謎ルールに立ち向かう中1

ぎらす屋ぎらす

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2. 地毛証明書

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ノリの母は入学式の会場に到着した。

まずは受付。
近年、入学式に関係のない者が会場に乱入し、盗撮が行われるという事件が数件起こっているらしく、予め通知された学籍番号と名前を照らし合わせて、ノリがこの学校の入学者であることを確認していた。
式が11時に始まるのに対し、集合は9時15分。
200人近くの入学者がいてこの手続きを行うわけだから、まぁ妥当な時刻だ。


受付を済ませ、会場に行く前に教室に入る。
ノリは1年2組だ。黒板にクラスメイトの名前と席順が掲示されている。


ノリが席に座るとほどなくして、小学校時代から仲良くしていた河野七香(こうの ななか 通称なーちゃん)が前方から現れた。

「わぁぁぁ、ノリぃぃぃ!」

「おお、なーちゃん」

ノリとなーちゃんは幼稚園からの付き合いで、お互い気の置けない関係だ。
どちらかといえば大人しくあまり目立たないノリに対し、なーちゃんはいつもクラスの中心で、特に運動会や文化祭では常にみんなを引っ張っていた。
地味な男子と派手な女子。周りから見たらこのコンビは不思議だろうなと、ノリ本人も感じている。

「ノリ、同じクラスだよ!やった!」

「おおマジか。仲良い人が同じだと助かるなぁ」

なーちゃんがいれば、新しい世界に飛び込んでも大丈夫そうだ。安心だ。





10時30分。1年2組の40人全員が揃った。

「1年2組の担任をさせていただきます、倉橋由紀子(くらはしゆきこ)です。よろしくお願いいたします」

見た感じは若くてとても可愛い先生だ。
これは男子生徒たちが黙っちゃいないだろう。

「今から入学式に向かいますが、数名のお名前をお呼びします、教卓のところまで来てください」

数人が呼ばれた中に、ノリの名があった。

「石原くん、髪をいじってませんか?」

倉橋先生曰く、ノリがパーマをかけているのではないかと春休みの職員会議で話題になったらしく、

「いじっているなら早急に元に戻して貰う必要があります。地毛ならば、地毛証明書を保護者様から提出してもらうことになります」

ノリの髪型はいわゆる天然パーマというやつで、しかも毎月美容院に通っておりかなり綺麗にセットされているので、パーマを当てているのだと勘違いされたというわけだ。

母が口を開く前に、ノリが先に言葉を発した。「全員で同じ姿で足並みを揃えて進むのが美徳」というような思想を感じて、黙ってはいられなかったのだろう。

「地毛です。天然パーマです。でも地毛証明書なんて出す必要性を感じないので提出はしません」

「でもルールですから…あ、石原くん?」

倉橋先生が話し終わる前に、ノリは教室を出て入学式が行われる体育館へむかった。

(ここで屈したらまた社会の言いなりだ。個性を認めない社会は徹底的に排除する。最初が肝心だ)

ノリは並々ならぬ思いでこの日を迎えたのだ。そう簡単に理不尽なルールには従わない。
ノリは芯の強い男だった。
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