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28. 1年生のくせに 前編
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7月6日(土)。
今日は市の総合体育大会。3年生にとっては最後の大会が本日から始まる。ノリが通う市立青山中学は、初戦に市立西井戸中学と対戦する。昨年10月の新人大会では延長戦の末、72-66で青山中学が勝利を手にした。昔からこの2つの中学はライバル校として、大会の度に地元紙の一面を飾っている。
1週間前に発表されたベンチ入りメンバーは下記の通り。
4 中野(3年)
5 田中(3年)
6 柴原(3年)
7 北村(3年)
8 大田(3年)
9 小倉(3年)
10村田(2年)
11山本(2年)
12光二(1年)
13ノリ(1年)
14内村(2年)
15小堀(2年)
16堂林(2年)
17黒田(2年)
18赤川(2年)
中木監督の方針の1つに、「戦力になる者が若い番号を付ける」というものがある。そのポリシー通り、光二とノリは5人の2年生の先輩よりも若い番号をつけているのだ。通例、学年が上であれば背番号も若い。
ベンチメンバーは学年順で選ばれ、夏の総合体育大会は1年生は応援に回るのが普通だ。しかし、光二とノリは監督に実力を認められ、れっきとした戦力として今回の大会に登録されている。
試合開始1時間前。ベンチ外のメンバーも含めて部員全30名が選手控室に集合した。中木先生がスターティングメンバーの名前を読み上げ、ハイタッチを交わす。今日のスタメンは、キャプテンの背番号4番中野、副キャプテンの5番田中。そして6番柴原、7番北村、そして2年生の10番村田だ。続いてベンチメンバーも読み上げられた。光二とノリの名前が読み上げられた時、安藤が小さな声でつぶやいた。
「お前らのせいで俺らはベンチに入れなかったんだ。本当に生意気だぜ」
(実力がないからベンチを外されたってことを本当に理解するまでは一生試合には出られねえよ)
ノリは出かかった声を飲み込み、何食わぬ顔でハイタッチを交わした。
試合開始直3分前。ゲーム前のアップを終えた15人と中木先生、そして助監督として登録されている2年生体育科担当の平良ゆり子先生(30)が円陣を組んだ。3年生も数人ベンチ登録外の選手が数人おり、中学生活最後の大会にもかかわらず、ベンチではなく観客席から声援を送ることになった。ベンチ登録外の2・3年生は、ケガで出場を見送られた3年生臼井悠人(うすい・ゆうと)以外は、全員光二とノリに嫌味を言ってきた奴らだ。
「意地汚いことばっか言ってるからバスケが上手にならないんだあいつら」
ノリは隣にいる光二だけに聞こえる声でそう言った。
「今年は去年より選手層が厚い。ファウルを気にせず、思い切っていこう。大森も石原も控えてるんだから。さあ、行くぞ!」
中木先生の一言とほぼ同時に残り時間0を示すブザーが鳴った。試合開始だ。試合開始直後から異様な雰囲気に包まれる会場。この市内大会は毎年お客が多く、OBですらないおじさんたちも観戦に来ているらしい。中木先生曰く、高校野球並みの注目度で、地元新聞社の扱いもバスケ部だけ全く違うとのこと。
「3年生をベンチから外すなんてどういうことだ!」
「1年生がベンチ入りだなんて生意気だな!」
中学生の地方大会とは思えない、心無いヤジが飛んでいる。噂には聞いていたが、非常にやりにくい雰囲気だ。中学生もおじさんも、スポーツマンシップを無視した言葉を吐く、お世辞にもクリーンとは言えない雰囲気。
「この雰囲気で試合するのか。なんか思ってたのと違うな…」
ノリは光二と顔を合わせ、驚いた表情をした。
「毎回思うけど、ただの市内大会なのに外部の人間が多すぎだよ。憂さ晴らしに来てんだろ。困ったもんだ本当に」
副キャプテンの田中も困惑した表情だ。
(後編へ続く)
今日は市の総合体育大会。3年生にとっては最後の大会が本日から始まる。ノリが通う市立青山中学は、初戦に市立西井戸中学と対戦する。昨年10月の新人大会では延長戦の末、72-66で青山中学が勝利を手にした。昔からこの2つの中学はライバル校として、大会の度に地元紙の一面を飾っている。
1週間前に発表されたベンチ入りメンバーは下記の通り。
4 中野(3年)
5 田中(3年)
6 柴原(3年)
7 北村(3年)
8 大田(3年)
9 小倉(3年)
10村田(2年)
11山本(2年)
12光二(1年)
13ノリ(1年)
14内村(2年)
15小堀(2年)
16堂林(2年)
17黒田(2年)
18赤川(2年)
中木監督の方針の1つに、「戦力になる者が若い番号を付ける」というものがある。そのポリシー通り、光二とノリは5人の2年生の先輩よりも若い番号をつけているのだ。通例、学年が上であれば背番号も若い。
ベンチメンバーは学年順で選ばれ、夏の総合体育大会は1年生は応援に回るのが普通だ。しかし、光二とノリは監督に実力を認められ、れっきとした戦力として今回の大会に登録されている。
試合開始1時間前。ベンチ外のメンバーも含めて部員全30名が選手控室に集合した。中木先生がスターティングメンバーの名前を読み上げ、ハイタッチを交わす。今日のスタメンは、キャプテンの背番号4番中野、副キャプテンの5番田中。そして6番柴原、7番北村、そして2年生の10番村田だ。続いてベンチメンバーも読み上げられた。光二とノリの名前が読み上げられた時、安藤が小さな声でつぶやいた。
「お前らのせいで俺らはベンチに入れなかったんだ。本当に生意気だぜ」
(実力がないからベンチを外されたってことを本当に理解するまでは一生試合には出られねえよ)
ノリは出かかった声を飲み込み、何食わぬ顔でハイタッチを交わした。
試合開始直3分前。ゲーム前のアップを終えた15人と中木先生、そして助監督として登録されている2年生体育科担当の平良ゆり子先生(30)が円陣を組んだ。3年生も数人ベンチ登録外の選手が数人おり、中学生活最後の大会にもかかわらず、ベンチではなく観客席から声援を送ることになった。ベンチ登録外の2・3年生は、ケガで出場を見送られた3年生臼井悠人(うすい・ゆうと)以外は、全員光二とノリに嫌味を言ってきた奴らだ。
「意地汚いことばっか言ってるからバスケが上手にならないんだあいつら」
ノリは隣にいる光二だけに聞こえる声でそう言った。
「今年は去年より選手層が厚い。ファウルを気にせず、思い切っていこう。大森も石原も控えてるんだから。さあ、行くぞ!」
中木先生の一言とほぼ同時に残り時間0を示すブザーが鳴った。試合開始だ。試合開始直後から異様な雰囲気に包まれる会場。この市内大会は毎年お客が多く、OBですらないおじさんたちも観戦に来ているらしい。中木先生曰く、高校野球並みの注目度で、地元新聞社の扱いもバスケ部だけ全く違うとのこと。
「3年生をベンチから外すなんてどういうことだ!」
「1年生がベンチ入りだなんて生意気だな!」
中学生の地方大会とは思えない、心無いヤジが飛んでいる。噂には聞いていたが、非常にやりにくい雰囲気だ。中学生もおじさんも、スポーツマンシップを無視した言葉を吐く、お世辞にもクリーンとは言えない雰囲気。
「この雰囲気で試合するのか。なんか思ってたのと違うな…」
ノリは光二と顔を合わせ、驚いた表情をした。
「毎回思うけど、ただの市内大会なのに外部の人間が多すぎだよ。憂さ晴らしに来てんだろ。困ったもんだ本当に」
副キャプテンの田中も困惑した表情だ。
(後編へ続く)
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