1 / 18
一章 クビになりました。
お前、クビな
しおりを挟む
「お前、クビな」
冒険者パーティ BBバレットが所有する会議室で、リーダーのビコマンツが僕を指差した。
僕は後ろを振り返るが、後ろに座っているのは新進気鋭の回復魔術師、ブローザだ。
今日も胸元がざっくり開き、豊満な谷間が輝いている。
ビコマンツの指先は相変わらず僕の方を指している。
念の為もう一度後ろを振り返ると、ブローザは「残念」と言いながら、手のひらで僕を指す。
会議室には総勢16名いるが、皆僕をみている。クビなのは僕で間違いないらしい。
おずおずと立ち上がる。
「ビコマンツさん。いや、リーダー!僕は僕なりに頑張ってきました。闘いで興奮した皆さんを、ぐっすり眠らせて回復に勤めてきました。トゲをはやして、逃げる時間を稼ぎました。しかも、僕のパーティコストはたったの3です。僕をクビにして、良いことありますか?」
僕はゆっくりと、だがしっかりと話す。
伝われ、僕の残留へのアツい気持ち。
ビコマンツは、再び人差し指をビシッと僕へ向ける。
「そこだ。リーダーの能力にも寄るが、1パーティのトータルコストは100が基本だ。今、うちのパーティは88。そして一月後から魔法大学校卒業予定の気鋭の新人が入ってくる。お前はトゲを生やす魔法と、眠らせる魔法の二つしか使えないよな。新人が使える魔法は20より多いらしい。そして、ソイツのコストが15。後はわかるな?」
「ピッタリ100ってことか」
僕は、心の中で諦めの色が広がるのを感じた。いや、待て。BBには狭き門たる所以がもう一つ!
「リーダー、新人の名前は…」
「ブラスト」
「お疲れっした」
僕は頭を下げて、立ち上がる。
「ボルサリーノ、冒険者である限りこういうことはある。狭い世界だ。またいつか同じパーティで働くこともあるだろう。恨むなよ」
前に座っているシーフのバリンだ。
彼は、戦闘弱者の僕を下に見ない珍しい男だ。
ビコマンツは、袋にパンパンに入った硬貨を机に置いた。
「ご苦労だった。しばらくはこの金で生活しながら、新しいパーティを探すんだ。お前は、真面目で、誠実で、粘り強い男だということを俺たちは知っている。パーティのための判断だ。恨むなら俺だけを恨めよ」
ビコマンツは僕に硬貨の入った袋を投げる。
二年間、このパーティでやってきた。
彼らは僕の頑張りを認めてくれた。
BBバレットのことを思えば、ウジウジせずに、パーティの新たな門出を祝おう。
僕の代わりにブラストとかいう魔法使いが入った方がいいに決まってる。
「改めて、お世話になりました。また同じパーティになるかもしれないし、別のパーティとしてパーティ戦でやり合うことになるかもしれない。その時は、正々堂々やりましょう。僕はビックなボーイになってみせます!!!」
「それでこそBBだ!!!」
パーティの男達は目に涙を浮かべながら拍手をくれる。
ブローザが服の端を引っ張ってくる。
「これ、はなむけに。あげる」
双眼鏡だ。
なんで双眼鏡なんだ?と思ったが、心なしが双眼鏡からいい匂いがするので、深掘りせずに受け取った。
「ありがとう。いつも枕元に置くね」
「くだらないこと言ってないで、実力付けて戻ってきなさい。私、あなたと働くの嫌いじゃないの」
ブローザの真剣な眼差しに、狼狽える。
「僕なりに頑張ってみるよ。二つしか魔法使えなくて、どっちも平凡な魔法だけど、頭使って頑張ってみるよ」
そう言って会議室を出た。
晴れて単身冒険者だ。
コツコツEランクの依頼から挑戦して、自力をつけよう。
早速その足でギルドへ向かった。
冒険者パーティ BBバレットが所有する会議室で、リーダーのビコマンツが僕を指差した。
僕は後ろを振り返るが、後ろに座っているのは新進気鋭の回復魔術師、ブローザだ。
今日も胸元がざっくり開き、豊満な谷間が輝いている。
ビコマンツの指先は相変わらず僕の方を指している。
念の為もう一度後ろを振り返ると、ブローザは「残念」と言いながら、手のひらで僕を指す。
会議室には総勢16名いるが、皆僕をみている。クビなのは僕で間違いないらしい。
おずおずと立ち上がる。
「ビコマンツさん。いや、リーダー!僕は僕なりに頑張ってきました。闘いで興奮した皆さんを、ぐっすり眠らせて回復に勤めてきました。トゲをはやして、逃げる時間を稼ぎました。しかも、僕のパーティコストはたったの3です。僕をクビにして、良いことありますか?」
僕はゆっくりと、だがしっかりと話す。
伝われ、僕の残留へのアツい気持ち。
ビコマンツは、再び人差し指をビシッと僕へ向ける。
「そこだ。リーダーの能力にも寄るが、1パーティのトータルコストは100が基本だ。今、うちのパーティは88。そして一月後から魔法大学校卒業予定の気鋭の新人が入ってくる。お前はトゲを生やす魔法と、眠らせる魔法の二つしか使えないよな。新人が使える魔法は20より多いらしい。そして、ソイツのコストが15。後はわかるな?」
「ピッタリ100ってことか」
僕は、心の中で諦めの色が広がるのを感じた。いや、待て。BBには狭き門たる所以がもう一つ!
「リーダー、新人の名前は…」
「ブラスト」
「お疲れっした」
僕は頭を下げて、立ち上がる。
「ボルサリーノ、冒険者である限りこういうことはある。狭い世界だ。またいつか同じパーティで働くこともあるだろう。恨むなよ」
前に座っているシーフのバリンだ。
彼は、戦闘弱者の僕を下に見ない珍しい男だ。
ビコマンツは、袋にパンパンに入った硬貨を机に置いた。
「ご苦労だった。しばらくはこの金で生活しながら、新しいパーティを探すんだ。お前は、真面目で、誠実で、粘り強い男だということを俺たちは知っている。パーティのための判断だ。恨むなら俺だけを恨めよ」
ビコマンツは僕に硬貨の入った袋を投げる。
二年間、このパーティでやってきた。
彼らは僕の頑張りを認めてくれた。
BBバレットのことを思えば、ウジウジせずに、パーティの新たな門出を祝おう。
僕の代わりにブラストとかいう魔法使いが入った方がいいに決まってる。
「改めて、お世話になりました。また同じパーティになるかもしれないし、別のパーティとしてパーティ戦でやり合うことになるかもしれない。その時は、正々堂々やりましょう。僕はビックなボーイになってみせます!!!」
「それでこそBBだ!!!」
パーティの男達は目に涙を浮かべながら拍手をくれる。
ブローザが服の端を引っ張ってくる。
「これ、はなむけに。あげる」
双眼鏡だ。
なんで双眼鏡なんだ?と思ったが、心なしが双眼鏡からいい匂いがするので、深掘りせずに受け取った。
「ありがとう。いつも枕元に置くね」
「くだらないこと言ってないで、実力付けて戻ってきなさい。私、あなたと働くの嫌いじゃないの」
ブローザの真剣な眼差しに、狼狽える。
「僕なりに頑張ってみるよ。二つしか魔法使えなくて、どっちも平凡な魔法だけど、頭使って頑張ってみるよ」
そう言って会議室を出た。
晴れて単身冒険者だ。
コツコツEランクの依頼から挑戦して、自力をつけよう。
早速その足でギルドへ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる