされた新聞の記事を見下ろしながら驚いた表情のユヴェールはその記事の内容を読み進めると、愕然とした表情のままでクリスが持って来た新聞をグシャッと握りしめた。
ユヴェールは視線を宙へと向けたまま固まっていた。
「・・ユヴェール??どうしたんだ??」
「新聞が・・。街で配られている新聞の夕刊を見たんだよ!!その記事には、マルダリア王国の王太子と、王が失踪したって見出しに書いてあった!!
あのさ、ユヴェールは何か2人の情報を知っていた・・???」
「何なの・・。この情報!?
これ、ちゃんとした筋の情報なの??
何も知らないよ・・。全然知らなかった!!
俺だって、一応・・。マルダリアの王子なのに。」
「何故、王太子と王のお二人が・・。
王太子には数日前にお会いしたが・・。
そんな様子は微塵も見せなかった。
しかし、・・確か、王がご病気だと言っていたな?」
レオは考え込むように、思案していた。
ユヴェールは軽くパニックになった様子で慌てた声を上げた。
「ええっ!?レオ、それ、全然聞いてないよ!?
ちょっと待って・・。
それじゃあ、マルダリア王国は今・・。どうなってるんだ!??」
焦るユヴェールを前にレオは、戻って来たエリアスとアイコンタクトを取った。
「・・・エヴァン様と、マルダリア王を探さなければいけないな。カイルはマルダリアも大変なことが起きていると匂わす発言があった。
この失踪の裏には、青薔薇の栄光が関わっているはずだ・・。」
レオの言葉に、ユヴェールは不安気な瞳を揺らしていた。
ミリアは面倒臭いのか沈黙を貫いたままで窓の遠くの方を見ていた。
そんな時、同じリズムで音を刻んでいた馬車の蹄の音が止まった。
「意味不明だなぁ・・。みんな秘密主義なんだね。ほら、もううちに着いたよ??
街から馬車だと郊外の邸宅まで時間は掛からないからさ。シアも、そんな黒焦げのドレスを来てないで我が家にあるドレスを着ればいいよ?待ち人も、シアのその格好を見たら発狂すると思うしね??」
クロードがドアを開けながら緑色の瞳を細めて笑った。
仏頂面のカイルが、先に降りて私の手をそっと掴んでエスコートをしてくれる。
何で私のドレスが黒焦げになっていたら発狂するのかしら?
意味は解らないが礼儀的な物なのかと思って納得した。
「お言葉に甘えて着替えさせていただこうかな?
焦げたドレスじゃ格好つかないし。(ついでにエリザベートでも呼び戻すし)」
タラップを踏んで、大きな玄関の前に降り立とうと私は足を延ばした・・。
その時だった。
「・・・は??・・・アレクシアかっ!?
どうして、・・お前がこんな所にいるんだ!?」
玄関の方から聞き覚えのある人物の声が聞こえて、一瞬私は自分の耳を疑った。
プラチナブロンドの髪がふわりと風に揺れて輝いていた。
「まさか・・。
何故、お兄さまこそ??こんな場所でアルノルドお兄様と会うなんて!?」
ここで私を待つ人物。
それは組織に関係する人物だと思って気を張っていたのに・・。
「お前は・・。アルトハルトに居たのではなかったのか??」
「お兄様こそ・・・。
ここに居る理由を、わたくしに教えて頂けますか?」
遠くから見ても、整った容姿の兄アルノルドが水色の瞳を揺らしていた。
兄は同じ色の瞳で私を驚きの表情で見つめていた。
その頃・・。
馬を調達したレオノールと、ファーマシストであるクリスとルカの2人。
アレクシアの侍女のエーテル、騎士団長のエリアスはそれぞれが馬に跨りマルダリア王国との国境を目指していた。
国境まではもう目と花の先となった港町で食料の補給や、新たな防具などの購入を行っていた。
ユヴェールとレオノールは、港の船着き場で遠くに見える海を見ていた。
2人の身に着けた黒いマントが風に翻り、長身の身体には黒と金で誂えた刺繍が入ったジャケットと細身のズボンを身に着けていた。
そこに、もう一人の影があった。
「レオ、・・やはり、マルダリアまでは大きな馬車を調達しよう。馬で個別に向かってもいいのだが、それでは着く頃には疲れ果ててしまう。」
「・・・山道を超える場面もあるし、そこでは山賊も出るだろうしな。バラバラに馬で行けば逸れてしまう危険もある。神獣や神力はこの宝剣があれば使用可能となるだろうが・・・。
出来るだけ、組織との戦闘に備えておいた方が良いだろうな。エリアス・・。大至急、手配を頼む。」
「解った。・・では、後でな。」
漆黒の耳までの長さの髪と、濃い蒼の瞳を持つエリアスは瞬く間にその場から消え去った。
「何だか、思いがけない展開だよね・・。気持ちが着いて来ないよ。
まさか、カイルが青薔薇の栄光だったなんてね。
それに・・。あのカイルが、シアを連れ去ってしまうなんてさ・・。」
ユヴェールが、緑色の瞳を切なそうに細めて海を眺めていた。
「そうだな・・。色々思う所はあるが・・。
カイルはカイルで一人で戦っていたのかもしれない。それに気づいてあげることが出来なかった俺の力不足でもある。
シアは、そんなカイルの苦しみに気づいて一緒に行ったんじゃないかと思うんだ・・。」
カイルに騙された振りをしてまで、敵地に乗り込んで事実を知りたいと思ったのだと
ここまでの道中で何度も考えていた。
あの組織が一体、何を目指しているのか・・。
「きっと、好奇心旺盛なシアなら知りたがるに違いない・・。俺も知りたいんだ。
何が起きて来たのか・・。これから、何が起きようとしているのかも含めてな。」
レオの金色の髪が強い風に煽られて舞い上がった。
賑わいを見せる夕暮れの港町は、夕焼けに照らされて海が赤く輝いていた。
「はぁ・・はぁっ、たっ・・。大変だよ!!
レオっ・・。」
夕焼けの色と同じ瞳を持つクリスが新聞を握りしめて走って来た。
「・・ああっ、ユヴェールもいたの!??
ちょうど良かった!ちょっと・・。
これ見て、大変なんだってば!!!」
銀色の髪を揺らして走って来たクリスは息切れのする背中を動かしながら、ユヴェールの両腕を掴んで新聞を渡した。
「どうしたのさ・・??珍しいじゃないか、クリスがそんなに動揺するなんてさぁ。」
握らされた新聞の記事を見下ろしながら驚いた表情のユヴェールはその記事の内容を読み進めると、愕然とした表情のままでクリスが持って来た新聞をグシャッと握りしめた。
ユヴェールは視線を宙へと向けたまま固まっていた。
「・・ユヴェール??どうしたんだ??」
「新聞が・・。街で配られている新聞の夕刊を見たんだよ!!その記事には、マルダリア王国の王太子と、王が失踪したって見出しに書いてあった!!
あのさ、ユヴェールは何か2人の情報を知っていた・・???」
「何なの・・。この情報!?
これ、ちゃんとした筋の情報なの??
何も知らないよ・・。全然知らなかった!!
俺だって、一応・・。マルダリアの王子なのに。」
「何故、王太子と王のお二人が・・。
王太子には数日前にお会いしたが・・。
そんな様子は微塵も見せなかった。
しかし、・・確か、王がご病気だと言っていたな?」
レオは考え込むように、思案していた。
ユヴェールは軽くパニックになった様子で慌てた声を上げた。
「ええっ!?レオ、それ、全然聞いてないよ!?
ちょっと待って・・。
それじゃあ、マルダリア王国は今・・。どうなってるんだ!??」
焦るユヴェールを前にレオは、戻って来たエリアスとアイコンタクトを取った。
「・・・エヴァン様と、マルダリア王を探さなければいけないな。カイルはマルダリアも大変なことが起きていると匂わす発言があった。
この失踪の裏には、青薔薇の栄光が関わっているはずだ・・。」
レオの言葉に、ユヴェールは不安気な瞳を揺らしていた。
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